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69/69

69 完


 一文字沙耶の獲得特典が伝えられた。


 1位 32,000P

 の予定だったが、

 一部の者の暴走により少々その計算が狂ってしまった。





 EVENT 《ラストスタンド》


 1位 32,000P ←

 2位 16,000P

 3位 8,000P

 4位 4,000P

 5位 2,000P

 6位 1,000P


 本来なら32,000Pだけだが、脱落者のポイントが浮いてしまった。


 しかも2位〜6位の全員が脱落したため、余ったポイントは1位の総取りになる。


 2位 16,000P

 3位 8,000P✕2

 4位 4,000P✕4

 5位 2,000P✕8

 6位 1,000P✕16


 合計 80,000P


つまり


 1位     32,000P

 脱落    +80,000P

 ミラに一撃 +110,000P

 クイズ正解 +100P


 合計     222,100P


 となった。

 一文字沙耶は10,534+222,100=232,634となり、今大会だけで一文字鉄斎の残した大記録である最終目標の20万点を軽く超えてしまったのだ。



『ラストスタンドはこれにて終了です。一文字沙耶、獲得ポイント222,100。総獲得ポイン232,634となり、卒業です』


 ビーーーーッ


 ファーストのアナウンスにより、一文字ミラが狂喜乱舞する中、微妙な空気が流れた。



 だが、参加者も観戦者もバリアで心を折られたため、厳正なる結果に誰も異論を唱えられなかった。


「えっ!?」


 1名、一文字沙耶だけが困惑した顔をした。


『聞きなさい、一文字沙耶。貴女が出ると1位の枠が減るのです。それどころか今回は決勝進出すら許さぬ心の狭さ』


 とんだ風評被害である。


「そんなっ!?私は何もしてないよ。そんなの皆も納得しないだろうし」


 しかしながらファーストは耄碌していても最高責任者。


『結果が全てです。皆が納得するかどうか、不満なら決を取りましょう。先程の裁定に賛同する者は拍手を!』



 バンバンバンバン!


 ファーストの問いかけにより、拍手とはとうてい思えないような大音量が響いた。

 モブ達の、あんな化物とは二度と戦いたくないという気持ちが一つに。


 そもそも最強である一文字家が実質的な白旗をあげたミラを、下せる組織など存在しないからこれは責められないだろう。


「ひゃっ」


 耳を押さえた沙耶があたりを見渡すと全員が拍手していた。

 非難するような目で見てもそれは変わらない。



 英雄は祭りあげられる者なのだ。

 万雷の拍手の中、厳かに裁定は下る。


『これはここにいる全ての者の総意です。一文字沙耶。おめでとうございます。孫をよろしく』


 一文字沙耶 232,634

 一文字ミラ 200,392


 こうして二人は殿堂入りした。



 ぶすっとしたいまだ納得いかない表情の黒髪の乙女、一文字沙耶に、オレンジ色の悪魔は飛びついた。


「沙耶ちゃん格好良いっ!さっすが1番だよ。ミラは大興奮です」


 心から自分の得点を超えた事を喜ぶ幼馴染に、沙耶はふふふと笑った。


「ほんと、どーしようもないねミラは」



午前中に訪れる閉幕式。

凄まじい結果だったため、弁当屋以外は誰も文句は無いだろう。


『それでは一文字沙耶並びに一文字ミラ、卒業と優勝者挨拶を合わせてお願いします』


 沙耶はミラに耳打ちすると、手を取って中央でお辞儀をした。


「あー、このたび成り行きで卒業する事になりました、一文字沙耶です」

「一文字ミラです」


 しーんっと静まりかえる中、長身の黒髪の乙女と、背の低いオレンジの少女は、元気よく挨拶をする。


「色々と何を話すか聞きたい人はいると思います。ですが、私からのセリフはただ一つ。文句あるなら、いつでもおいで♪」


 2人仲良く中指を立てた。


「いくよ。ミラ!一文字はあ〜〜〜 」



「「世界、最強!!」」


 最強タッグは無邪気に笑う。




御愛読ありがとうございました。




【スペシャルサンクス】


エニン様、ゆりゆりな様、酒井 凛様、ちょこ様、まとまる様、みいにゃん様、エルティ様、ライメイ様、南島 町様、POM様、霈嶺様、みいにゃん様、multi様、aliefkoe7様


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