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第63話 16 戦前




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「――命令発動! 全軍、配置につけ!」


その号令が響いた瞬間、すべての兵士たちは一斉に動き出した。

ヘルメットをかぶり、鎧には無数の傷跡が刻まれているものの、それは過去の激戦を耐え抜いてきた“勝利の証”でもあった。


騎兵隊は馬を引き連れて前へ進み、左右の翼へ大きく展開する。

前列には城壁のようにびっしりと並んだ盾兵、その後方にはいつでも突撃できるよう構えた長槍兵が控えていた。


「今回は新しい武器も配備している!」


兵士たちの間からざわめきが広がる。

世界博覧会で発表されたばかりの最新兵器――まさか、実戦に間に合うとは思わなかった。


兵士たちが構えるのは、形こそ火縄銃に似ているが、銃身には青い魔術刻印が走り、撃ち出される弾丸は純白に輝く“魔力弾”。


さらに後方では巨大な機械が稼働を開始した。

金属が軋む音、歯車が噛み合う重厚な振動――そして地面が割れ、中から大砲のような装置がゆっくりと姿を現した。


「これが我々の新兵装――“エネルギー砲弾”だ!

高密度の魔力を一撃で叩き込み、敵陣をまとめて吹き飛ばす威力を持つ!

さらに、我々が持ちこたえれば“X24(エックス・ツェルフ)ミサイル”の支援も届く!

この戦い、必ず勝つ! 新兵器の威力を思い知らせてやるぞ!」


サムロングが高らかに叫ぶと、兵士たちの士気も大きく上がった。


そのとき――

前方の地平線に濃い砂煙が立ち上り、魔物の大軍が姿を見せる。

数ではほとんど互角、人間の軍勢と魔物軍勢が睨み合うように対峙する。


軍が一旦停止したのち、魔物側からひとりの人影が前へ進み出た。


サムロングはその様子を見て、同じく馬に跨がり前へ向かう。

両軍の中央、緊張のただ中でふたりは対面した。


「お前……人間、か? なのに、その雰囲気はまるで……」


サムロングは目の前の男を見て息を呑む。

男は仮面をつけ、深くかぶったカウボーイハットで表情を完全に隠していた。


「その通りだよ。

冒険者賞金ランキング――第2位。

俺様も“魔王軍”側につかせてもらった。

だからさ、あんたら……素直に降伏したほうがいいぜ?」


男は肩をすくめ、愉快そうに続けた。


「人数差も、実力差も、どう考えてもこっちが圧倒的。

抵抗したところで、勝ち目なんて一つもねぇよ?」



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