第2話最終章悪夢の始まり
あっという間に『史上最強の幽霊剣士』第二章が完成しました、皆様の応援のおかげでございます。 次の章はますますエキサイティングなものになり、それに応じてニックスの悪夢が展開することになります。 これからもよろしくお願いします。
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ニックスはその言葉を聞いた瞬間、背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。
彼はじっと、目の前の老人――老爷子を見つめた。
ボロボロの上着を羽織り、黒いズボンを履いた小柄な老人。白髪が混じった頭を持つ彼は、一見どこにでもいるただの年寄りに見える。
だが、彼は知っていた。
俺が異世界から来たことを。
――東京の空は青いのか?
この言葉が、ただの偶然とは思えなかった。
(……なぜ、この老人があの場所を知っている?)
村長という立場なら、何かしらの情報を持っていてもおかしくはない。だが、東京を知っているというのは、あまりにも奇妙だった。
(いや、今は深く考えるな。落ち着け……。)
ニックスは軽く息を吸い込み、無理やり思考を切り替えた。
(今は刀を手に入れるのが最優先だ。刀を手に入れ、冒険者ギルドに登録する。それから、あの夢子に借りた借金もどうにかしなきゃならない……まあ、時間はたっぷりある。そのうちどうにかなるだろう。)
心の中でそう自分に言い聞かせると、ニックスは村長に向かって軽く頭を下げた。
「それでは、村長。ありがとうございました。俺はこれから刀を取りに行くので、また改めてお会いしましょう。」
老爷子は微笑みながら頷いた。
ニックスは村長の隣に立っていた二人の男たちと共に歩き出し、自分の剣が保管されているという宝庫へと向かった。
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「へぇ……ここが宝庫か。」
ニックスは興味深そうに目の前の石造りの建物を見上げた。
(この村の宝庫なら、きっとたくさんの財宝が眠ってるんだろうな……)
そう期待しながら扉が開かれるのを待つ。
しかし――
「……は?」
扉が開かれ、彼の目に飛び込んできたのは、一本の剣とたった一つの木箱だけだった。
「おいおい……。」
ニックスは呆れたように口を開いた。
「お前たちの村、貧乏すぎないか?」
彼の言葉に、案内してきた男の一人が苦笑しながら答える。
「仕方ないよ。……あの事件があったからね。」
「……あの事件?」
ニックスの脳裏に、不吉な予感がよぎる。
(なぜか、すごく嫌な感じがする……。)
「何の事件だ?」
彼が尋ねると、男は短く答えた。
「火の事件さ。」
その瞬間――ニックスの背筋に、再び冷たいものが走った。
火災事件の真相とは、そしてニックスは今後どうなるのか? 次のエピソードでお会いしましょう。 ちなみに土日だったら1日3話更新するかも知れません。^~^




