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第3話02リードの登場します。




---


「よろしく頼むよ、ニックス。」


精霊――多話がふわりと宙を舞いながら、ニックスの服装をじろりと見た。


「だけどさ、その病院の服のままで冒険者ギルドに行くつもりなのか?」


「あ……確かに。」


ニックスは自分の格好を見下ろした。薄汚れた患者服は異世界の街並みにまったく馴染んでいない。


「でも、今は手元に金がないんだよなぁ……」


ため息をつくと、多話がニヤリと笑った。


「ほら、また借金の匂いがするぜ?」


「くそ……また夢子に借りに行くしかないか。」


ニックスは頭を抱えた。


「あの高利貸しみたいな奴から借りるのはわかってるけど、借金返済のために命がけになるかもって考えると、心が痛むぜ!」


冗談めかして言ったものの、実際、他に方法があるわけでもない。



---


場面転換


ニックスは夢子を探して大通りを歩いていた。


陽の光が石畳を照らし、人々の賑やかな声が街中に響いている。


(診療所か冒険者ギルドにいるらしいけど……どっちに行こうかな。)


そう考えていた矢先、不意に誰かとぶつかった。


「うわっ、すみません! 本当にごめんなさい!」


「いやいや、こちらこそ不注意だった!」


相手は快活な笑顔を浮かべていた。ニックスをじっと見つめ、首を傾げる。


「ところで、小兄ちゃん、誰か探してるのか?」


「あ、そうなんです! 夢子って人を探してるんですけど、どこにいるか知ってますか?」


相手は「夢子」と聞いた途端、ニヤリと笑った。


「おお、夢子ね。知ってるよ。彼女なら診療所か、あるいは冒険者ギルドにいるだろう。」


「本当にありがとうございます!」


ニックスは礼を言い、立ち去ろうとしたが――


「それで、夢子に何の用なんだ?」


興味深げに聞かれ、ニックスは少し躊躇しつつも正直に答えた。


「えっと……お金を借りようと思って。服を買う金もなくて……」


すると、相手の目が一瞬光る。


「なるほど……じゃあ、お前が噂の"火の鳥を倒した怪しいやつ"か!」


「もう怪しい人物じゃないですよ!」


ニックスは慌てて手を振った。


「村長も俺には問題ないって言ってくれました!」


「なるほど、村長公認ってわけか。」


相手は納得したように頷き、手を差し出した。


「俺の名前はリードだ。」


「ニックスです。」


握手を交わしながら、ニックスは改めてリードを観察する。


リードはそれほど大柄ではないが、左腕には火傷の痕が見えた。


緑色の瞳と髪、茶色の服にズボン。腰には長剣を下げ、肩には肩当て、手には手袋をはめている。


(冒険者……いや、それ以上の雰囲気があるな。)


そんなことを考えていると、不意にリードが口を開いた。


「俺が金を貸してやってもいいぜ。」


「本当ですか?」


思わず顔を輝かせたニックスに、リードは冗談めかして笑う。


「ただし、ちゃんと返してくれよ。じゃないと、俺の隊長としての権限でお前を逮捕するぞ?」


「もちろん大丈夫です!」


ニックスは慌てて敬礼のような仕草をする。


リードはそんな彼を見て豪快に笑った。


「ははは、そんなに緊張するなよ、冗談だって。でも……」


彼はちらりと空を見上げた。


「受付時間が終わりそうだから、早く行かないと間に合わなくなるぜ。」


「おっと、それはマズいな!」


ニックスはリードの言葉に反応し、駆け出した。


(何はともあれ、まずは服を手に入れて、それから冒険者ギルドだ!)



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