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第10話05おばけ




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二人は静かに料理の準備に取り掛かった。視点はニックスに移る。彼は慎重に説明書を手に取り、指でページをなぞりながら、買い揃えた新鮮な食材を一つずつ丁寧に機械へと投入した。その機械は、まるで未来から来た電子レンジのように滑らかで無機質な光沢を放ち、無言のうちに自動で調理を始める。ニックスは二つの卵かけご飯をそっと機械に入れ、ボタンを押した。低い作動音とともに、機械は淡い蒸気を立ち上らせながら温め始める。


数分後、機械が静かに停止し、ふわりと立ち上る湯気が夜の冷たい空気に溶けていった。


「いい匂いだなあ… フィード、トンカツはどうだい?」

「できたよ。」


フィードは香ばしいきつね色のトンカツを、ためらいもなく素手でつかみ、用意してあった皿に無造作に乗せた。しかし、じんわりと指先を焼く熱さに顔をしかめる。


「熱っ、熱っ!手が焼けそうだよ…!」


「おいおい、なんで食器を忘れたんだ? これじゃ、まるで野生動物みたいに手で食べるしかないじゃないか。」

「持ってきたと思ったんだけど…実際は、完全に忘れてたみたい。」


「まったく、お前には何も言えないよ。」ニックスは呆れたように肩をすくめながらも、香ばしい香りに抗えず、手づかみで料理を口に運ぶ。


「こんなに美味しい料理を、こんな不便な状況で食べるなんて、まるで原始人だな。」

「まあまあ、文句はやめておけよ。見上げてみろ、今夜の星空は本当に美しいじゃないか。」


フィードが指さした夜空には、満天の星が宝石のように瞬き、冷たい空気と相まって旅の疲れをわずかに癒してくれた。


「それに今日は本当に疲れた。ここで休もう。」


「ちょっと待ってくれ…まだテントを張ってないじゃないか!」

「…あぁ、今日は最悪の日だな。」



---


時間は静かに翌朝へと移る。


「おはよう、ニックス。昨夜はどうだった?」

「正直、最悪だったよ。深夜の一時までテントを張ってたんだからね。」

「ハハハ!まあ、そんな日もあるさ。さあ、今日も出発しよう!」


簡単に身支度を整え、朝の清涼な空気を吸い込みながら、二人は新たな一日に歩みを進める。


「ニックス、あの魔力球、まだ光っていないか?」

「まだだよ。一体どんな魔物を探しているのか、さっぱり分からないな。」


森の奥へと進むにつれ、空は次第に曇り始め、辺りは薄暗く不気味な静寂に包まれていった。それでも、他のエリアはすでにすべて探索済みだった。


「暗くなってきたけど、行くしかないな。」


ニックスとフィードはこの時、まだ知らない。彼らがこれから進む道が、人生で最も正しい選択の一つとなることを——。



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