63話 ひいおじいちゃんと建御雷兵の本当の真実
お久しぶりです!!
個人的な都合と都合と日にち感覚がわからなくなっていて投稿できませんでした
(言い訳すな!!)
本当に寒くなってきました
手がかじかんで痛いです
平成という遠い世界の向こうで自分の存在意義がわからなかった
あの島の惨劇の後に、俺の体は化け物に作り変えられたというのに
植えつけられた力を発動しようとすると瞳に奇怪な模様が浮かぶ
ちょっとやそっとの傷はすぐに癒え、他者の傷をも受け入れ治す力もある
かかとで地面をければ地面が壁のように隆起し石のつぶてをも出せる
相手の目と俺の目を合わせれば幻術にかけることだってできる
青い炎、「浄化炎」を使えば簡単にものを燃やすこともできる
目の前の落ち葉の山にだって
「やっきいも やっきいも ふんふふんふ ふん!!」
「花世や、それ以上近くでないぞ。 後、戦時中は落ち葉を簡単に燃やしてはならんかったのだ」
「どうして? 邪魔なだけじゃん。・・・まさか落ち葉まで軍に出さなきゃいけなかったの!?」
「違うわよ それには理由があるのよ・・・。 ね、お父様」
「うむ。 ちとケチ臭い理由だがのぅ」
少し北風が強く吹くこの日
家族だんらんとは言わないものの、庭の落ち葉にアルミホイルで包んだサツマイモを入れ田中家は焼き芋を楽しんでいた
源一郎が持つ特有の異能力「浄化炎」で落ち葉を燃やしながら焼き芋をこしらえている
ではなぜ、戦時中の落ち葉を燃やすのがいけないのかを軍人の口から聞こう
「簡単なことよ。 落ち葉とて燃やせば良い火力になる。 花世や、昔の風呂の仕組みを知っているか 」
「薪をくべて燃やす仕組みだよね」
「そう、そう行ったことに使うようにっとまぁこういう具合。 ものが乏しい時代だったからな」
「そう言えば、お父様。 結構燃えてますがいいのですか?」
あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
「それで・・・・いい焼け具合以上になったんだな。 幾ら何でも焼きすぎだよ、父さん」
「源太や・・・・・許してくださんしょ」
焼き過ぎによってサツマイモの蜜が抜け、若干パサつく結果になった。
庭で焦げ臭い匂いがしていると知った瞬間、楽しみにしていた家族の表情は暗くなり呆れ停止待っている。
もうすぐ80歳手前の息子に説教くらう107歳の父親。
「すまぬぅ。 すまぬぅ。」
こうやって謝ることしかできません
庭に面した座敷で家族全員が集まったは良いが、焼き芋の惨事にしんと静まり返ってしまっている。
皆、パサついた芋をかじりながら、暖かい緑茶で流し込むが芋本来の甘みが薄くおまけに緑茶の味も薄くかった。
「そんなにお父様を責めないで。さぁもう一つ頂こうかしら」
まさに菩薩とも言えよう梅子が手を伸ばしたがピタリと動作を止めていた
目の前に半透明ながら軍服を着込み、焦げた芋と源一郎の飲みかけの茶でくつろぐ幽霊がいる
「これはやりすぎだ、源一郎。 あ、皆さんどうもお久しぶりです」
「建御雷兵の本体!! なぜ貴様がここにいるのだ!!」
「なんだって良いだろう・・・。 それよりお前はもう少し芋の焼き方を学んだらどうだ」
田中邸宅に現れた軍服を着込んだもう一人の源一郎
だが、顔つきや振る舞い方ましてや雰囲気が源一郎と違う。
ひょうひょうとしていて掴み所がなく、だが真のある不思議な力強さのようなオーラが漂っている
源一郎の血の繋がらない兄の田中正明に似ている男
彼は今、目の前に座り込んでふっと笑っているのだ
「建御雷兵お前に聞きたい なぜ俺の兄貴に似ているんだ?」
「もしも、俺がお前の血の繋がらない兄ではなく、本当の兄弟なら?」
「まさか・・・・・。いや、そうか。」
「心配させてすまなかった」
たった二人の中で何かが解決している様子にしびれを切らしかけていた創真だが源一郎の顔を覗き込んで突っかかろうとするのをやめた
普段、朝ドラの感動するシーン以外では滅多に泣かないのに、うっすらと頬に涙を流しているのだ
微笑みを浮かべているのだが、苦しい心の中のだろう口角はずっと下へと下がってきている
「もう儂の中であんたが何者かわかっていたよ。兄貴」
「そうか・・・ならお前の知らない真実を話す。 俺とお前は・・・・」
正真正銘、血の繋がった兄弟なのだ
「どういうことですか・・・・。だってひいおじいちゃんは一人っ子だって!!」
「花世さん、それは違うのだよ。 これは俺の親父から聞いた話だ」
時は、遡って戦前。
いや、大正から昭和に変わる少し前のことだ。
お前が生まれる数年前、俺は福島の家から東京の田中家に移ることになったのだ。
理由は、家の事情がそうさせたらしい
貧乏な百姓だったから、東京府にいた遠戚で軍人である田中の家に頼み込んだのだ
『どうか、惨めな生活を送らないように強くて良い子に育ててください』っと
聞かされた話だからな、どこまで真相かどうかわからない
身勝手な理由だと、親父は・・・・継父は言っていた。
時が経って、お前が生まれてやがてお前が6つになる時に流行り病にかかり両親は亡くなられたのだ
そこからは、お前が知っての通り東京の養父母のもとで育てられ軍人となった
幼年学校に入り、士官学校へと行き陸軍士官への道を進んだのだ
やがて、継父も戦死され真実を聞く機会がなくなっていった。
「継母なら知っているだろうと思っていたのだが、知ろうと考えた時に、俺は・・・・・白石の手下に殺された。 戦死扱いされたのだ」
「・・・・・・なるほど。そういうことだったのか」
「ここからがこの話のミソだ。 建御雷兵・建御名方兵双方には人柱がいるのだ」
「人柱・・・・。 まさか・・・生贄のことですか!! じいちゃんは生贄にされたというのですか!」
「そうだよ・・・・源一郎の孫の嫁の涼子さんだったね。 この二人の兵を作るのに俺と白石の兄『幸治』が使われたのだ」
双方の人柱として俺たちは、訳のわからない力を植え付けられ魂のようなものにされたのだ
ほら、忍者アクション漫画の主人公の中にいたおっきな狐みたいなのと俺たちは同じような扱いを受けたのだよ
血縁が近ければ近いほど、肉体と人柱の関係を結びつけやすかったと思ったのだろう
俺がお前の血の繋がった兄であったように、白石自身も『幸治』と結びつけられると思ったのだろうな
長く時が経ち・・・敗戦色濃厚となり源一郎が最期の戦いの地となる南方の島での惨劇
アレは白石が起こした悲劇なのだ
と言っても白石自身は覚えていないだろう、どうやって命令を受けたか知らないが・・・・
回復した敵兵の無線機を使い、仲間を呼び寄せ入れ物にするために瀕死の状態に我が弟を・・・・・
俺にはどうしようもできなかった。
白石も同じよ・・・・手引きしたにも関わらずボッコボコにされて実験の道具にされて
「なぁ兄貴・・・・。俺の意識が薄れいていく中で聞こえた野郎どもの声というのは・・・」
見つけた。
これならば、我が軍における最強の兵器となろう
これで本土決戦から神風を起こし勝利へと導ける戦ができよう
つまりは、肉体的・精神的にも強き最強の矛となる。
これがうまくいけば切り札となり得る。生かすのだ、兵として生まれ変わらせるのだ
「お前を連行しようとした技官や頭のイカれた将校どもはこう言っていたのだ。そしてお前の中に埋め込まれたのだ」
いつの間にか静まり返っていた座敷の中で源一郎の表情は怒りに満ち満ちていてどうにも止められそうにない
かつて起きたあの地獄の中で、最期の最後まで命をもてあそんだ連中のおもちゃにされていたのだ
その怒りに満ちている源一郎のそばに、涙をためて梅子はそっと寄り添う
「梅子さん・・・・・。いやぁ麗しい女性になられた・・・・・。弟よ・・・お前がこの時代に目覚めてよかった」
「どういうことだ兄貴? 説明していくれ。 」
「お前がこの平成という輝かしい世に目が覚めたことで白石・・・いやそれ以上の物の怪にならずに済んだのだ」
こんなに家族に愛され、孫世代のような友人やちょっと変わった巡査殿たちや陸の防人たちに会い
かつての友の力を借りて人々と触れ合っていく
なかなか出会えない、まさしくお前らしい愛情に溢るる世界を作ったのだぞ・・・
とっても誇らしく、かけがえのない眩いものではないか・・・
「花世や創真・恵美のような未来を知った・・・・・。源一郎、やっぱりお前は最高の弟だな」
「あ・・・・・・・・・兄貴。 体が透けてきているぞ!! 死ぬな馬鹿野郎!!」
「俺は死なない・・・・お前の体に戻るのだ。お前の体が朽ちる時、俺も同じように朽ちる。最後に言わせてくれ」
俺はお前に、血の繋がった兄と言えず。
先に冥土に行ったと思えば人柱となりお前をなんども傷つけてきた
陰ながら見守ろうという題目を立てて、化け物の力となって苦しめても尚、お前のそばにいたいと思っていた
お前とともに白石の愚行を止めれた時、俺はお前の人柱としてこの世に生を受けてよかったと思っている
兄貴らしいこともろくにできない俺だったが、せめてもの罪滅ぼしと俺らしい何かを拾うきっかけとなったと思えよう。
「源一郎・・・もうお前を苦しめたりしない。 お前の力になって生きる。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「俺はお前の中にこれからもずっと生き続けよう。 お前の歩み続ける道をずっと歩もう」
「あ・・・・・・・あんにゃぁ・・・・・・」
「これから先どのような苦難があったとしても俺は、お前を愛している。 」
「ずっと見ていてくれたのだな・・・・。愛していてくれたのだな」
「当たり前でなないか・・・・・。大切な弟なのだぞ。ずっと黙っていてすまなかった。許してくれとは言わないさ」
「馬鹿者・・・。 許すに決まっているだろう・・・・・兄さん」
「俺はお前をずっと愛している。泣くな、男前の顔が台無しだ・・・・」
眩い光とともに正明の体、いや建御雷兵の体が透けて消えそうになっていく
だがその光は源一郎の体を抱きしめ、包み込みながらスーッと溶け込んでいくのだ
これが正明にとって、この場でできる最大級の愛情の表し方なのだ
「愛してぐれでありがとない、正明あんにゃ!! 」
「おらの弟どして生まれでぎでぐれでどうも。どだ未来でもおらはおめの兄貴だがらな」
ありがとう・・・・こんなダメ兄貴だけど愛していると言ってくれて
光は源一郎の体の中にスゥーっと溶け込み消えていった
そのままうずくまるようにして、動かずに堪えていた涙を流していった
「俺はずっと一人だと思っていた。 でも違ったんだ。俺のそばで見ていてくれる兄貴が居たんだ。 気がつかなかったのだ・・・」
「お父様・・・・。 ずっとずっと孤独と戦っていらっしゃったのです。 でもあなたのことを見ていてくれる人がいたのです」
「そうだな・・・・・。 どんな形であれ・・・会えてよかった。 よかったべ」
「ねぇひいおじいちゃん、感動しているところ悪いけど・・・・。食べかけの焼き芋とお茶。 お兄さんに持ってかれたみたいだよ」
苦笑いを浮かべる花世に、そこにいた家族は何度も頷いている
気がつかぬまにギュッと握られた左手の拳の中にはアルミホイルが小さく畳み込まれ広げた瞬間に感動から殺意に変わった
焼き芋の加減はまだまだだね・・・。 名人のもとに行ってやり直しなBABY
「やっぱりあいつ許さねぇ・・・・・。人の焼き芋食っといて勝手に消えてんじゃねぇよ クソ兄貴ガァ!!!」
「お父様、怒ってばかりいると血圧が上がりますよ!!」
怒り心頭な源一郎とそんな姿に笑い転げる家族
秋から冬の姿が見え隠れするこの世界の中でゆっくりと未来が動き出そうとしていた
ここ書きたかった
ようやくここまでかけたっていうのが私の中で喜びです
兄弟愛を書きたかったのですが個人的にはおいおいっていう締めくくりで終わらせました
でも、源一郎はずっと孤独だと思い込んでいたぶん、真相の一つに触れられてよかったんじゃないかな
あとは責任放棄します
次回
東京の中心的位置にあるシックな建物の東京駅にこの3人はやってきた
ある人間と会うために、時間の埋め合わせであの店に突入す!!
「ふ・・・・・・フラペチーノくださんしょ!!」
「ひいおじいちゃん、どのフラペチーノにするのって?」
「やっぱり若者の文化はまだキツイんだよ。 もっと練習させてからにしたら花世」
「黙れクソ創真。 この前もFXでお小遣いの一万円溶かしたんでしょ!」
(なんで知ってるんだよ!)
花世と創真は源一郎を連れて東京のど真ん中を歩くかと思いきや甘〜いコーヒーのお店に突入します
本当の目的は今後の源一郎の生きていく道だ
「じいちゃん、久しぶり。 警視庁受けるの?」
「違うな・・・・。 俺たちと一緒に迷彩服着ない?」
東京の官庁街に現れた緑の制服をきた吉野岳明三佐と眉間にしわ寄せる紺色の服の吉野優子刑事
この二人の兄弟喧嘩に巻き込まれていく源一郎達
来るんじゃなかったと思っても後の祭りだ
次回
ひいおじいちゃん 再就職先探すってよ
「儂は・・・何かのために働きたいのだが・・・」
「警視庁!! 警視庁きてよ!! 一緒に東京を守るのだ!!」
「いやいや!! もっとおっきなもの守ろうや!! ええやんな!!」
「ふっふっふ。 検察事務次官はいかが?」




