魔獣の国に嫁いだ妹が帰省してくるようです
この回のみ、時間軸が大分飛んでいます。かつて書いていたお話はこれで最後なので、ここで終わります。
私の名前はレイナ・N・アルベルト。ライハン・アルベルトの妻である。次期伯爵となるライハンの妻として、もう何年もお義母様と共に仕事をしてきた。伯爵夫人の仕事にも随分なれたものだ。実家は貧乏伯爵そのものだったため、当主も夫人ものんびり気楽に生活していた。生家のような気の抜けた世界はここにはないが、義理の両親であるアルベルト伯爵夫妻は優しく、居心地も良い。
とはいえここ数ヶ月、私は殆ど仕事らしい仕事をしていない。何故かといわれれば、私が第一子を出産したからだ。結婚してからおよそ六年、一時期は子供が孕めない性質なのではと疑われ陰口を叩かれたこともあった。けれどもアルベルト家の人々は優しく、誰一人子供を早く産めと急かすこともなかった。お義母様は「私もライハンを産むまで四年もかかったのよ。それ以降も子供は出来ていませんしね」と笑って慰めてくれたし、ライハン自身も「気にする事はない。わたしたちのペースというものがあるさ」と言ってくれた。夫にも義理の両親にも、なんて恵まれたんだろうと思う。
そして最近、ついに念願の子供を授かることができた。安定期になるまでは私とお義母様、実家のお母様だけの秘密としていたが無事に落ち着いた段階でライハンたちにも報告した。それはそれはもう、喜んでくれた。それからというもの召使いたちもライハンたちも何をするにも私とおなかの子供の安全を第一に考えて行動してくれるものだから、自分でパッパッと行動するほうが性にあっている私としては過保護すぎると感じることも多々あった。
とはいえ、先日無事に出産できたのだ。生まれたのは男の子で、本当に安心した。体が弱いということも今のところは無いようで、私は貴族の嫁として最大の仕事を無事に果たせたらしいと分かる。
私が子供を産んだことを喜んでくれたのはアルベルト家の人々だけではない。実家であるコンデ伯爵家の人々――お母様、お父様、そして最早家族同然である召使いたち――も喜んでくれた。そして、遠い遠い、魔獣の国へと嫁いでいってしまった、妹のファリダも。
私の妹は数年前、婚約者だった男の裏切りをきっかけとして、険しい山脈の向こうにあるという魔獣の国へと嫁ぐことになった。当初はいつ妹が死ぬか、それとも死んだことすら伝わらないのかとやきもきしたものだが、意外なことに妹は魔獣たちと仲良く生活するようになったらしい。わが妹ながら、図太い。流石は底辺伯爵コンデの娘。魔獣たちも私たちが考えているよりもずっと理性的な存在のようで、月に一度ほど、ファリダと手紙のやり取りまでさせてくれている。この手紙の仲介人は主に羽の生えた女性か、角の生えた馬、そして巨大な鳥などである。
なかなか子供が授かれない話は、ファリダにも相談していた。全く違う環境におかれてあの子だって大変なことはあっただろうに、私の弱音を聞いたファリダは魔獣たちに不妊治療に効くものはないかと聞きまわってくれたのだ。結果的にはほぼ惨敗だったらしいが――魔獣たちにはそもそも人間のように必死に子供を産む、ということがないらしい――それでも妹が私のために行動をしてくれたというその事実だけでどれほど心が救われたか。無事妊娠した時の手紙では大喜びをして、体に良いらしい薬草やら食材やら花やらを山ほど贈ってくれた。
出産の報告の手紙を送ったのは先月だ。ついでに、手紙にはその内子供のお披露目パーティがあることも記載した。まだお義父様は健在であり、ライハンが当主となること自体が先の話で、私がこのたび産んだ息子のセオがその跡を継ぐのはもっと先の話ではある。けれどセオは正真正銘、跡継ぎの一人であることもあり、なかなか盛大にお披露目パーティを開くことになっている。
その話も手紙につけた私は、忘れていたのだった。ファリダは私と同じように無駄に行動力があるということと、嫁ぐ時に「お姉様とお義兄様の子供を抱けないのが心残りですね」と言っていたことを……。
◆
お披露目パーティは、にわかに騒がしくなっていた。正確には混乱の渦に落とされていた。
セオが乗せられたベビーベッドの横に立っている私は、呆然と空を見上げていた。
お披露目パーティはアルベルト家の所有する一つの屋敷で行われた。多くの人が入るそこで、元々上流伯爵であるアルベルト家は伯爵より上の家とのつながりもあるため、当然パーティは盛大に行われた。普段はこうしたパーティには絶対に出てこない実家のお母様とお父様も、孫の誕生を祝う会なのだから、とわざわざ出て来てくれた。その着ている服はお義父様の指示でアルベルト家が用意したものである。実家にはまともなドレスがなかったのだ。本当に、お義父様には頭が上がらない。
屋敷には広い庭があり、今日は晴れであったために多くの人が庭でも会話を楽しんでいる。私はライハンと共にセオの眠るベッドの横に立ち、ひたすらやってきたお客に笑顔を浮かべて挨拶をすることだけに集中した。下手なことをすれば、アルベルト家の名前に傷がつくのだから当然だ。
セオの眠るベッドは庭側に面した場所に置かれていた。屋根で影となる部分なので、太陽光が直接当たることはない。人の声で騒がしいというのにセオはすーすー眠っているところを見ると、なんだかコンデ家の図太さが見て取れる気がしてついつい笑ってしまう。
ふと。
元々人声で溢れている会場が、静かになった。
どうやら庭に出ている人々が皆、空を見上げて言葉を失っているらしい。ついで誰かの悲鳴が上がり、客たちが皆屋敷の中へと逃げ込んでくる。何事だ、と庭に飛び出たライハンは呆然と空を見上げている。セオからは離れすぎないようにしつつ、空を見上げた私もライハンと同じような顔をしてしまった。
空から、一頭の魔獣が舞い降りてくる。ホリゾンブルーの鱗を纏ったドラゴンは、人のいなくなった庭に後ろ足で着地した。ドスン、という音と共に大地が揺れる。よく磨かれているらしい鱗は宝石の如く輝いている。ドラゴンは後ろ足に比べて短い前足も地面につくと長い首を地面へと下ろす。緩やかなカーブを伴い頭が地面についた。
その背中、の部分から人が現れた。首を駆け下りてドラゴンの頭を踏み、庭へと降りる。その後ろからは真っ白な毛玉のような生き物が続く。
パーティの来客たちは「魔獣が」「魔獣だ」「死にたくない!」「なんとかしてくれ!」と騒ぎ声を上げている。彼らからすれば突如魔獣が現れて、自分たちを殺そうとしているという感じなのだろう。それは違うと、私には分かった。
なぜならばドラゴンから降りてきたのは、妹だったからだ。
「お姉様! お義兄様!」
こちらを見たファリダは笑顔を浮かべる。数年ぶりに直接見る妹は以前より大人びていた。羽織っていた分厚いコートを脱ぐと、その下にはお披露目パーティにも出れるだろうシンプルながらも立派なドレスが姿を現す。
脱いだコートをどうするかと周囲を窺っている妹の横に、新たな人が空から降りてくる。大きな羽を持つ人間、間違いなく以前より手紙の仲介をしてくれている、ボボという名前の魔獣だった。
ボボにコートを渡したファリダは笑顔のままこちらに駆け寄ってくる。ファリダの正体を知らない客たちからすれば、ファリダも魔獣の仲間にしか見えないため、悲鳴が上がった。
私はお義父様を見た。お義父様は直接ファリダを見たことは数回しかないが、どうやら私の妹であるということを理解してくれたらしい。客たちに向かってファリダの素性を説明している。
最早随分と昔のことではあるが、王命で貴族の娘の一人が魔獣の国に嫁いだ、という話はそこそこ広まっていた。それを思い出してくれればいいのだが。
会場の中にいるはずの両親を探す。部屋の隅でポカンという顔をしている二人を慌てて招き寄せた。その間にも、気付けばファリダはすぐ目の前に来ている。相手がファリダだと分かったライハンも私の横に来た。
「お久しぶりです、お義兄様、お姉様」
カーテーシーをしっかりとするファリダの足元で、その腰ほどの高さを持つ白い毛玉が「こんにちわ!」と声を上げた。ファリダに返事をしようとしていたライハンも、突然人間の言葉を喋る毛玉に驚く。
固まるこちらに、ファリダは毛玉に手を置きながら言った。
「これは私の夫のピィーです。ピィー、こちらが私のお姉様のレイナで、こちらがその旦那様のライハン様よ」
「僕、ピィーだよ。よろしくね!」
……ファリダの夫。魔獣。それは確か、<白の巨獣>の子供だと、以前、手紙で言っていなかったか。つまり目の前にいるのは。
「<白の巨獣>の、むす、こ?」
「そうです!」
めまいがした私をライハンが抱きとめる。けれどライハン自身も顔色が悪いことに、私は気がついた。ライハンにも、ファリダからの手紙の内容はある程度共有しているので彼も今目の前にいる毛玉が<白の巨獣>の息子であると思い至ったのだろう。
一方でファリダは全然気にしていないようで、こちらに近付いてきたお父様とお母様を見てそちらに近付いていった。お母様は薄く涙を浮かべながら数年ぶりに会う娘を抱きしめる。
「ああファリダ、私の可愛い娘……! まさかこんな所で会えるなんて!」
「お母様、痛いです」
そう言いつつファリダの表情は笑顔のままだ。ふと庭に視線を移せば、ボボがドラゴンとなにやら会話をしているらしかった。
そちらに気を取られている間にファリダはお父様とお母様にもピィーという魔獣を紹介したらしい。お母様はか細い声を上げてそのまま倒れこんだ。お父様もそのままバッタリだ。アルベルト家の使用人たちが慌てた様子で駆け寄ってきてくれている。ファリダはキョトンという顔をしている。何故両親が気絶したか分かっていないのだろう。
両親が運ばれていくのを見届けてからファリダはまた私たちのほうへと戻ってくる。ピィーはファリダの後ろをチョコチョコと付いて来る。
「お姉様、お義兄様、私、二人の子供が生まれたのをお祝いしようと思って、ボボさんたちに頼んでちょっと山を越えてもらったんです。プレゼントもちゃんと持ってきましたよ。こちらでも使えるような普通のものなので安心してください」
「そ、そう。ありがとう、ファリダ」
「赤ちゃんはどこですか?」
昔と変わらない瞳を向けてくるファリダに頬が緩む。私はセオの元までファリダを案内した。流石の騒ぎに、セオは目覚めたらしい。けれども泣き喚く様子もなく、本当に図太い子だと感心する。
ベッドを覗き込んだファリダは顔を輝かせる。
「可愛い! 名前は何にしたんですか?」
「手紙には書いてなかったわね……。セオドアよ。私たちはセオと呼んでいるけれど」
「はじめまして、セオ。私はあなたの叔母さんね」
「ファリダ! 僕も! 僕も見たい!」
優しく微笑み、セオの頬をつつくファリダ横で、ピィーが跳ねながら叫んだ。
「私、ピィーを抱っこなんて出来ないわ。最近重いんだもの」
「僕も見たいよ!」
「……ならわたしが抱き上げようか。よければ、だが」
そう言い出したライハンに感動すらした。魔獣を抱きかかえるなんて、どれだけ勇気のいることか。ピィーの方はあっさりと「お願い!」と声を上げる。
ライハンは大きな毛糸玉を抱えるかのようにピィーを抱き上げた。「確かに女性には重いな」と漏らすが、どうやら持てない重さではなかったらしい。
体のサイズから考えると小さく見える前足をベビーベッドにかけたピィの黒目がセオを見下ろす。
「う?」
セオは自分の手を口に含みながらピィーを見上げた。
何か声が上がるでもなく、一人と一匹が見つめあう。私はファリダにピィーが喜んでるのか怒ってるのかどうなのかを目線で問いかけるも、ファリダ自身も分かっていないのか小首を傾げられる。
「…………かあいいね!」
パ、と犬が笑ったかのような顔をしたピィーが明るい声を上げる。どうやらセオは気に入られたらしい。きゃっきゃっとセオも笑い声を上げた。
ライハンがピィーを床に下ろす。と、客たちへの説明は終わったらしい。お義父様とお義母様がこちらに近付いてくる。
そっとファリダの肩に触れてお義父様たちのほうへ向き直らせる。
「お義父様とお義母様よ」
そう囁けば、流石にファリダも貴族の挨拶を忘れてはいなかったらしい。ドレスの裾をつまみカーテーシーをする。
「ファリダ・ミゲル・コンデでございます。このたびは招待されていないにも関わらず、突然の来訪の無礼、真に申し訳ありません。こちらはわたくしの夫であるピィー、魔獣でございます」
ピィーが声を上げるかと思ったが、ピィーは頭をくいっと下に向けた。どうやらお辞儀をしたようだった。
「頭を上げなさい。レイナの家族である貴女に招待状を贈らなかった我々のミスです。ピィー殿も、遠方よりよくいらっしゃった」
お義父様が穏やかに声をかける。ファリダはその返答にほっとした様子を見せながらも深く頭を下げる。ピィーもファリダをチラリと見つつ頭を下げる。
と。そこに庭からボボが現れた。ボボとは、お義父様も何度か会っている。女性ながらも着ている服は男性物であるからか、ボボは胸元にそっと片手を添えて頭を下げた。
「このたびは突然の訪問、申し訳ありませんでした。謝礼として、といって良いかは分かりませんが。我らが主<白の巨獣>より跡継ぎ殿のご生誕を祝う品々を預かってきております」
ファリダたちとお義父様たちの会話に耳を済ませていた会場が、<白の巨獣>の名ににわかに凍る。
ボボが庭を指差した。庭ではドラゴンがあくびを一つしているところだった。その周りに、いつの間にか様々な荷物が置かれている。確かにドラゴンの背中には何か載っている様子はあったが、あんなに載っていただろうか。
「こちらで編まれた布や採掘された宝石など様々なものがあります。きっと、お喜びいただける品々かと」
「……<白の巨獣>からの祝いの品とは。なんとまあ、我々のような伯爵家にそのような品。身分不相応かと」
「そのようなことありません。此度生まれたのは我らがファリダ様にとって甥となる男児。いわばファリダ様の身内です。ファリダ様の身内ということは、ここにおられるピィー様やその父たる<白の巨獣>にとっても、身内のようなものですので」
いや。
いやいやいやいやいや。
待って。
待って?
告げられている言葉を理解することを脳みそが拒絶している。ファリダ。何横でニコニコ笑ってるの。笑いごとじゃないわよちっとも。今の発言が、この国の貴族の関係図にどれだけの影響を及ぼすと思ってるの!
確かにアルベルト家は上流伯爵家。それは間違いない。けれどもあくまでも、伯爵。貴族社会のピラミッドでは、まだ上には侯爵という存在が居て、その更に上には王家の血が混じる公爵家が存在する。そして頂点として、王族がいるのだ。この力関係をそう簡単に覆すことは出来ない。貴族は現在でもそれなりに存在している派閥になんとなく所属してゆらりゆらりと上の階級の人間の怒りに触れることなく生きているのだ。
その、力関係図を、ぶち壊すことが出来る存在。それが間違いなく、<白の巨獣>以下、魔獣たちだ。
もし魔獣たちを意のままに操ることの出来る貴族が現れたら。たとえ爵位を持つ平民といわれる男爵だろうとも、一気にピラミッドの上まで駆け上がってくるだろう。場合によっては王族と相対して会話することだって出来るかもしれない。それほどまでに、この国にとって魔獣、特に<白の巨獣>というのはトラウマであり、触れてはならない箱なのだ。
その魔獣たちが。実際はファリダを介してのこととはいえ、アルベルト家に対して好意的であり身内のように見なしている、だなんて。
アルベルト家の立場をどう動かすか分かったものではない。
恐らくだが、彼らはそこまで考えていないはずだ。言いだしっぺは間違いなくファリダ。ファリダが甥を祝いにいきたいと言い、それを魔獣たちが受け入れただけなのだろう。誕生を祝うのに品がいるとファリダが言ったところまでは想像がつく。夫との関係はとても良好だと手紙でも伝わってきていたので、恐らくファリダが願えば大抵のことはピィーはそれをかなえるために動くのではないだろうか。というか、動いたのではないだろうか。だからこそ今ここにいるのではないだろうか!
「……身に余る光栄ですな」
そう告げるお義父様を見ながら頭を抱えて蹲りたいような、今すぐ頭を地面にこすりつけながら謝りたいような衝動が湧き上がってくる。私の妹はバカではない。バカではないが、一つよく分かったことがある。
どうやらこの子は、魔獣の国で過ごした数年で、人間社会の常識的な考えをどこかに落っことしてしまったらしい!
◆レイナ・N・アルベルト
ファリダの姉。ライハンの妻。
このあと義父にめっちゃ謝った。
長らく不妊に悩んでいたがこのたび第一子を無事に出産した。まさか魔獣の国から妹が飛んでくるとは思っていなかった。
◆ライハン・アルベルト
レイナの夫。
義妹が想像を遥かに超えてきた。ピィーを抱き上げながら「やわらかい……けどしっかりと硬いなにかがこの毛皮のしたにある……なんだこの生き物……」とびびっていた。
◆セオドア・アルベルト(セオ)
レイナとライハンの息子。かなり図太い。
泣かないわけではなく、お腹がすけば泣くしトイレをしても泣く普通の赤ん坊。ピィーと暫し見詰め合って笑った猛者。
◆アルベルト伯爵
ライハンの父。
この後ボボとの会話の流れを上手く変えつつ、「あくまでも彼らが祝っているのはアルベルト家という家ではなく、レイナの息子。アルベルト家自体は魔獣の国から日常的にお祝いをしたり応援してもらったりはしてないよ!」というアピールをなんとかした。この後社交界での仕事(広まる噂話などの処理)がやばい。
そもそもボボやピィーと相対して気絶せず会話できているだけでもかなり偉い。
◆アルベルト伯爵夫人
ライハンの母。
自身もライハンを妊娠するのに暫くかかったので、不妊で悩むレイナにはとても優しかった。
まさか魔獣の国から魔獣たちが来るとは思わず内心慄いているがそれは表には出さなかった。強い。
◆コンデ伯爵夫妻
レイナとファリダの両親。
久方ぶりに再会できたファリダには喜びつつ、ピィー(の背後にいる<白の巨獣>)に恐れ慄き気絶した。まさかこの後実家で暫く魔獣たちが生活することになるとは思っても居ない。そのことを聞いてまた倒れる。ファリダの帰省が終わる頃には慣れてる。
◆ファリダ・ミゲル・コンデ
レイナの妹。ピィーの妻。
「魔獣の国に嫁ぎました」から数年経っている。人間の常識がない訳ではないが長らく人間社会から離れているのでちょっとずれ始めている。自覚はない。甥会いたさに帰省した。この後はアルベルト家で甥を可愛がりつつ基本的には実家で暫し生活する。
◆ピィー
ファリダの夫。魔獣。白い巨大な毛玉みたいな生き物。
ファリダが甥に会いたいというので許可を下ろして着いて来た。人間たちから「何を考えているか分からない」と評される。多分獣型だからだと思われる。セオのことはちゃんと気に入った模様。ただ、人間の赤ちゃんまるまるしてるなとは思っている。
◆ボボ
羽の生えた天使型の魔獣。女性。ピィーの世話役みたいなもの。
ファリダとピィーだけ行かせるわけにもいかないのでお目付け役としてついてきた。人間的常識は魔獣の中では最も把握しているものの自分たちの影響がどの程度でかいかについてはあまり理解しきれていない。
◆ドラゴン
ファリダとピィーと祝いの品々を乗せてきたドラゴン。鱗は綺麗なホリゾンブルー。主食:魚な種族。人間は食べない。
▼祝いの品々
人間世界では手に入らないだろう品々。
何で編んだのか分からないめっちゃ手触りのよい高級布が沢山(一番使い勝手が良いと思われる)。きらめく宝石たち(加工したものより加工前のほうが自由に使えるかと思って装飾品ではない)。手入れせずとも切れ味の変わらない謎の素材で出来た剣と盾(男児だから)。ドラゴンの鱗とおぼしき鱗。ユニコーンの血を引いている馬(一応ただの馬。ファリダがユニコーン凄いということを言いまくっていたため)。枯れない花々(飾るしかない)。美しい羽ペン(書き心地までよい)。などなど。
売れば恐らく数世代先まで遊んで暮らしていけるほどのお金が手に入るが、恐ろしくてとても売ったりして手放せないとはアルベルト家の人々の言葉。