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8話 ひいおじいちゃんと大切なもの

最近あっつくなってきた、また夏が来るのかと思うとうっとうしくなりますね

とりあえず小説読んでいこうぜ!

大本営の発令によりミッドウェー諸島(花世)における攻略作戦が展開される。これは我が大日本帝国軍(源一郎)の悲願であり失敗してはならない任務である。



「俺は攻撃を行う!」


「援護しろ!」


「突撃ぃ!」



了解!了解!了解!




「我々の陣地を守れー!!!!」



(花:うるさいなぁ、送ってくれるのは嬉しいけど。なんでこんなにうるさいのさ。なんで38式歩兵銃っていうの?持ってるのさ)



「着剣!!」ジャキン



「敵の潜水艦を発見!!」





駄目だ!駄目だ!駄目だ!





「駄目かー」



(花:先から何叫んでるのよ。潜水艦なんていないじゃんここ普通に道の真ん中なんですけど)



「魚雷でも、爆撃でも構わん確実に殺せ」



「関東軍の意地を見せてやる!」(福島県民です)



「yapaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!(ウラー:ロシア語で万歳の意)」



(花:いくら他の人から見えていないっていっても駄目だってば朝から元気すぎるでしょうが)




「鶴翼の陣形」



「俺は防衛を行う!」



了解!了解!了解!了解!



「大和魂を見せてやる!」




ヤァァアァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッァァぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁっぁっぁぁアアァァッァァッァァッァァああああああああああああああ!




「花:うるっさいよこの軍人ジジイ!!!!」

「源一:グェ!」



春から初夏に変わってきた今日この頃、花世は勤め先である出版社に向かおうとしていたのは良かったが



日は登っても何かあったら怖いという理由、で源一郎という名の鉄壁の盾と強固な矛を持ち合わせ、早速会社に出勤という予定だったが、最近ちょっと気温が上がったというだけで源一郎の頭は湧き、早朝はいたって普通だったのに花世が出勤する時間が差し迫ると体が上下に動き始め電車に乗って駅に降りた瞬間にぶっ壊れた。


ちょっと都心に近づいただけでこうなった。

都会に対する憧れから変なモードのスイッチが入った。

あまりのうるささに堪忍袋の緒がブチっと切れて、緒は明後日の方向に風とともに去ぬ。

花世渾身の右ストレートがちょうど源一郎の左脇腹に入ったことで術は解けピクピクダンスを発動し今に至る。


「花:ねぇ源一郎さん。ついてきてくれるのは嬉しいけどあまりうるさかったら本当に怒るよ」


「源一:だって花世を襲ってくるやもしれぬ都会の狼に目を光らせねば大変なことになるのだぞ? 儂はそんなところを見たくない」


「花:じゃあこんな市街地なのにどうして(敵の潜水艦を発見)なんていうの。どこにいるの」


「源一:・・・・・・・・・・いってみたかっただけです。」


呆れてため息が出てくる花世。それをよそにじじいは空を見上げてビルとビルの間に浮かぶ青い海のように綺麗な空に一本線の引き波のような飛行機雲を都会の地面で見ていた


源一郎が子供の頃にはなかった、大きなビルと飛行機雲、珍しい光景に時代を感じつつぼーっと空を見上げている




「源一:花世やー。あの白くて細い雲はなんだろうか」


「花:・・・そっか見慣れてないものね。あれは飛行機雲だよ。飛行機が飛ぶとあんなのがたまーにでる」


「源一:そうか・・・どこの会社の飛行機かのう?」

「花:さぁわかんないよ。作ってるのはボーイングっていうらしいけど」


ボーイング社の飛行機、英語の綴りでは最初に来る頭文字はBつまり爆撃機を意味するB、と勝手に変換した源一郎は何を血迷ったのか突如飛行機に対して威嚇しだした。



対空兵器を持たずに・・・ということは


「敵の爆撃機を発見!」


了解!了解!了解!了解!了解!了解!了解!了解!了解!



「ヤァロォぶっ殺してヤァァァ!!」


「花:だからうっさいっていてるでしょうがジジイ!」


「源一:アヘェァ」


花世の怒り臨界点はマックスになり右ストレートだけでなく左アッパーカットが炸裂しジジイは気絶しましたとさ。


ジジイ完全に消滅。




シクシクとうなだれるように姿を消しながら花世の後ろを歩くジジイ、それを見事にシカトするように出社する花世。


だが源一郎がいることで、彼が持つ好奇心や現代の当たり前というものの意味が新鮮に思え始めてきている。

自分が見た世界が当たり前という概念に縛られていた。

今という新鮮な世の中に興味を示す源一郎と視線を少し同じ方向に向けてみると当たり前は少し違った方向に見えておもしろい。

ただ道を歩くだけでも通り過ぎる人々のひとつ一つの物語があると思うと新鮮で自分が見ているこの世界に少し興味というか好奇心が芽生え始めている。



会社に着くと源一郎とはお別れし、エントランスを抜けてビルの6階のオフィスに入る。

そこは男性社会というよりも女性社会、それであるがゆえ花世のデスクの周りも女性の方が多い、そういう意味では変に肩の力が入らないでよかった。


が今日はそういう風にも行かなかった。社会部の担当の他にミステリーといってもオカルト部の担当までいる。めんどくささが増えた


「社:田中さんおはよう!早速悪いけど」


「花:いたしません」


「社:・・・・いたしません?だけど」


「花:いたしません!」




いたしません



という言葉にバツの悪そうな顔をするがそれを好機と見たオカルト部の担当も花世に迫り始めるがそれ以上に後からやってきたミリタリー部の神田の気迫にやられて散り散りに分かれていく。この弱腰の姿勢に笑いたくなるが未だけ神田の存在はありがたい


「花:神田さんありがとうございます。・・・それにしてもどうされたのですか?」


「神:あぁこの前言っていた軍人さんのことなんだけど。黒色って言っていたよね?あれは憲兵を意味しているんだ。」


「花:憲兵?って何ですか?」


憲兵、それは主に軍隊に関する警察を受け持ち軍紀を維持する任務の兵種。

その軍人を意味する。砕けて言えば軍隊の中の警察のようなもの、すごいねじいちゃん



『ヘックシュン!・・誰か儂の話をしているのか?』


「神:だと思うんだけど赤い縦線と黄色の横線の意味がわからないんだ。もう少し待っていてほしい。」


「花:全然気にしていないので大丈夫です。そうか・・・あの人は憲兵さんだったのかな?(ひいおじいちゃんそういうところ言ってほしい)ありがとうございます」


お礼を言おうとした時だ。

すでに神田はおらず自分のデスクに戻って行った。

変わった人が多いと思いつつも花世の企画である雑誌の出版に向けて着々と最後の追い込みにかける。

自分たちが自信を持って世の中に誇れる雑誌にしたい。




たとえ部数が少なくても誰かの手に届くならどの世代に見てもらえるように作った、だからこそ自信を持って臨みたい!




黙々と出版に向けてのラストスパート、今回の担当の人間全員がぶっ殺すマン状態で打ち込み周りにいた人間たちもその瘴気でチリになって言った。


 





午後一時。

念願叶っての花世が企画した雑誌「品川ウォーク」が完成した。



え?何かの雑誌の名前と似て入るって気のせいだよ〜。え?違う?



さぁ後は編集長の井上からオーケーが出れば晴れて出版できる。はず




「井:・・・・・詰めが甘い。甘すぎる。最後のこれ。」


「花:・・・・申し訳有りません。すぐに訂正します」


「井:何言ってるの・・・オッケーに決まってるじゃない」



そう晴れて、晴れて雑誌を作り上げれた。

ここに入る編集部の皆とともに一から作った案は一つの雑誌として出来上がったという。

今までの苦労が実り満を辞して世に広めることができるそんな雑誌に仕上がったのだ。

あまりの嬉しさから花世は泣いてしまい、花世の同期たちも出来上がった雑誌の出版に心躍らせて入る




この一週間後、晴れて出版され、反響を呼ぶのはまたその後



幸せの空気は夜、面倒な方向に走ってしまった。

編集長のおごりで飲むことになったはよかったものの、そこはクラブ。

お兄さんが女性の相手をするホストクラブに入ることになった




まじかよ



なんて口が裂けても言えない。

花世たちほか5名は今すぐ回れ右して帰りたかったが、1軒目に入った居酒屋で酒が入ったことにより、理性という名のリミッターは井上の辞書から消えてしまった。




もつれ込んで夜11時。



井上の頭に終電という言葉がなくなり始め、困ったと思っていたところ母親のメールでひいジジイがそっちに行くというそして親父である浩一も近くにいるため一緒に帰っておいでと言われた。ようやく帰れるなーっと花世の頭には文字どおりお花畑がふわふわーと浮かんでいた。




視点が変わってひいジジイ



着流しを着込んで、涼子に言われすぐさま飛んで駆けつけ夜の11時少し過ぎた頃、繁華街のネオンに目を潰されかけていた。無理もないこんなに蛍光ネオンが光る場所など戦前の昭和にはあまりなかったからだ。


そんな光景に驚いて入ると路地から少し喧嘩のような聞こえ始めてきた。

その方向を見ると高校生ぐらいだろうと思わしき年の男女数人が集まり一人の女性を取り囲んでいた。制服のようなものはきておらず学校帰りにしては遅すぎる。非行少年、少女の類か疑問に思う源一郎の頭にグループの発言である方向に切り替わった



「さすがにダメだって。かわいそうじゃん」

「いいんだよこれくらい。あんなところでヘマしたから、いいだろ相川」

「・・・・・」



いじめか。



何かが原因で雪乃と呼ばれて入る女性はいじめられて入る。少し喝を入れるかと思った時だ、雪乃と呼ばれた女性がある男の前に放り出され何やら会話をして入る



いかんな・・・


ジジイが思うところ行動あり。

女性は男に腕を掴まれて路地の中に吸い込まれそうになったところでジジイは止めに入った



「源一:おお、雪乃ではないか!探したのだぞ。夜は遅いのだ帰ろうぞ」


「雪:・・・・・・あなたは確か。・・・・!ごめんおじさんありがとう 帰ろっか」


男から雪乃を引き剥がし路地から抜けようとした時だ、男が難癖つけ始めた。

酒に酔って判断がついていない。面倒この上ない


「男:あんたぁ何様だよ。俺、このこが誘ってきたから乗っただけだし・・・」


「源一:そうか。そうだったか・・・このジジイに免じて許してくれないか?金なら・・・おおここにほれ一万円ある。どうだ許してくれないか?」


男はバツが悪そうにしながら一万円を受け取りさぁ帰ってくれるかと思いきや、源一郎にさらに食ってかかり始めた。


「男:お金貰っていくけど。ちゃんとお願いしますって言ってくれたら考えるけど?」


たちが悪い男に引っかかってしまった。今にも泣きそうになる雪乃をなだめ源一郎は深く深く頭を下げた。綺麗に一直線な礼。めいいっぱい頭を下げるのは屈辱的にも思えたが源一郎は苦にすることはなくただ静かに頭を下げ続けた


「源一:お願いいたします。どうかお願いいたします!」


どうしてそこまで頭をさげるのか、雪乃には理解できなかったが思い当たる節があった。

あのおばけ工場に行き、怖い思いをさせてしまった時の謝罪がそうだ・




あまりのジジイの気迫に男は渋々路地の中をすり抜け二人の目の前から消えたが、雪乃にはもう一つの心配要素。

いじめを行なっていたあの中に戻りたくはない。

リーダー格が源一郎を睨みつけて入るがジジイはきにすることなく雪乃にある紙幣を手渡す



「源一:これをあいつらにくれてやれ、多少はマシだろう。この前は済まなかったな。怖かっただろう」


「雪:あなたはあの時の軍人さん?・・それならこちらこそ有難うございました。なんとお礼をすればいいか」


「源一:礼などいらぬ。それよりも早く帰った方が良いぞ。あまり長居する場所ではないからな。それじゃあの」



そのままジジイは人ごみをすり抜けるように街の中に消えて行き、姿が解けるように見えなくなった



「・・・雪乃。お前まじでふざけてんの?せっかく面白いもの見れたかもしれないのにつっかえねぇ」


「シン!幾ら何でも雪乃がかわいそうだって!ごめん雪乃」


「・・・・いいの。大丈夫それに・・・百円札?」




そこには板垣退助が書かれていてさらに数字がゾロ目、福耳と呼ばれ紙幣の端のどこかに違う紙幣の切れ端が付いている


「・・・・なぁシン。あいつの腹のところに布があったから冷やかしで撮ってみようぜ!」


「・・・まさでできるか?」


「・・・もっちろん」



「まさ」と呼ばれる男は「シン」という男の命令で源一郎の腹の布を盗みに走る。

それを知らない源一郎はホストクラブの前でたちでかでかと輝く看板にびびりちらしていた。



宣伝文句。「イケメンが仕事。君の心は俺のもの」


「源一:気持ちわる。なんでこんなに顔がちっこい!日本男児たるものそうではいかんぞ!もっと男磨け。ったく」


看板に嫌悪感を覚えていた時だ、奇遇にも同僚と飲んでいた浩一がジジイの前に現れ、花世が出てくるまでじっと持つことになった



「浩:すいません。なんだかご迷惑をおかけしました。」


「源一:構わぬ。それにしても・・・・・なんとも言えぬ店ぞ」


「浩:ごもっとも!しかし・・こういうのも必要ですからね」


そうかなーなんてぼやいた時だ。花世がフラフラと歩きながら店から出てきた、ほかの同僚も含めてのこと。上司はまだ残るとだけ言って店から出てこなかったらしい。


「「源一・浩:さけくっさ!」」

「花:おそくなってごめんなさい」


おぼつかない足元に浩一がしびれを切らし花世の荷物を持ってやり、ジジイは手を優しく握りゆっくりと駅の方まで歩いて行く、弱っている顔を見るのもジジイはちょっと面白そうにしていた。


幸せは多い方がいいなんてぼんやり考えながら歩いていた時だ。

偶然前からぶつかってきた男を避けたと思ったが避けきれずぶつかってしまい平謝りだけして男は消えて言った




「源一:・・・最近は冷たくなったものだ」


そう言いながら何事もなかったかのように家に着いたと同時刻



「シン撮ってやった!あいつ何もわかってないぜ。見てみろよこのボロ切れ」


「広げてみろよ。」


その布を広げて見ると白いぬのに赤い小さな刺繍が施されさらに赤い文字で「武運長久」と書かれている



「だっさ!何これ?なんか書かれているし」


「雪:千人針。本物だとすると・・・・あの人本当に」




日本兵だ。本当の妖怪日本兵



その頃田中邸。

ジジイが肌み離さず持っているはずの大切なものがなくなっているのだ。タンスや思い当たるところを調べたもののどこにもなかったなかった

花世を迎えに言ったその帰りにぶつかり。その時に取られたようだ


「源一:嫌じゃぁ!あれは儂に無事を祈って梅子が作ったものなのにー」びぇぇぇぇ


「花:ごめん迎えにきてって言ったばかりに。ごめんね」


「源一:花世のせいではなく儂の不注意ぞ!しかし!しがじ」


そのまま源一郎は梅子に土下座し極め付けはちょこんと正座する梅子の両方の太ももに顔をすずめながらすけべ触りをしつつ謝り倒す


「梅:お父様を決して責めたりはしません。明日、梅も一緒に探しますから。どうか泣かないでください」


「源一:梅ちゃーん。ごべんなざい」ビェェェェェェ、ビェェェェェェェ


この騒動から最悪の事件が発生する




「あのガキども殺してあげる。彼の方の大切なものを奪うだなんて。でも私をみてくださるきっかけになれば。」



惡の華が開花しようとしていた



おじいちゃんの大切なものが取られちゃいましたね

大切なものは肌み離さず持っているたちだったんですね

雪乃はそれが気がついたのでしょう。そしてジジイの存在にちょっと気がついたんですね

小説の最後に書かれているヘンテコな会話文は一体誰なんでしょうね

ちょっとしたヤンデレ臭がしますがそれはまたこんど


次回予告

源一郎の大切なものである千人針を探すもなかなか見つからず困惑する

そして事件が発生し、その現場に偶然にもジジイが居合わせてしまう

そこに花世の知り合いである吉野が源一郎の存在に気がつきジジイを不審に感じじじいについて捜査を始めた

一方千人針を盗んだ高校生たちは源一郎に対して揺さぶりをかけ始める

ちょうど花世と雪乃は偶然街の中で出会い仲良くなり始めた


次回

ひいおじいちゃんと事件

「源一:・・・・千人針・・・どこぞ?」

「梅:一緒に探しますから」

「吉野:あの人どこかでみたような?」

「花:心がざわざわするよ。優子ちゃん」

「吉野:うちの刑事たち登場するよ?」

「源一:ヒェー!」

次回もよろしくお願いします


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