第10話03夕日が美しいです
二人はこうして森の中へと進んでいった。周囲には不気味な静けさが漂い、木々の間からわずかな光が漏れ、まるで異世界に迷い込んだかのような雰囲気だった。
「本当に、まるでお化け屋敷みたいだな。」フィードが不安げに言った。
森の中は深く、草木は生い茂り、木々は異様に大きく、所々で微かな輝きを放っていた。外から見たときは普通の森に見えるが、実際にその中に入ると、葉がほとんど太陽の光を遮り、薄暗い陰が広がっていた。そのため、周囲にはどこか不気味な感じが漂っていた。
「風が吹いて草が揺れるとよく分かるね。」ニックスが呟きながら、周りを注意深く見渡す。
その時、背後から足音が聞こえた。
「魔物か?」フィードが身構える。
「いや、ただの蛇みたいだ。」ニックスが冷静に答えた。
「びっくりした…」フィードは少し肩の力を抜いたが、まだ警戒を解かない。
再び近くの草むらが動く音がした。今度は少し大きな音だ。
「今度は何だ?」フィードが息を呑んで耳を澄ます。
「風だよ、ただの風。」ニックスが答えたが、フィードの表情にはまだ緊張が残っていた。
「フィード、少し神経質すぎるんじゃない?」ニックスが笑いながら言う。
「いや、警戒するに越したことはない。」フィードは眉をひそめながら答えた。
その瞬間、ニックスが前方を見て叫んだ。
「フィード、走れ!」
前方から、数匹の狼が猛然とこちらに向かって突進してきていた。狼たちは眼光鋭く、鋭い牙をむき出しにして、明らかに獲物を狙っている。
「こいつら、手強そうだな。」フィードが鋭く状況を分析する。「戦えるかもしれないけど、ここで体力を消耗するのは危険だ。もし強力な魔物が現れたら、逃げ切れなくなるかもしれない。」
「確かに。」ニックスが素早く頭を働かせる。「まずは隠れよう。」
二人は急いで近くの草むらに身を潜めた。足音を立てないように慎重に動きながら、狼たちの動きを注視する。
「幸いにも、魔力球は群狼を選ばなかったな。」ニックスが息を潜めながら言った。
「それはラッキーだ。」フィードも安心したように頷く。
しばらくすると、狼たちはその場を離れ、遠くの森へと去っていった。ニックスとフィードはおそるおそる草むらから顔を出した。
「狼の群れは去ったみたいだ。立ち上がろう。」フィードが低い声で言う。
二人は静かに立ち上がり、身に付いた土を払いながら、再び進み始めた。
「本当に、この森の魔物は多いな。」ニックスが少し疲れたように言った。
「探索を続けよう。」フィードが決意を込めて答える。
時が過ぎ、二人は「突破の森」を歩き続けた。夕陽が沈む頃、ようやく一息つける場所に辿り着いた。あたりは薄暗く、日が完全に沈みかけていたが、空はまだ燃えるような色に染まっていた。
夕陽の余光が林の葉に降り注ぎ、葉がまるで海のように波光きらめいていた。光の中で、葉が揺れるたびに一瞬一瞬がまるで絵画のように美しかった。空は橙色、ピンク色、金色の三つの色に分かれて、幻想的な風景を作り上げている。
「どこから見ても、夕陽は本当に美しいな。」ニックスは静かに呟いた。
「うん、こんな景色、なかなか見られないよな。」フィードが感慨深げに言った。
その美しい夕陽の中、二人はしばらく言葉を交わさず、ただ目の前の景色に見とれていた。




