表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/65

55話 ひいおじいちゃんと最初で最後の対峙

わー!!

日をまたいだ!!


ゴメンなさい 今から投稿します!!

源一郎が作り上げた壁がゆっくりと崩れて行き玄関を囲っていた敵の姿が見えはそうになった



「あれ・・・・・さっきまでいた傀儡っていうかミイラみたいなのがヘドロになっ・・・?」



生臭い腐臭と白いスライムが辺りに広まっている中に軍服の切れ端のようなあせたカーキ色の布が交じっている。

なにも言えず、無意識で創真はただそっと手を合わせた。

今の自分にはただこれだけしか供養の方法がわからない。



「行こうか、創真・花世。 その気持ちだけでも彼らは少し報われるだろう」



玄関の階段を登り最初に見た風景はテレビの向こう側で見るような重厚感あるような場所だ

テレビで見た通りの世界だなんて思っていた自分がいるのに。



なのになんかがおかしい



「嘘だろう・・・・。凄まじい腐乱臭だ 吉野3佐はこういうの苦手だな・・・ 」



横に首を振って笑う吉野岳明とは対照に、壁に白いドロドロとした粘膜のようなものが張り付いているのを見て源一郎は顔を歪める

おまけにブルブルと震え、まるでスライムのような動きをしているのを花世は直視することができない



「 同人誌書けそう 」


「やめなさい。 そういうのダメ 絶対 」



自衛官ブラザーズの弟こと吉野頼人に止められる創真だがさらに顔を引きつらせていく

震えている白いスライムから手足がいたるところで生え始め、人間の眼球のようなものまでも不随意に動いている。

怒りに震えて源一郎がぎゅっと作り上げられた拳の隙間から血液が溢れ出し、再生能力のせいで血液が蒸発しているのを速水少尉は見逃さなかった




「田中少尉、言いたいことはわかる。 今まで戦ってきた傀儡ミイラはこうやって生まれてきたのかって思っているんだろ? 」


「なんでもない速水少尉。 攻撃できるように外で待機していてくれ。 野砲と爆薬が呼び出せる式符はこの巻物に」


「田中少尉・・・人体錬成かな? まぁいいよ。 田中少尉行ってこい」



にこやかに笑っている速水少尉の隣でタバコに火をつける田島も苛立ちのせいでか頭を何度もかきむしっている。

自分の父親が考えた人造兵士の片割れがまさかここまでの行動に移るとは思っていなかった。

いつの間にか空になったタバコの箱を口に加えて火をつけよとする。



「田島少尉、それ空からになってるべ」


「田中・・・・。帰ったらタバコ買ってくれよ。 それともし敵が暴走したら外に連れ出せよ。 秘密兵器を使いたいからな」


「そういえば河野少尉は何をされていらっしゃるのですか?」



遠く離れた壁際でひと昔はやったエキスパンダーを使ってひっぱり始めている。

何か声をかけにくくどうにもいえない。

むしろ声かけたらエキスパンダーで攻撃させそうな感じがしておっかない



「あの〜 河野兄貴? 一体何してんの?」


「これ? よくぞ聞いてくれたね、はなちゃん。 これは頸動脈を引きちぎる運動だよ」



笑う河野少尉に対して何かに気が付いた花世の指差す方を見て何も言えなくなった

階段をさらに登りきった場所に銃を肩にかけた武装兵8人がこちらへどうぞとばかりに誘うように立っている




「皆。 最悪だな。 さっきまで澄んだ空気だったが、瘴気に囲まれたよ」


「ひいおじいたん。 後ろにも敵がいるみたいだね」


「花世・創真。 お前たちは外に・・・・なんて言わないができれば河野のそばを離れるな。 いいだろう、河野? 」


「ガッテンでい!!」



自衛官ブラザースと田島たちの間を別つように敵が源一郎たちを囲い始めた。

要するに源一郎以外は眼中に入っておらず花世と創真は血族だから許され、河野自身はどうでもいいおまけ

そして現代火力を持つブラザーズを自分の作り上げた牙城にこれ以上入れたくないという表れ。


よっぽど相手は何かを急いでいるらしいな



「行くぞ・・・。 こっから先はただの闇よ」



両目が月白よりも濃く鮮やかな金色に小さな菱形の瞳孔とさらに小さな菱形の模様が同行の周りをぐるりと囲むような模様を浮き出す。

建御雷兵を示す独特の目が武装兵達を見つめた。


一歩、一歩と歩くと冷たく暖かな風が後ろを歩く花世たちの体を包む。

時折風の中に混じる梅の香が花世たちの心を落ち着かせる

同時に敵兵たちのボロボロの服と肉体が本来あるべき人間の肉体を取り戻させていった。



「ひいおじいちゃんは花咲爺様なのかな? 本当に不思議な力 」



「花世や、褒めてくれるのかい? ありがとない。 」



笑っていたのもつかの間、通された大会議室の大扉の前には黒い粒子が飛び交いながらうねうねと触手を動かす。

かたや粘膜を垂らすように白いスライムが高速でブルブルと震えていた。



「花世。俺の上着を着ていてくれ。 もしやするとこれが遺品になる」


「そんな!! ちょっと不謹慎だって!!」



「悪いが、俺は命をかけていく。 それに小細工がない方が相手もあまり刺激せぬ」



上着と略帽を花世たちに託しカバンと拳銃付きホルスターに軍刀を侍らせて重たい地獄の戸を開けた

一瞬光が目をくらませたが、瞬時になれた。




はずだった。



「・・・・・・・お前・・・・・嘘だろう」



テレビで見たことのある議員たちが階段状に座っているが全員顔をしかめ震えていた。

今にも泣きそうになっている若い議員もいる中でポツンと椅子に座るバケモノもどきがいる

白いスライムの体から見覚えのある緑色の軍服も垣間見れた





「ようやくきてくれた愛おしいヒトォ 革命の時がキタ 」




かつて陸軍士官学校で出会った初々しい姿は消え、軍人として憲兵としての凛々しさも、自分を裁判で担当した検事の姿もなく。

扉の向こう側にいるのは白いスライムが右半身を覆い、背骨が異常なまでに反り返って突き出た悪魔。

兵士でも人間でも何でもない、まさしく正真正銘




「バケモノに成り果てたのか 白石富治(タケミナカタヘイ)



腰掛けた椅子から足を伸ばした先にいるのはおそらく復讐相手の白石修二だ

ブルブルと震えゴメンナサイ・ゴメンナサイとつぶやいている。



「貴様に話をつけに着たぞ!! 建御名方兵よ。 俺はここだ!!」



「あ・・・・あ・・・・・・ああああああああああ!!!」



「人の言葉を話せないか!! 建御名方兵よ!! 」



階段を降りて近付こうとした助けが来たとばかりに悲鳴が上がり始めだした。

懇願するもの・裾を掴んで離さないもの。 

そんな人間達から感じる恐怖で気を取られた瞬間にはもう動けなくなってた。



「あああああああ!! 兄上様ぁ!! ダメです。 もう・もう。 食べたい!!」



さっきまで扉の前にいたはずだ?


どうして目の前にいた人々が倒れているんだ? 


いつの間に体が宙に浮いているのだ?


なんだ異常なまでに膨らんでいる馬鹿でかい手?  


赤い液体は倒れている人々の血液か?




あ・・・・・・・ 俺・・・・・・食われるんだ




「グガァァァァァァァ!!!」




痛い!! 動けない!! 握りつぶされる!!  いやだ!!



体が、内臓が・骨が断末魔をあげてきた!!



いくらの人造兵士でもこんなことできるのかよ!!!



フザケンナ、こんな所でくたばってたまるか!!


まさかこれが『ヲ式 決戦兵器』の姿なのか!!




『源一郎様ダイスキ ダイスキ タベマス タベマス バリバリムシャムシャ ゴックン』




こいつ、もう人並みに考えて行動できない!!


本当にバケモノに心も何もかも乗っ取られたのか!!



口の中に血の味がして来た、まずい食い殺される!!!



「ヤメローーーーーーーーーー!!!  ヤメテクレーーーーーーーー!!」






「あんなの・・・・もう誰にも相手できないよ!! 河野さんどうすれば!!」


「はなちゃん。創くん。 ここは撤退するよ・・・って創真!! 38式のトリガーから指を外せ!! 死にたいか!!」



創真は河野の忠告を受けず目が充血し鼻息を荒く38式歩兵銃の銃口をバケモノの顔面に照準を定め息を整えようとする

引き剥がそうにもかたなくなに動こうとしない創真にしびれを切らしたが止めることができない

かつて大陸で河野を守ろうとした源一郎の姿が重なって止められない。





情けない こんなことも止められないのか、憲兵失格だな





「そうか・・・・。なら徹底的にやれ。 頭を狙えよ。 創真 いや 源一郎!! 」


「Yo てめ!! 俺のひいじいちゃんに手ぇだすんじゃねぇよ FPSで鍛えた俺の目を舐めんなぁ!!! 」



ズダァァァァァン!!!



悲しくも38式が火を吹いた。

創真が放ったたった一発の銃弾は空気を裂き、捻じ曲げながらまっすぐ敵の顔めがけて吸い込まれていく!!

気が付いても遅く、右目あたりの仮面は砕けゴキっと首がネジ折れる音が聞こえそうなまでに90度ほど傾いた!!




イヤァァァァァァァァァァァ!!!




「創・・・。お前は最高だ。 ついでに幻術もくらえ!! 秘技 夢幻酔夢ムゲンスイム!! 」



源一郎が右目を開いた瞬間、菱形の瞳孔を囲む小さな菱形の模様が16個に増え建御名方兵の右目に投影される。

瞬間狂ったかのように頭を地面に打ち付け始め握り占めた手からするりと抜けることができた。

これで少しはいける、ここから攻撃を始めていければ・・・・・




「オーーーーーーーーーーーーーーーーーマーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」




メキメキと音を立てた白いスライムは巨大な鎧を作り上げ肋骨がメキメキと体を突き破り気持ち悪く自立して動き始める

肋骨とともに飛び出た心臓のようねものが激しく鼓動を打つ。

鋭く研ぎ澄ました異常に伸びた両手足の爪が赤い絨毯を破る



「ヴォああああああああああ!!!!!! イダイダロォォォ!!! 」




化け物と化した建御名方兵がついに動き出す。


もう誰も止められない


すごい突貫工事だってはっきりわかんだね!?


なんか雑になってすんません


でもようやく最終章の序盤ができました。


戦闘よりも生々しい戦争に近づけます




次回予告



「フザケンナ!! なにが建御名方兵だ!! あれじゃぁまるで・・・」



「これが・・・・ヲ式。 これが兵器か!!!」



会議室一帯が戦場に成り果てた。 自分たちでは対処できない魔物



「ひいおじいちゃん。 どうやって戦うの?」


「重機関銃 撃ち方始めェ!!!」



次回

ひいおじいちゃんと地獄との再会



「SATの者共は引けぇ!!」



「モウスグモットモットオオキクナレル。 ホメテ・ホメテ ダイスキナ源一郎様」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ