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そして…たまにはゆっくりと♪

 こんなに上機嫌なリアを見る事は珍しい。


 今、我々は城の厩舎にいる。


 今後の我々を心配してくれているギリアさんが気を効かせてくれたのだが、今レンタルしている馬車と馬。


 その両方を格安で買い取らせて貰えるように王様に進言して頂いて、麓の村に話を通して貰えることになったのだ。


 リアをあまり見かけないと想っていたのだが、めぼしい買い物が済んだ後はずっとここにいたらしい。


 完全に恋する乙女の瞳で馬に寄り添うリアは本気でこの馬に惚れ込んでいるようだが…ここは人の出入りも多い場所だ。


 変な想像をするのはやめておこう…。


 プラトニックなアレでお願いします!


リア「あぁ…ずっと一緒にいれるのねぇ…♪

   いつまでも運んだり運ばれたりし続けましょうねぇ…♪」


 首元にスリスリと寄り添われて馬の方も満更でもない様子…。

 うん、もうよくわからない世界だな。わかりたくもない!


シュミカ「ふふ…見せつけてくれる…。

     …いいぞもっとやれ♪」


 黙れ!


ギリア「さて、取り敢えず今日はどうする感じだい?」


 そう問われても特に予定もない。

 エイナの事は気になるが…リアにも釘をさされたように感情移入しすぎても良くないだろう。

 この世界で生きて行かなくてはならないのであれば、出会いと別れに対しての耐性も身に着けなくてはならない。


 今回の一件は、そのためには大いに利用すべき案件だ。


 距離を置こう。


ギリア「特に無いのなら、今後の為に馬車で生活出来る程度に必要な物を

    蓄えておくといいと思うんだ。

    私は麓に降りたらゲートを使って目的地に行く予定だし…

    その後は助ける事が出来ないからね…。」


 それもそうだ。

 流石は上級冒険者、細かい所も死に直結する事がわかっている…。

ここは今回の報酬を投げ売ってでもご教授願っておかなくては!




俺「じゃあ…必要になりそうな物、あったら生存率が上がりそうな物とか…

  教えてもらっていいでしょうか?」


ギリア「もちろん!

    …いくらあの子達に毒されても…

    ここで嫌だね!とは言わないよ、ははは。」


リア「じゃあこの子の装備も必要ね!?」


 馬車を引く馬の装備ってなんだ!?


シュミカ「ん…核シェルターは何処で買えますか…?」


 この世界にも核が!?


ギリア「…流石に買えないかな…。

    でもこの街は大きくはないが、様々なマニアが集まる場所でも有る。

    他の街に比べたらレアな物が見つかったりもするからね。

    取り敢えず今日一日は色々回ってみよう。」


 その後、浮かれまくっているリアから馬の名前についてアレやコレや聞かされ続けながら、

最低限の物資の買い出しに向かった。


 それにしても…その間、人は嬉しいとくるくる回るものなのだろうか?

リアも跳ねたり回ったりしていたのだが…。

成人女性が街なかでそれをすれば純粋にただただ邪魔である!


 そうこうしながらも様々の旅の準備を終え、やがて城に戻り夕食に付いたのだが…やはりエイナはテーブルに着かず…食事は部屋に運ばれているらしい…。


 もしかしたらエイナ自身も別れの準備をしているのかも…なんて想った所で自分の自意識過剰ぶりに気づいて恥ずかしくなった。


 それ程の時間も過ごしていないのだし、あの子が本当に慕っていたのは零也だ。

俺はたまたま条件が合ったヘルプに過ぎない事を改めて理解した後に…

ただただもう一度あの子の笑顔を見たいだけで深入りしようとしていた無粋な人間なのだと反省した。


 あの子やこの国に、俺ごときが出来ることはもう無い。

先は思いやられるが…目を向けるべきは、


 名前は決まったのだろうか?例の馬の素晴らしさを酔っ払いながら周囲に力説しているリアと、

実は勤勉で、どんな状況でも最低限自分だけは生き延びられる術を必死にギリアさんに問い続けているシュミカ…

この二人だ。

…不安しか無い!!

…とはいえ…一番の役立たずが俺で有る事は事実だし…少しは鍛えなくちゃな…。


 ギリアさんに色々教えて貰えるのも明日一日だ。

 今更の付け焼き刃だが…今後のためにも簡単な剣術、護身術の基本程度でも習いたいとお願いし、酒に飲まれたリアと、腐り系メイドさん達と意気投合して盛り上がっているシュミカを放置したまま俺は客室に戻る。


 …やはり零也の気配はない。


 エイナの部屋を訪ねようとも想ったが…今の思いを伝えたらすぐにでも出発したくなりそうなので、それは明日の夜にしようと決めた。


 この世界に来て、体感で数ヶ月。

いろいろな事があったはずだが、正直あまり覚えていない…。

多分今回の事が原風景として残るのであろう。

余裕が出来たのもあってそれ程に記憶にに残る数日だった。


 そして、明日も一日ユックリ休んだ後…いよいよ本当のサバイバルが始まるのだ。

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