表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10万pv突破しました!!!【每日更新】史上最強の幽霊剣士  作者: Doctor Crocodile


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1067/1081

第63話 13 『嵐の前線へ』



---




フィードもその頃には戻ってきていた。先ほどの敵はすでに意識を失っており、彼はその男を肩に担いで戻ると、地面に放り投げた。

「ふぅ……こっちはもう全部片付いたぞ。」

フィードは手をぱんぱんと叩きながら言った。


「これで本当に終わった、か。」

ニックスは安堵の息を漏らしながらも、周囲を見渡した。もともと戦える人員は多くなかったが、今回の襲撃でさらに減ってしまった。

「このままじゃ、長くはもたないな……」と、彼は低くつぶやいた。


やがて部隊の整理が終わったころ、一つの通信が入った。

通信士が耳に手を当て、内容を確認する。

「了解しました……ですが、それでは人手が……いえ、分かりました。今すぐ実行に移します。」


通信を終えた通信士がニックスたちのもとへ駆け寄る。

「皆さん、本当にありがとうございました。今回、私たちがこの襲撃を耐えきれたのは、皆さんのおかげです。しかし、その代償として戦える人数は大幅に減ってしまいました。このままでは物資も奪われ、犠牲者もさらに増える恐れがあります。」


彼は一呼吸置いて続ける。

「本部との通信が繋がりました。私たち支援部隊は転送紙を使って後方へ帰還します。そして、ニックスさんたちには進路を変更し、最も近い戦場――“暴風戦線”へ向かっていただきたい。あの場所は常に暴風が吹き荒れる中心地の一角で、魔物たちはその嵐を盾にして前線を突破しています。」


「現在、そこへ向かえる人員はほとんどいません。しかも臨時の戦線ゆえ、転送魔法陣も設置されていない。さらに前線の戦闘が激化しており、私たち本隊も撤退を開始したため、しばらく転送は遮断された状態です。ですから――皆さんがあの戦線を支えてくださらなければなりません。どうか、お願いします!」


その真摯な説明に、一同は無言でうなずいた。


「なるほど……次は別の戦場か。」フィードが肩を回す。

「今回は、ちゃんと地図を見ような。」ニックスが言うと、

「だ、大丈夫だって! 私が案内役をやるなら完璧だから!」と、エリーサが胸を張る。

「だからこそ心配なんだよ、姉さん……地図は私が見る。」と、隣でシャーが呆れ顔で答えた。


ニックスは星をそっと肩に乗せた。今の状況では、彼女を空間に戻すことができないのだ。

「……じゃあ、行こうか。」


彼は支援隊の仲間たちに別れを告げるために歩き出す。

その途中、檻の中に閉じ込められたあの男と目が合った。


「ニックス君も、僕にお別れを言いに来たのかな? ふふ……バイバイ、ニックス君。」

男は口角を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべた。

「――あ、そうだ。行く前にひとつだけ聞かせてよ。」

男は首をかしげ、血走った目で笑う。

「君は……“夕日”が好きかい? ハハハハハ!」


笑い声とともに、転送の光が彼の姿を飲み込み、檻の中は空になった。



---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ