第12話 最終章 夕焼け村へようこそ
ニックスはそうしてゆっくりと眠りについた。次に目を覚ましたときには、すでに朝だった。ニックスは大きなあくびをしながら起き上がった。
「昨晩はあまりよく眠れなかったな…」とつぶやき、荷物をまとめ、転送符を取り出した。「今日は君に頼るよ」と言いながら、転送符をポケットにしまい、部屋のドアを開けた。
フィードの部屋は近くにあり、ちょうどその時、フィデも新しい服を着て部屋から出てきた。
「フィード、新しい服、似合ってるよ。」とニックスが言うと、フィードは嬉しそうに答えた。「本当?それは良かった。」
「シャーとエリーサももう起きてるかな。」とフィデが続けた。
「たぶん起きてるだろうね。下に行ってみよう。」とニックスが言い、二人は階下へ降りた。そこには、ソファに座って待っているシャーとエリーサの姿があった。
「前台のソファに座ったことがないな。」とエリーサがつぶやいた。
「お姉ちゃん、前台にソファがあることすら知らなかったでしょ。」とシャーが突っ込む。
「うるさい。」とエリーサが言い返す。「ところで、退房の手続きはどうなった?」
「昨日のうちに済ませておいたよ。」とニックスが答えた。
「準備は整ったね。でもエリーサ、なんだか元気がないね。」とフィデが心配そうに言った。
「今朝早く起きて、荷物をまとめようとしたんだけど、空間箱をどうしても見つけられなくて、1時間くらい探し回ってたのよ。」とエリーサが疲れた様子で答えた。
「それは大変だったね。」とフィードが笑った。「ところでニックス、この転送符ってどうやって使うの?」
「おっと、説明するのを忘れてた。転送符を使うとき、吸い込まれるような感じがするけど、心配しないで。すぐにその感覚はなくなるから、次に目を開けるときにはもうサンセット村にいるはずだよ。」とニックスが説明した。「それじゃあ、準備はいいかい?」
「準備はできてるよ。」とフィードが答えた。
「私も準備完了。」と夏も続けた。
「私も行く準備ができています」。とエリーサが答えた
「よし、それじゃあ出発しよう。」とニックスが言い、魔力を転送符に注ぎ込んだ。瞬間、強い吸引力が発生し、数秒のうちに全員が吸い込まれた。
転送中は黒い霧に包まれるような感覚だったが、すぐに光が戻り、目を開けるとそこにはサンセット村の景色が広がっていた。
「綺麗な村だね。」とフィードが言った。
「ここでも街を歩けるかな?」とエリーサが興味津々で言った。
その時、前方から一人の男性が歩いてきた。
「ニックス、帰ってきたんだな。そちらの方々は君の仲間かい?頼りになりそうだね。まずは自己紹介させてくれ。私の名前はリード、この村のリーダーだ。夕焼け村へようこそ。」




