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38 追走劇


 ミラは、良い事を思いついた。


 今日のミラは冴えてる!


 沙耶ちゃんが緑の人を探せなくて困ってたから、サングラス型の魔道具サーモグラフィを外して沙耶ちゃんに渡したの。


「ありがとう、ちょっと借りるねミラ」


 沙耶ちゃんがニッコリ笑ってくれた。嬉しいーーー。付け方は分かるかな?おおっ、大丈夫みたい。良かったぁ。


「さすが、沙耶ちゃんっ!」


 ターミネーター沙耶Chanが誕生した。

 和装の長い黒髪の美少女に、未来的な機械ゴーグルがミスマッチしてる。すっごく強そう!

 ブオンッ!!機械的なゴーグルの光が明滅して、キュイキュインと望遠レンズの駆動音がする。ジジジとなってるのは熱源センサです。

 ピポパポと鳴ってるから沙耶ちゃんが、ナビゲータに従い無事に目標を補足したみたい。


「そこか、ミドリムシめ。一文字に喧嘩を売った覚悟は出来てますよね?」


 怒った沙耶ちゃんがレーザーポインターを発射っ!

 命中。

 ピピピ・・ロックオンッ!


「ヤバいよお、沙耶ちゃんが格好良すぎる」

「そうですね沙耶様が輝いてます」


 レーザーポインターが左右に揺れてるから、グリーンマンが逃げようと身体を動かしてるみたい。無駄なのにー。ミラの作った魔道具からは逃げられないよ。そして猟犬の沙耶ちゃんからも。


「くっ、くそおお。魔王から、大切なロストアイテムを下賜されるなど聞いていない。なぜ貸し与えるのだ理解出来ない。ひぃぃひいい〜〜!!!」

「40秒与えます。せいぜい逃げなさい」


 追っかけっこが始まった。


「どけ、そこをどけっ!!」

「「なんだ?どこからか声がする? うおっ何かが当たったぞ??」」


 バンバンバンと見えない何かに弾き飛ばされて小坊主たちがバランスを崩していくよ。たぶん、あの緑虫が逃げてるんだ。


 37,38,39,40!


 一迅の風が吹くと、爽やかな風に沙耶ちゃんはなった。

 立ち塞がる邪魔な小僧共をすり抜けて、乙女の香りだけを残して、流れるように走っていく。格好良い〜〜良かった、今日は付いてきて良かった。


「レム、レム 早くしゃがんで」


 もうレムは気が効かないんだからっ。

 レムにおんぶをしてもらい追走を開始する。加速してとお尻をペチペチ叩く。


 レムが、よろけている小僧さん達を弾き飛ばしながら、追いかけていく。小僧共が幸せそうな顔をしながら倒れていった。変なの?


 追走劇はすごく楽しい。

 沙耶ちゃんの揺れる長い黒髪が凄く綺麗だ。はぁぁ幸せ。

 ミラも黒く染めようかな?でも、沙耶ちゃんがこのオレンジ色を褒めてくれたし迷っちゃう。

 おおーっ、ついに追い詰めちゃった。

 もう少し頑張ってよう、使えない緑虫さん。沙耶ちゃんの勇姿があっという間に終わっちゃったよ!


 チャキッと、抜刀して構えてる。

 たぶん、あの構えは首筋に当ててるんだ!沙耶ちゃんを敬愛する会のミラ会長に間違いは無いっ。 


「後悔はすみましたか?」

「俺が、俺が悪かった。だから命だけは助けてくれっ!!」


 沙耶ちゃんがニコリと微笑んだ。天使っ!いや女神さまだよぉ


「聞きたい言葉はそれではありませんが?」

「分かってるッ。俺は今、6,217ポイントを持っている。全部渡すから、お願いだからっ」


 どーするのかな?沙耶ちゃん。

 優しい表情でカチャンと納刀したよ。


「良い心がけです。その心がけに免じて、2,000で手打ちにします」

「それだけで良いのか?なんてお優しいんだ。沙耶様っ沙耶さまぁぁっ。これからは、沙耶様のために働きます。なんでも聞いてくださいッ」


『勝者 一文字沙耶っ! 決闘システムを介していませんが、魂の屈服を確認したため、ポイントの移行処理をします。・・・処理完了』


 優しいよ。やっぱり太陽みたいだ。

 突然、隠匿の魔法が切れて、滂沱する汚いグリーンマンが現れちゃった。

 うわっ・・ばっちい。

 突然どこからか現れた緑の変人に、ざわりとする遅れて駆けつけてきたギャラリーさん達。

 えっとね?沙耶ちゃんとの隠れんぼを邪魔した親玉坊主の人が息を切らせて追いついてきた。


「逃げるな、一文字。逃げても無駄だと言っているだろうが!俺と勝負しなければ、5Fには行かせないっ」

「ふふっ、いつまで古い話をされているのですか」

「古い?」


 疑問を浮かべる坊主に沙耶ちゃんはキリリと決め顔で言ったよ。


「たった今、5Fの権利を獲得しました」

「なん・・・だと?」


 驚愕してる坊主に、沙耶ちゃんは優雅にお辞儀をした。


「私の総獲得ポイントは、1万と1,257。貴方とは、お別れです。行くよミラ」

「はーい、沙耶ちゃん!」 


 うわぁーい。

 沙耶ちゃんに走って抱きつく。

 とぅっ!すんすん。おひさまの匂いだ。うへへ。


「ちょっと待て!一文字。そこの小さい子供は何だ?そのチビには、ここから上に上がる資格は無いだろ!!何か言ってみろッ」


 お邪魔虫の坊主が不満でもあるのかまだ何か言ってきた。はぁ?なあに?私達の仲を邪魔しないで。

 あれ?沙耶ちゃんの笑顔が曇った。

 え?なんで?


「彼女は一文字ミラ。総獲得ポイントは19万と392。これで満足しましたか?」

「はあ????19万ンンン!?そんな事有り得ない。そうだよな、皆!!答えてくれっ仮想決闘場!」


 なぜか周りの人達が坊主に賛成してるようだけど、仮想決闘場のファーストが答えてくれた。


『一文字ミラの総獲得ポイントは190,392。先程の申告に間違いありません。現在、在席している学生ランキング1位です』


 たちの悪い冗談だという顔の坊主達を残して、ミラと沙耶ちゃんは5Fへと移動します。ほらっ、沙耶ちゃんは嘘ついてないでしょ!


「それでは皆様。私達は一足お先に5Fでお待ちしています」

「お待ちしていまーす」


 ニッコリ微笑む沙耶ちゃんと、手を繋いで移動っ!!レムが裾をつまんで優雅にお辞儀した。

 見送られながら、バイバイする。



【次回予告】


 クラン結成

 『一文字』の名を轟かせろ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ミラちゃんが沙耶ちゃんの事大好き過ぎて、もうほぼほぼ恋する乙女な桃色思考回路で尊い。良き。
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