第12話 08ワイングラスにある喜びと不安
こうして二人が話し始めると、あっという間に午後になっていました。
「いやぁ、本当に素晴らしい冒険の話だね。」
「それはもちろんよ、これはこのお嬢様の冒険だからね。」
その時、何人かの医者がドアを開けて入ってきました。
「皆さん、これから検査を始めますので、関係者以外の方は外でお待ちください。」
この言葉を聞いたシャーとエリーサはドアを開けて外に出ました。
「二人とも無事でありますように。」
こうして医者たちは彼らに一連の精密な検査を始めました。同様に、シャーとエリーサは外で待っていました。しばらくして、ドアが開き、医者と一緒にニックスとフィードが出てきました。
「彼らの状態はもう大丈夫ですが、あまり動かないようにしてください。魔力を使い果たした上に怪我をするのは非常に危険ですから、今後は十分に気をつけてください。」
「ありがとうございます。」
そう言って、四人はニックスの宿へ向かいました。
「ところで、なんで君たちは僕について来るんだ?」
「それは当然でしょ、今日は祝賀会を開くって言ったじゃない。」
「お姉様はこういうことをよく覚えてるからね。」
「どうして僕の部屋で?」
「だって、ニックスは僕たちの中で一番年上だから。」
「君たち、前に僕と同じ宿に泊まってるって言ってなかった?」
「そうだけど、ニックスは大部屋を予約して、私たちは小部屋を予約したのよ。」
「そういえば、もう一つ聞きたいことがある。君たち、今お金持ってる?」
「なんで借金するつもりみたいな顔してるの?」
「ええ、実はね、今ちょっとお金に困っていて…」
「でも、私たちもそんなにお金持ってないよ。」
「そんなはずない、一人は大部屋に住んでるし、もう一人は…あ、そうだフィード、君はどこに寝てるんだ?」
「そうだ、今まで聞いたことなかったけど、フィード、君は最近どこで寝てるの?」




