俺には彼女につきまとう権利がある
ちょっとホラーぽくなってしまった。ジャンル違いかも。
今日も彼女は美しい。
俺は毎日彼女の姿を眼にするだけで気分が高揚する。
彼女の後ろ姿。
彼女の仕草
彼女の笑い声
遠くから見ていても彼女の魅力が伝わってくる。
あれほど魅力的な女性を俺は知らない。
知り合いは俺のことをストーカーだと言って笑い者にするが、ストーカーのいったい何が悪いというのか。彼女のことを好きな俺には、彼女に付きまとう権利があるのだ。
中にはもっと若い女がいるだろうといらぬ忠告をしてくる馬鹿者もいる。
確かに彼女は若くない。
今年で38才になるし、2人の子供もいる。
だが、思慮深く、品があり、子供を2人産んだにも関わらず体型も崩れてはいない。
たしかに腰回りは若い女に比べれば肉付きがいいようだが、俺に言わせれば逆にそこが彼女の魅力でもある。華奢な上半身と肉付きのいい下半身が彼女の魅力なのだ。
ストーカーと言われようが何と言われようが、俺はこれからも彼女のことを見続ける。
彼女は俺のものだ。そして、俺は彼女のものだ。
これは決められた事実だ。誰にも文句は言わせない。
俺は静かに寝室の扉を開けた。
彼女がベッドで眠っているはずだ。
俺は彼女を起こさないように、静かに歩いていく。
俺の顔を見れば彼女は微笑んでくれるに違いない。
愛する男が傍に来てくれたのだから当然だ。
薄暗い照明の中で彼女は眠っている。
美しい。寝ている時でさえ品がある。
やはりこの世で彼女に勝る女がいるなど俺には思えない。
彼女こそ俺にとって最高の女なのだ。
俺は彼女の顔にそっと手をやる。
彼女はその感触に気づいたのか、ゆっくりと眼をあけた。
「あなた……」
「起こしてしまってすまない」
彼女は俺の手を握ってくれた。俺もその手を握り返す。
「やはり俺は君のストーカーみたいだ。いつも君を見ていないと気が済まない」
「ふふ、こんなおばさんを?」
「君はなにひとつ変わってないよ。たとえどれだけ年をとっても、俺は君のストーカーだ」
「じゃあ、おばあちゃんになってもストーカーしてくれる?」
「もちろんだ」
「だったら、あの世までお願いしても?」
「君が許してくれるなら、来世だってついていくよ」
「ありがとう。嬉しいわ。もしついてこなかったら、わたしから探しに行って、あなたをストーカーするから」
お読みいただきありがとうございました。