プロローグ
初めまして!頑張って書いていきたいと思います。
一人の男がいた。
「俺は自分が救世主、英雄になりたいとは欠片も思っちゃいない。俺一人居ようが居まいが、人なんざ死ぬ時は簡単に死ぬ。それは軍人であるあんたらが一番理解してるだろう」
淡々と、しかし嘘偽りを感じさせないやる気のない声。
「国の為、その国で暮らす民の為に命を投げ出す、そんな覚悟でこの場に集まったあんたらには悪いが賛同できないし、したくもない」
「一言で表そう。あんたらは馬鹿だ。」
男を見つめる複数の眼に、怒気の色が滲み出る。
「なら何故俺はこんな場所に立ち、あまつさえ馬鹿にしたあんたらと、その馬鹿げた行いをしようとしているのか」
「気に入らねぇからだ。俺は大馬鹿者だからな、俺の楽しみ、旨い飯食って、良い女抱いて、好きなだけ寝て、気が向いたら起きる、そんな人生を邪魔する奴は、神でも許さん」
「結局は根本的な部分であんたらと一緒だ。あんたらは自分たちの生活を脅かすアイツが気に食わない。俺はその余波で自分の楽しみが奪われるのが気に食わない。同類だろ?」
男は強く、己が不遜な矜持を、自分の言葉に耳を傾ける者達に示す。
「富も名誉も、美しい女性も、俺はお前らに要求しない。だからお前らも俺に何かを期待するな」
「俺はこれを役割だと思っちゃいない。自分にしかできないことだと誇示するつもりもない」
「死にたい時に死ね。生き残りたい奴は這ってでも生き残れ。あばよ戦友共。生き残ったらまたいつか会おうぜ」
その年、一匹の竜が討伐された。