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第11話 12幽霊剣法第一式、幽霊斬

フィードはそう言い終えると、再び石の巨人へ向かっていった。魔力の枯渇により、何度も弾き飛ばされながらも、一度たりとも悲鳴を上げることはなかった。


「安心しろ、ニックス。俺はまだ体力がある。」


フィードは血を拭いながら、苦笑いを浮かべた。


——「感じろ、感じろ……!」


ニックスは必死に心を落ち着かせようとしたが、どうしても焦燥が先に立つ。フィードが戦う姿を見ながら、彼は幽霊の言葉を反芻する。


「感じることだ。感じれば、お前は虚無化できる。心を落ち着かせろ。」


——落ち着け……落ち着け……!


ニックスは深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。その瞬間——何かが変わった。


別の空間を感じるんだ——


ニックスの剣が地面に触れた瞬間、地面がまるで水のように揺らぎ、足元から沈み込んでいくような感覚に襲われた。まるで水中に立っているかのように、世界の境界が曖昧になる。


「感じるんだ……」


ニックスの体から、淡い紫色の魔力がゆらめきながら立ち上り始める。


「今だ、フィード。」


その言葉に、フィードは僅かに目を見開いた。ニックスが何かを掴んだのを理解し、苦痛に耐えながらゆっくりと立ち上がる。


「行け、ニックス!」


その声に応えるように、ニックスの全身が紫色のオーラに包まれた。彼は静かに深呼吸し、ゆっくりと石の巨人へ歩を進める。


——石の巨人が再び拳を振り上げ、轟音とともに振り下ろす。


その瞬間、ニックスの瞳が淡く光り、静かに呟いた。


「俺の剣術——幽霊剣法・第一式"幽霊斬"」


刹那——紫色の影が巨人をすり抜けた。


ニックスは既に巨人の背後へと立っていた。石の巨人の表面には、一見すると何の傷も見当たらない。しかし、次の瞬間——


バキ……ッ!


胸の中心に小さな亀裂が走る。


それは徐々に広がり、やがて全身へと連鎖していく。ニックスとフィードが積み重ねた攻撃が、最後の一撃によって決壊するように、一気に石の巨人の体を蝕んでいった。


——そして。


轟音とともに、巨人はついに崩れ落ちた。


同時に、ニックスも力尽きるように地面へと膝をつく。


フィードが駆け寄り、疲れ切った表情で笑みを浮かべた。


「ニックス……やったな。」


ニックスは荒い息を吐きながら、それでも笑みを返す。


「ああ……俺は、やったんだ。」



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