33話 源一郎と過去の自分
寒くなってストーブをつけました
動きたくないでござる、寝ていたいでござす
もうすぐクリスマスなんていうわけわからないイベントがあるでござる
結局、カワノユリの正体がつかめないまま事件は未解決に終わってしまった。
血なまぐさい匂いと境内の地面に着いた乾いた血の跡だけが事件があったということを物語っている
へたりこむようにその場所で座り込んだ源一郎を後から来た李がパトカーに乗せて品川警察署にいく。
連れ去られた雪乃はどうやって連れ去られたかと聴取を受けたが覚えておらず、気がついたら変な女に自宅である神
社に連れてこられたというだけで、あとは源一郎が助けてくれたと言っていた。
一方の源一郎もめくれ上がった皮膚が元に戻ろうといつの間にか源一郎の能力の1つである異常回復が発動していたが、それと同時に耐え難い痛みが全身を襲っていた。
自分がかつてあの戦場で味わった肉が裂かれ、敵の砲弾の衝撃で飛んで来た石や砲弾の破片で切られる痛み。
その痛みのせいで一瞬だけ気を失ってしまっていた。
気がつけば家で寝ていてやけに思い体を引きずってリビングに行けばあの高校生軍団が来ていた。
思いっきり福島名物の茶菓子「まま●●る」を頬張りながら
「源一:何だべ?」
「シン:あ」
「源一:え?」
「マサ:い」
「千佳:う」
「さき:お」
「雪:ビキニ〜」
これを見ていた梅子唐突に思う、どうしてこうなった?
話を戻す。
「シン:違うんだよ。今日は雪乃の用事で来たんだ。あと俺個人と」
「源一:そうか・・・そう・・か」
あの事件の報道はされたが、警察が隠したからかそれとも雛城高校の生徒たちが全員で黙ったためかテレビで流れてくる報道も錯綜しているという状況
源一郎がその場にいたということは語られることはない、みんなが秘密として黙っていてくれたからだが。
あの神社での一悶着はそうはいかない。
血痕が残っている以上源一郎自身にもいずれは捜査の手にかかる。
神主である雪乃の父親はただ学校での一件もあってか被害届云々の話を源一郎にしてくることはなかった娘に近ずくなとも言われなかった。
代わりと言って、仮にあの時代を生きていたというのであれば雪乃の曽祖父である相川幸之助つまり速水幸之助の最期を聞きたいという
「源一:雪乃や、話というのはそういうことなのか?」
「雪:違うよ・・ただ源一郎じいちゃんにありがとうって言ってないから。」
「千佳:それにげんいちろに惚れてるんでしょう?どうなのさ〜」
「雪:ないよ〜!だって私のタイプと違うし梅子おばあちゃんが源一郎じいちゃんがいるじゃん!!」
明るく話をしているがテレビを見ていたギャルのさきはため息をついて出されたお茶を一気に飲み干した。
源一郎が立っていた壁際は見てがそこにはもうすでに源一郎はいなかった。
確かに守っては見せたが、自分の弱さを見せたからなのか。
それとも・・・・
源一郎本人は縁側に座り込みぎゅっと軍刀を抱きしめて震えていた。もう1人の自分なのか定かではないがただ言えるのは白石が放った敵ではない
そいつに何もかもを取られてしまうのではないかという強烈な不安だった。
こんな不安を味わったのはいつぶりだろう?
作戦が展開する前にもこう言った感じを何度も味わっている。
今日自分が死ぬかもしれない・もしかしたら隣にいる部下が友人が死ぬかもしれない
大切なものを奪われるかもしれない。
訳のわからない不安だけが今の心の中に巣食っていた。
刀の柄に手をかけてめいいっぱい抜こうとするが力がないらない。
自分が今武器を持つことに恐怖しか感じていない
またあの時のようなことが起きるのではないか・・・・
不意に縁側に通じる廊下の方を見れば道着に身を包んだ梅子が立っていた。
「梅:お父様・・・・お暗い顔をされていますね。話は優子ちゃんからだいたい聞きましたよ。お父様・・・いいえ源一郎さま少しお願いがございます」
「源一:願いですか・・・?どう言ったことでしょう?」
「梅:道場に来てください・・・軍刀も持って来てください。使いませんが・・・」
「源一:・・・・?」
千佳とさきの2人が花世のコーディネート術やら化粧の方法やら雑誌でみてみたいものって何があるの?
なんて雑談をしていた時にうたた寝をしていた雪乃が気がついた、オオジジがいない。
だがこの家の奥の方、道場の方では2人の声が響いている。昔、それも戦争にいざ行くとなる前におおジジイつまりは源一郎がメモを書きその上で一子相伝の技として残した
溝口派一刀流の技を・・・・
いつの間に・・・梅子さん。あなたは強くなっていたのですか?
あなたはどれほどの重荷を背負ってこられたのです?
あなたが技を源太やみんなに教えてこられた分ずっと・・・あなたの剣気から感じるのは哀愁ですね。
「梅:体力はだいぶと落ちてしまうましたが・・・」
突きをあてに行こうと前に乗り込んだ時にはすでに木刀は首をかすめていた
少しの出血部分がヒリヒリと痛むがそれ以上に自分が梅子さんに挑まれた戦いに負けたことよりも不思議なくらい
清々しい気分にいることの方が驚きだった。
突きの瞬間に峰を滑らせてそのまま首を切りにかかって・・・
見切っていたのに動けなかった。
「源一:参りました・・・・強くなられましたね・・・梅子さん」
一杯食わされたというよりもただ純粋に楽しかったというべきなのだろうか・・・
梅子さんと戦っているときに不意に自分と重ねてしまっていたのかもしれないのはどうしてだ・・・
いや、今話さなくてはならない。
白石富治という魔物をうみ、決して産声を上げてならない田中源一郎という悪魔を世の中に放ったその理由を・・・・
「榛:お久しぶりです、突然あなたが私にお話しがあるといって連絡がきたのは驚きです。すいません晩御飯までご馳走になって」
「吉:思いっきりくつろいでますやん・・・・・ってなんであんたら帰らへんの?」
「さき:思いつき・・・・」
なんでかまた大所帯になっていた。大広間には刑事軍団・高校生軍団・田中家の人間とその他がいる。
その他というのは幽体化しているハヤスケたちだ。
大所帯=田中家なのかもしれないがとりあえず榛原を呼び出して源一郎じいちゃんのありがたいお説法をきく
聞くというよりも受け流す毎度のことが始まるのかと思えばそうでもない内容だった。
それにしては表情が重たすぎる。
硬くて冷たくて
「源一:初めてもいいかな?寝ても構わぬ。あれは・・・・そうだ白石に会う前だ」
(創:突然始まったなオイ)
白石をあそこまで駆り立てたのは儂自身。
幾たびの戦場で生き残りいつの間にか不死身の人間とまで言われたことがある。
そんな時にな、一度捕虜として捕まったのだ。
自決しようとしたが向こうさんはそういうことをさせてくれなくてね。
それに身体中ズタボロだったというのもある。
野戦病院で世話になって怪我まで完治させてもらったある日だ。
どうしても梅子のもとに帰りたくなってね。
逃げ出したのだよ、もちろん奪われた武器から何まで取り返しての話だが・・・だがその時に重症で息が細くなった同じ日本兵がいたのだ。
助けてやろうとしたのだが、そのものは頭と目元に包帯が巻かれていて悟ったのだ
(このものの目はとっくになくなている。)
帰る故郷の景色を見せてやれないかもしれない。だがこの手で手をかけなかった。
どうしても返してやりたくて・・・・
脳裏によぎるのはあの時の光景しかない
(源一:お前・・・目が潰れたのか?)
(??:あなた・・・・そうか・・・私のことを・・・どうか。日本に帰りたかったがやむを負えません)
(源一:・・・・殺せと言いたいのか?・・・・ダメだ断る!!お前を・・・なんとしてでも連れ帰ってやる)
(??:あ・・・・り・・・・・あ・・・あ)
それからなその兵を担いで基地の中をばれずに爆破という爆破をしてホフクで逃げたのだ。
なんとか作戦前にいた戦車隊がいてね、なんとかそのものを日本まで連れて帰ってもらったのだ。
儂もその時怪我を負ったということで帰ったがな。
その後だ、白石の名を再び聞くようになったのは。
きな臭くなりかけた時に一度手伝いで士官学校の方に手伝った時があって、偶然廊下で出会った白石が熱い視線なのかよくわからんが・・・・再び出会った時、周りの囲む人間たちが恐ろしかった。
操られているような、それと異常なまでに儂に触れてきてな。
狂信者ともいうべきかな、それほどまでに崇拝していたのだよ
「涼:つまりあれですか?その白石っておじいちゃんのそういった話を聞いて真似したとでも?」
「源一:真似ではないのだがな・・・なんというべきか」
「島:理想の人物像ということか何かですか?」
壁にもたれかかるように座っていた島津が口を開く。
いってしまえばそういうことなのかもしれないがそれがどうしてここまでにしたのか、どうしてそう繋がってくるのかが意図がわからない
「モクキチ:お若い方、先ほどあなたがいったように狂信者なのです。一種の英雄に似た何かを見るとそれに続けとばかりに人はくる。白石はその話を又聞きしていくうちに、あるいは捻じ曲げれた偽りの真実に惑わされ偶像化してしまったのかもしれない」
「創:最悪だよ・・・・神様みたいに思ったとかそういった話?タチが悪いな」
沈黙が沈黙を呼ぶ。だがそれを言いたいわけではないらしい
「源一:あの時いかにして生き返るかだけを考えていた。だがそれが逆に無情な何かを生んでしまっていた。守りたいと願ったはずなのに守れずに散っていくものを見るのは辛く苦しくて」
「榛:白石さんが崇拝した理由って、重症でもう動けない兵士を背負って逃げたあなたの行動ではなく、爆破して周り英雄と称され田中源一郎という兵士のことですか・・・」
「浅:士官学校時代に出会い再び時を経て出会い。今までの思いが爆発して狂信的になったと?まだ腑に落ちませんね、まだ何かあるはずじゃあ」
寝こけていた創真の体を冷たい風が通っていた、寝ぼけ眼に外に目をやると薄暗く見えにくいはずなのに真っ黒い軍服を着て色白い肌から赤い目が光っている源一郎がいた
ドッペルゲンガー?
それならもう本人が気がつくはずなのに誰も外にいる人間のことに気がついていない。
悲しそうに集団を一通り見てじっと源一郎を見つめる。
憎しみというよりも悲しみと、そして無念だ。
それは、創真の方を見て微笑みアリガトウとだけいってそれは消えた。
「創:思い出した・・・俺、ちっさい頃に2人のひいおじいちゃんにあっていたんだ」
「花:何いってんの?2人もいるわけ・・・・・・・あ・・・・・」
「源一:創真、とりあえず話してくれ。2人の儂にあったというのは?」
「創(ずっと俺のターン!):ねぇちゃんが記憶をなくしてそのあと、一度ひいおじいちゃんと2人で黙って遊んでいたことがあってこの時のひいおじいちゃんは目の前にいるひいおじいちゃんだった
来ない日もあったけど、何回目か忘れたけどお寺さんが着たことがあっただろ?
その時にねぇちゃんはリビングでずっと寝ていたんだよ。急にトイレに行きたくなって帰って着たときに
リビングで寝ているねぇちゃんのそのときに黒い服着て肌がすごい白いひいおじいちゃんが添い寝していたんだよ。
「梅:ダブル源一郎様とかちょーずるいんですけど。マジ卍」
(源太:どこでそれ覚えたの?)
あ・・話を元に戻すけど、そのときになんとなくだけでも話をしていて何回も大きくなったねとか、飴くれたりとかしてくれて。最後にはこういうんだ
「創:いつかまた会える。生きていれば何度でも『源一:また会えるから』」
完全に意気消沈の源一郎
この話を聞いて創真から聞いてあの神社で現れたもう1人の自分が去り際に悲しく辛そうな表情を浮かべていた理由も、あの自分はあのときにおいていった死んだ自分だった。
犠牲になった自分・味方から鬼神と言われそれに怯え、人間であることを忘れたくない自分
あの戦争で何もかもを無くして、無力感に襲われた自分。それが黒い源一郎の正体だった。
「源一:どうしてそれを黙っていた!!」
たまらず激昂してしまった。
ずっと黙っていたと・・・・・それの存在に気がついていながら何も言わなかったことに
そして、アレがこの家にいたことがあったことも
「梅:お父様!!」
「創:俺もわからなかったんだ。ずっと小さい頃にしか見たことなかったから」
心の奥底にしまっていた過去の記憶それが今になって現れた、何も思い出せないというのは過去を見つめて忘れないでと記録は残らなくても記憶は残る、それを消さないでと言いたかった。自分自身だった。
「モクキチ:誰も・・・・あの時代はああなってしまうのだ」
「ハヤスケ:手が届けば助けられたかもしれない。もっと先に先に行動すれば犠牲にならなかったかもしれない。で
も届かない」
「川端:すいません梅子さん。柿ピー全部食べてしまいました。2人が」
器に山盛り持っておいら柿ピーがすっからかんだった。
刑事軍団も高校生軍団もついつい食べてしまい、
話し終えた源一郎も食べようとしたがなくなっていてしょぼくれていたのは面白かったが。
「下:いってしまえば白石はそんなことも知らずに勝手に神格化して理想像を作ってしまったと?
そういえばじいちゃんの部隊にいたってむかし言っていたけど。前線っていうか・・・言ったら一緒に敵陣に突っ込んだりとかしたの?語弊が生まれたらおかしいけど」
「源一:・・・・・・・あれ?」
「ハヤスケ:・・・・・・俺も源一郎の部隊の後方で援護射撃とかしてたが上からいる、って聞いたことないな。上とは仲よかったから、俺自身の話」
「モクキチ:戦車隊として一緒に戦ったことはあるが見ていないな」
「川端:・・・・・・・・・・・・・・・・じゃぁどこに白石自身はいた?歩兵だろう?」
身の毛がよだった
確かにいたはずの白石がいざ考えてみればいない。思い出そうにも思い出せない
そもそもそこにはいなかった。
待て白石は本当に歩兵だったのか?
前に憲兵隊にいたとは聞いていたがそれでも、移動してこれば必ず皆挨拶には来ていたがその時も見ていない。
「マサ:なぁ、例えばの話だけどさ・・・・最初はいたけど途中からいなくなったとかは?」
「源一:ありえん、わしが死ぬときに、ある島でわしの背中を刺したのだ。その時はいたのだ。」
「シン:俺たち軍隊のことは全くわからないけど・・・例えばなんだけど、席だけおいていたとかは?ここにいます
っていうのだけ」
「さき:ねぇ反対っていうのはない?そこにいたけど、記録には残っていないって。それか命令する立場だったとか?」
だが謎は謎だった、逃げたというのかそれとも別にいたのか。そこにいなくても噂ですぐに回ってくる。
「李:話の途中じゃっどん、そいかあ染み出て着ちょっのって何?」
李が指差す方向にあるのは軍刀。
壁に立てかけていたのだがさやの先から何かが染み出て着ている
不意に触れた軍刀にあった違和感それを見たとき戦慄が走った。
腐臭を漂わせながら重石のように重たくて持つのでやっとだ。
「源一:抜くか・・・・クワバラクワバラ・・・イェア!!!」コキッ
その瞬間別の旋律が走った。音的にも何かわかる、ぎっくり腰だ。
刀を抜いて刀身には何の変哲もなかったが、問題なのはさやの方だった。
さやの中から変な臭いが強烈にする
傀儡のあの臭い、恐る恐る庭先に出て刀の鞘をひっくり返す。結局何もないか・・・・・
ベチョ
地面には白い何か、血管が浮き出て目玉がぎょろぎょろと動いている。
思い出した、河野拓巳の弟である栄次郎のもとに行った時白くぶよぶよとした足を切ったのだ
それの飛沫か何かがぬぐいきれずにそのまま残って大きくなっていたのだ。
ホラーや、完璧にホラーの領域や
「浩:もう勘弁してよーー!!」
「涼:蒸し焼きにしていやる!!」
「晶:いいえ、炙り焼きよ!!!」
「源太:お父さんこれって!!」
ぶよぶよとしたそれを見て花世はあることを思い出した。仕事先の他部署にいる神田のことを
神田が手にしていた何かの計画書の中に書かれていた「膨張」や「成長」の意味が
「花:ひいおじいちゃん・・・・」
「白:私はどこにでも現れます。あなたの上司として部下として・・・・次はどこに現れましょうかね?」
今回過去の記憶を思い出させて見ました。
ちなみに、今回は一週間あいたということです
翌日団とかではなく一週間経ったある日という設定です
もっと思い出していきますよ、色々と
そして白石の存在に疑問を覚えてもいきますよ
次回予告
何も思いつかない
「源一:え?」
「梅:え?」
「源太:え?」
嘘です、ぶよぶよの正体を知るために警察が持って帰ります
「浅:触りたくない」
「榛:ぶよぶよ・・・・」
そして、田中家の元に保護者がくる
「下:え?親父?」
「??:ハルク〜ン!!!パパ遊びに来たよ!!」
(晶:手に負えないわ・・・・)
もう1人の自分に向き合うため特訓を始める
「吉:内観ですね・・・」
「浩:Zzz」
(涼:今日は神○河祭りね・・・)
そして高校生の宿題の手伝いをする
「源一:関数っていうのはな・・・・」
「「「「「わからねぇ」」」」」
次回(ほのぼの目指すぜ!!)
ひいおじいちゃんとキチファミリー、手に負えないを添えて
次回もゆっくり見て行ってください
「創:もうすでに手に負えない」




