第1話 02別の世界。
フィードの優しさと、少し抜けた一面
フィードは誰に対しても優しく、穏やかな青年だ。しかし、その人の良さゆえか、時々驚くほど抜けていることがある。
彼は教室の片隅で制服姿のまま椅子に座り、真剣な表情でクラスメイトの休暇の計画を聞いていた。楽しげな会話が弾む中、彼は静かに頷きながら、話を聞き逃すまいと耳を傾ける。その姿は、まるで熱心な研究者のようだった。
フィードの隣には、カース、エリーサ、そして彼女の弟シャーが座っている。
カースは長身で、濃い黒髪を持つ青年だ。茶色のジャケットに黒のパンツを合わせ、鋭く輝く漆黒の瞳が生き生きとしている。どこか飄々とした雰囲気をまといながらも、その目には常に好奇心といたずら心が宿っていた。
エリーサは艶やかな黒髪のロングヘアを持ち、黒いジャケットにスカート、そして白のタンクトップというシンプルな装い。しかし、淡い青みがかった瞳には鋭さが宿り、ただの優雅な少女ではないことを物語っていた。
彼女の弟、シャーは茶色のトレンチコートに黒のジーンズという大人びた服装をしている。活発なオレンジ色の瞳を輝かせ、いつもどこか落ち着きがない。彼はシャーロック・ホームズに強く憧れており、その服装や振る舞いも探偵気取りだ。
そんな彼らが和やかに話していると、教室の扉が突然勢いよく開いた。
---
息を切らして飛び込んできたニックス
「はぁ、はぁ……!」
ニックスは荒い息をつきながら、自分の席へと向かう。髪は無造作に乱れ、制服もどこか着崩れていた。
その姿を見るや否や、カースが吹き出した。
「おいおい、髪が爆弾にでもやられたのか?」
エリーサとシャーもそれを見てくすくす笑い始めた。
「違うよ、ただちょっと遅刻しそうになっただけさ。」
ニックスは目をくるりと回し、肩をすくめる。
「本当に相変わらず時間を守らないんだから!」
エリーサは呆れながらも笑いを堪えきれない様子だった。
そんな風に冗談を言い合っていると、教室の扉が再び開き、担任の先生が入ってきた。
「はい、みんな席について。出席を取るぞ。」
しかし、先生が出席簿を開こうとしたその瞬間——
ゴウン……ッ!!
---
突如として教室を襲う異変
床が低く鈍い音を立て、微かに震えた。
教室全体がわずかに揺れ、天井の照明がぐらぐらと揺れ始める。机の上の水が波打ち、コップの縁から溢れ落ちた。
地震……!?
生徒たちは緊張し、周囲を見回す。誰もが息をのんで次の揺れを待っていた。
しかし、先生は落ち着いた様子で言った。
「みんな、慌てないで——」
その時だった。
ニックスの視界が急に歪んだ。
——ぐらり
頭の中がぐらぐらと揺れる。耳鳴りが響き、視界が霞んでいく。
「……フィード、一体何が起こっているんだ?」
朦朧とした意識の中、ニックスは隣のフィードを見つめた。
しかし、その言葉が最後だった。
彼の体がふらりと崩れ落ちる。
——視界が、暗転する。
---
目覚めた場所は、知らない世界
どれほどの時間が経ったのか。
静寂の中、ニックスはゆっくりとまぶたを開いた。
柔らかな光が差し込んでいる。しかし、それは教室の蛍光灯の光ではない。
目に映ったのは、見たこともない場所だった。
冷たい石の床、古びた木の扉、壁にかけられた謎の紋章。
どこか……異世界のような雰囲気を持つ場所。
ニックスはゆっくりと起き上がり、周囲を見回した。
心臓が強く脈打つ。
「……ここは、一体どこなんだ?」
彼の呟きが、静寂の中に虚しく響いた。