英雄?の日常②
鈍い銀色の光を伴った暴力が、周囲の人間の命を容赦なく刈り取っていく。
「女子供は傷付けんなよ!!値が下がる!!」
「頭ぁ!一人ぐらい犯して潰しちまってもいいでしょう?」
「周りの護衛は皆殺しにしちまえ!!」
神様、私達はここで死ぬのでしょうか?
貴方は私に、ささやかな幸福と、塗り潰されそうな絶望を与えました。
それが私の運命でしょうか?
抗うことは不可能なのでしょうか?
「おいおい、今回は当りだな!女の奴隷ばっかじゃねーか」
「げははははっ!睨んでも叫んでも助けなんざこねーよ!お前らはこの死体の代わりに、俺らが丁重に売っぱらってやっからよ!!」
もし叶うならば、この腕の中で震える命だけでもお救いください。どうかっ、、、!!。
「あー。マジかよ、格好付けて走ってきたけど壊滅してんじゃん。何だこれ、俺走り損じゃん。そんで二の四の六と、、、うげぇ」
この暴力が支配している空間には余りにも不釣り合いな、どこか飄々とした、しかし明らかな怒気を含んだ声。
「よりにもよって奴隷かよ、、、。最悪だ、胸糞悪ぃ、、、おい、お前ら。一応聞くがこれはお前らが、、、」
私を含め、周りの空気が固まる。当然だ、この男性、何時から此処にいた?
護衛にこんな男はいなかった。夜盗共も驚いているということは仲間ではないのだろう。
「な、なんだテメェ!いきなり出てきて何ゴチャゴチャ抜かしてやがる!」
「ああ、いいんだ。今のでわかった。唯の確認だ。」
「あぁ!?状況わかってんのかテメ、、、」
瞬間、男の腕が落ちた。
「お前ら皆殺しだ。有難く思え、慈悲なく苦痛塗れで殺してやる。遠慮するな、全員一緒なら怖くないだろ?」
「ぎゃああああああっ!!?う、うで!俺のうでぇえ、、え?」
ゴロゴロと男の首が転がり、辺り一面が重そうな赤で染まる。
「ひっ!?」
私の後ろにいた女性から、息が詰まった様な悲鳴。咽返る様な血の匂いの中で、私は彼だけを見ていた。
「腕一本ぐらいでギャーギャー喚くな、反射で斬っちまうだろうが」
そこからは唯の虐殺だった。漆黒の刃は言葉通り無慈悲に、夜盗達は涙ながらに許しを請うても意味はなく、まるで意に介していない。
生き物を、ましてや人を殺すことに一切の躊躇がない。
私は目が離せなかった。否、離したくなかった。
死の臭いに満ちた、赤に佇む黒は、何処までも美しく、私を捉えて離さない。
勢いで書いてるんで、細かい設定なんざ何一つないです。(笑)