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3話 ひいおじいちゃんと再会(1)

暖かいなーなんて思っていたら急に寒くなったりして辛いです。万年冷え性の私にとっても辛いですが最近家にいるときに靴下を履かなくなりました。めんどくさいので

 騒がしい軍団が帰った後、李が書いた絵は一度モンタージュとして使われるため新たに絵を描いてもらったものを家の机の棚の中に入れて短い時間だが睡眠をとる。

翌日6時、脳が興奮していてなかなか寝付けなかった花世は着替えて出勤する準備をし、荷物を整えて一階の涼子がいるキッチンで朝食の準備をする。




「涼:おはよう起きたの?今日は会社休んだ方かいいのに。あんなことあったのに疲れたでしょう?」


「花:おはよう、大丈夫そうだから行くよ。 それに大事な会議があるから」




それに今日はもう一つ特別なことがある今日はデイサービスから曽祖母が帰ってくる日でもある。




花世の住む品川区ではある年齢を超えたらデイサービスなどの介護施設に入居しなくてはならないという規定がある(実際はどうかわかりませんが)。

曽祖母の場合、足腰元気そして認知症ではないためその規定がだいぶ軽減されて月に一度老人ホームなどの施設で一泊すればほとんどは家族と一緒に暮らせるという状態にある。そしてその帰って

くる日が今日なのだ。




「涼:今日の夜に梅子ひいばあちゃん帰ってくるから。しんどくなったら早く上がって帰って着なさい。朝ごはんできたからお父さんと一緒に食べなさい」




出来上がった、ベーコンエッグと味噌汁を持って朝刊を読む父である浩一こういちの隣に座る。そして毎度のこと思うのはすごく内○剛志っていう俳優さんに似ているということ声もなんとなく似ている気がする。

その度に色んな人にお父さんと似てないねって言われる。


「浩:おはよう花世。もう大丈夫なのか?休んだ方がいいぞ」


「花:大丈夫。それに今日は企画会議があるから休めないんだ。それに通勤途中とかで助けてもらった人にもしかし

たら出会えるかもしれないし。」


「浩:そうか。・・・そういえば今日の新聞に昨日の夜のことが書かれているぞ。見出しは小さいけどお前を助けた

人のこととか、犯人に襲い掛かったとかそういうのも」


浩一から新聞を借りると確かにそこには昨日、花世が被害にあった痴漢魔について書かれており、そこに小さいながら軍服姿の男についても書かれている。

しかも犯人に対して凶器を向けたということで痴漢魔よりもその男の方が目立って書かれている方が花世にとっては不快だった。助けてもらった人が悪人のように書かれていることがそうだった。



「花:今日会社に行ったら社会部の人たちが痴漢魔よりも軍人さんの方を聞いてくるだろうな。なんか嫌だな」



仮に助けてくれた恩人が幽霊であっても犯人に対して脅しをかけたとしてもそれでも助けてくれたことには違いはなかった。


「浩:そういえば父さんの働いている区役所で会議があったんだけど。花世の会社に頼んだだろ。それだよ」


それは花世の会社で企画会議に挙げられていた品川区内の地元の人でも知らないようなところを雑誌として取り上げるという内容のことでどうやら浩一も参加するらしく、今日の会議も何日間行うかどのように区切って行うか、どのエリアを回るかという内容だった。もしかしたら親子で仕事をするという稀に見ない仕事である。


楽しみだと感じる反面少し恥ずかいいかもとお互いに話している途中であった。





                行ってはならん!!





突如、怒鳴り声が響き渡り驚いた拍子に企画書を床に落とした!

花世はこの声の主を探すため部屋の中をぐるぐると探すが見当たらず目線があった浩一に問いかけると浩一も同じような声を聞いていてたまらずキッチンにいた涼子に確認を取ってもそのような声を聞いていない、じいちゃんが寝ぼけたんじゃないかと呆れ顔で言うだけである。


しかし祖父である源太と祖母の晶子あきこは共同で寝室を使っているため仮に元太が大声で寝言を言った瞬間に晶子が起きてくるので寝言ではないと言う。

弟の創真はすでに起きて大学の卒業レポートの制作に必死になっていると言う。





では一体誰が?





互いに顔を見合わせ朝食を済ませると不審に思いつつそれぞれ出勤していく。


花世が会社に着いたのは朝の8時、清々しいくらいの晴れた天気。雲が一つもないことがさらに気分を良くする。

早速タイムカードを切って自分が勤めている編集ブースに行くとやはりどこから事件のことを嗅ぎつけたかわからないが社会部の人間と思わしき記者が花世のデスクの前でじっと立っていて編集長や他の同僚も不快な表情を見せている。




「花:おはようございます」





同僚たちは快く挨拶を返してくれた。

それと同時に花世の声に気がついた社会部の記者たちは息つく暇も与えぬまま矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。そして決まって聞いてこようとするのは痴漢魔についてではなく花世を助け、痴漢魔を怖がらせた謎多き軍服姿の男についてだ。





「社:早速で悪いけど、あなたを助けた軍人ってどんな人だった?やはり血に飢えた殺人鬼のような人間だった?」




「花:え?何を言っているんですか?私が見たおじちゃ・・・じゃなくて軍人さんはとても優しい人に見えました。

そんな人殺しをするような人じゃありません」



「社:でもその人は日本刀のようなものを持って襲い掛かったと警視庁の報道ではあったんだよ。痴漢魔に危険な目にあったから擁護してるんじゃないの?」





なかなか信じてもらえはしないか




ため息をついてありのままの、花世を助けたその軍人姿の男についてあらぬ偏見を持たれぬようにその人の代わりとはいかないかもしれないが弁論する



「花:仮にその人が殺人鬼だったら私もその痴漢魔も死んでいるはずです。しかしその人は人を殺めるような人には見えませんでした。その証拠が今ここにいる私です。私が生きていると言うことが何よりの証明です!!」



その気迫に怖気付いた記者はつまらなさそうにその場を後にして立ち去っていく。なんでそんな風に捉えるかなとため息をつきながら花世はゆっくりと自分のデスクの椅子に座り背もたれに思いっきり体重をかけた。




なんだかなー




そう思っているとまた花世に来客が訪れる。

それは出版社でホビー・ミリタリー部門、特に戦時中の武器に関して詳しいマニアたちである。そして彼らはこの出版社の中で一番キャラクターが濃い人物の集まり。そのリーダー格である神田隆が鼻の穴を広げて入ってきたのだ




「神:おはよう、田中さん。いきなり悪いけどその軍人の制服の色武器について覚えている限りのことを教えて欲し

い」





いきなりかよっと思ったが心の声を飲み込んで改めてその軍人について思い出していく。




「花:その人は本当にテレビで見るような軍服を着ていて・・・軍帽もかぶっていたかな。カーキ色?って言うの」



「神:大日本帝国陸軍だな。」



「花:よくわからないけど。あとは膝まであるマント着ていたような」



「神:外套だね。イカマント」



「花:・・・そういえば襟に何かつけていたな。黒色に赤い縦線が三本くらいあって横に黄色の横線が一本入っていたような?」





「神:・・・・・それは階級章と言うよりも部隊章かもね。しかしそんな部隊章は、見たことも聞いたこともないような・・調べておくよ」




そう言うと神田はそそくさと花世のいるブースを離れて自分の部門のブースに帰っていく。嵐のように過ぎ去る男として有名な神田、本当にその通りでした



花:騒がしい人だな



なんて、思いつつも早速昨日の打ち合わせ通りに区役所との合同企画の準備を黙々と始める。

というよりこの企画を持ち出してきたのは花世本人で、面白そうということで編集長や周りの同僚たちがそれにあやかり、どこから聞きつけたか区役所の方も乗っかってきてこうなったらしい。

だから家でゆっくりと休むなんてできなかった。この企画を成功させたい、祖父と約束した自分の夢への実行ということに今着実にその方向が見えてきているのだから。




「田中さん、少し休んだ方がいいよ」





こう声をかけてくれたのは花世の上司かつ編集長の井上ゆかりである。



「井:昨日は大変だったね。それにしても花世を助けた軍人さんは一体どんな人なんだろうね。」


「花:優しい人でした。守られたというか・・不思議と暖かくなったというか」





その感覚大切にしなさい




とだけいうと井上もデスクに戻りパソコンで今日の関係の資料を作成し始める。しかし気になったのは朝の頭の中に響いた怒鳴り声、行ってはならないという意味が全くわからない。

そしてその声は何を意味していたのか、何に対して行ってはならないと警告を与えたのかその意味がわからなかった。悶々としながらお昼時を迎え区役所員との合同企画がスタートしようとしていた。


花世の企画が順調に進めば三日で全行程が終了し一冊の本としてまとめられ出版される。

時刻は13時過ぎ。一行は品川区内の海側の方を回って行く。ここで区役所員と出版社員のツーマンセルで行動し見て回るというものだった。



「花:本当にお父さんと一緒になるとはね」


「浩:でもお父さんは嬉しいぞ。花世が働いているところを一度は見て見たかったんだ。」



そう言われるとなんだか嬉しいような気もする。そして父と一緒にいることでなんとも言えない実家にいるような安心感が生まれているのもまた事実である。そのまま花世と浩一は海沿いの町並みを歩いていく


海風の匂い、工業地帯からの働く人々の声、そこで生活しているという様子が観れただけでも花世はこの企画を持ち出してよかったと思えた。気がつけば夕方になり工場地帯を背に夕焼けが写り込むのを観てすかさずカメラのフォーカスを合わせる。


工場の煙突に映る夕焼けの姿、春の夕方に吹く風の中に匂う夕方独特の香りに身を任せて最後の場所に向かう。

工場地帯の中に小さな下駄屋がある。

創業60年の下駄屋で個人店であるが地域の人々から長年愛され続けている。

花世の祖父源太もこの店の下駄の愛好家である。そのため花世と弟の創真の夏祭りともなればこの店でよく下駄を買ったもの。この店を知ってほしいという意味で花世は浩一を連れてきたのだ




「花:おじちゃん久しぶり。・・・・・あれ寝てる」


「浩:店長もだいぶと歳を取ってしまったようだなー。・・・起きてるよ。狸寝入りじゃ?」


下駄屋の主人は椅子に座りながら寝ているのかと思いきや微妙に体を震えさせながら今にも笑いそうになっている。そして両耳にイヤホンをつけていて微妙に音が漏れておりよくよく聞くと落語が流れている



「下:ごめん。落語聞いててわからなかったわー。」



そして笑いすぎた衝撃で入れ歯がスコーンと綺麗にスコーンととれ地面に落下してしまう。

話をしようとするも落ちた入れ歯がどうしても気になってしまい集中できずそして本人も気がついてないということに浩一はツボにないってしまいその余波がじわじわと花世に伝わってしまい、それを観た下駄屋の主人はイヤホンの外れたラジオから聞こえる落語が面白いと勘違いし一緒に笑い始める。こうなると田中家は止まらない。一人笑い始めると全員笑ってしまう

のが傷である。


笑い声が止まったのは訪問して30分ちょうどラジオから聞こえる落語が止まったと同時だった。


「「浩:花:ひっさびさにこんなに笑ったよ」」


下駄屋の主人が入れ歯を綺麗にし、装着し直してからインタビューと写真撮影を始める。下駄を作る工程、職人技、そしてどういう下駄を作っているかそして大切にしているものなど様々。雑誌に載せいていい部分だけを取り上げこの店に来ようと思えるように工夫してまとめをする。その姿を観て浩一と下駄屋の主人は大きくなったなーとそれぞ

れに声を漏らす。


下駄屋をでて帰ろうとした時だ。学生服を着た女性が入り組んだ路地の方に進んで行くのが見えたまらず浩一は追いかけた



「花:おとうさん。ちょっと  それじゃあ、また着ます」


「下:いつでもおいで。待っているよ」


主人に別れを告げて路地に入って行った父親を追いかけるとそこは品川区が管理する廃工業地帯、その中でも立ち入る禁止をしている場所、通称おばけ工場と呼ばれるところだった。

追いかけた先に女性と浩一がいて何やら喧嘩を初めている。その学生服は区の中で一番頭のいい学校として有名な雛城学園の制服である



「離してください。やめて!!」



「浩:悪いけどそれはできない。ここが一体どういうところかわかって入ったのか?!」


「友達との約束でここに来ないといけなかったし、それに・・・」


「浩:それに?」


「・・・・なんでもないです!とりあえず離して!」



話が平行線になると思い、とりあえず浩一は女性の手を離す。眼鏡をかけて清潔感のあるその女性だが何かに対して怯えているようにも見えた。



「花:ごめんね。驚かせてうちのお父さん。真面目すぎるところあるから。私は田中花世かよ。最近できた雛城学園の生徒さん?どうしてこんなところに?」


「取り乱してすいません。相川雪乃です。さっきも話した通り友達との約束です。それになんだかここら辺が気になったものですから・・・」


「花:気になったってどうして?」


それはと彼女が言おうとした時だった。浩一が何かの気配を感じ取ったのかすぐに身を隠すように催促すると3人はとっさに目の前にある工場に入り壁一枚隔てて外の様子を伺う

浩一の不安は的中した。花世たちが着た道の方から音が聞こえてくる。しかしそれは一定の音で聞こえ、その音の感覚は全てが一緒だった。


まるでそこを行進しながら何者かがこっちに向かって歩いて着ているのだ。その音はやがて大きくなり歌まで聞こえてくる始末。相川は途端に怯え出し、その様子から浩一は外の様子を確認した時に絶句してしまった。黒い靄のようなものが行進しながらおばけ工場の中心地に向かっていて不気味な音を出しながらまるでそこを生きているかのように通って行く

なんとかしてここから出ないとと振り返った途端花世の顔から血の気が引き激しい頭痛に苛まれている



「浩:花世しっかりしろ!!どうした!!」


「花:思い出しそう。何もかも・・・・・」


「浩:すまないけど相川さん花世を少し見ていてくれ。区としてはこいつらを放っては置けない」




黒い靄が中心地に吸い込まれるように消えて行くと途端に浩一は駆け出しその靄を追いかけ始める。



「相:あの人行っちゃったよ。お姉さん大丈夫?」


荒く息をする花世を助けようと携帯を取り出し119番通報をしようとするが携帯の画面には圏外と表示され電話も何もできない状態だ。

さらには時刻以外のものは全て文字化けしている状態にもなる時計を確認するも指針が現在の時刻と全くあっていない時間を示している。現代のものが通じない世界にポツンと放り込まれたような状態になっていた





助けて!!




相川は絶望の中に浸っていると花世が気がつき青ざめている表情を浮かべるがにこやかに微笑む


「花:ごめんねびっくりさせて。昔っからこうなんだ。・・・ってさっきここにいた男の人はどうしたの!?」


「相:さっき外に出て行きました。何かを追っかけて行ってましたが」


その言葉を聞いて花世は慌てて外に出るとおばけ工場の中心地に向けて走り出す。相川も何かに触発されて花世の後を追いかけるように走り出した。










走ること十分、ようやく浩一に追いつくことができたが花世はそれ以上に驚いた。そこにはこの区画で一番大きな廃工場が建てられており黒い靄のようなものはその廃工場の入り口で一列で整列しながら何者かを待っている。靄の中に、一瞬キラリと光るようなものが見えそれが刃物だと一瞬にして花世はわかった。


「浩:なんで逃げなかった!!」


「花:お父さんを放って逃げれるわけないじゃん!!」


苦虫を噛み潰すような表情を浮かべていた時である。相川は黒い靄を見て怖気付き腰を抜かしその場にへたり込んだ。その物音に気がついてのか黒い靄の一部が3人の方にむかって動き出しい突進するように靄の中から銀色に光る尖ったものをむかてきた。



「浩:俺の娘を泣かせるんじゃないぞ!!!!」


靄の行動を見切り綺麗に一本背負い!!

一瞬で相手の間合いを詰め靄の体を掴みこむとその勢いで投げ飛ばす!!!


地面に叩きつけられたそれは凄まじい轟と音を立ててその反動でもやの体が勢いよく跳ね返る。とても50代の動きには見えず勢いよく叩きつけられたそれはアァァット悲鳴のようなものをあげて靄は空中で消えて行った。


そして浩一は次の獲物を見るように靄の塊に目をつけた。が思わず浩一は後ずさりを始める。その靄の中から筒のようなものが見えその先を浩一や花世の方に向けて着たのだ。絶体絶命



まさしくそれがこの場にあっていた


隊長イナイ。



守れ守れ。


聖なる地。



敵をすぐさまに殺せ殺せ


靄の中から聞こえる音は完全なる敵意の塊。本気で殺しにかかっていた。










逃げロォォォォォォォォォ





浩一が叫ぶと同時に強烈な爆発音が一体に広がる

もうだめだと思いとっさに花世は相川を身も呈するようにかばいとっさに浩一も二人を守るように覆いかぶさった。




あぁここで死んじゃうのか・・・






「貴様ら!!!  儂の子達に何をするかアァァァァ!!!」




花世が固く閉じていた目を開けるとそこには軍服を着た男が立っていた。そしてバリアを張るように炎をだし靄が飛ばして着た何かを一気にもやし吹き飛ばした


「大丈夫か?怪我はないか?」


男は振り返ると片膝をついて花世の頭を強く強くなでニッカリと屈託のない笑顔を見せる。その笑顔は昨日、李の書いたモンタージュととても似ていてそしてとてもハンサムな人である

記憶の中に蓋をして閉じ込めていたものがその男を見た途端一気に溢れ出した。そして今目の前に立っている軍人のことも何もかも




「それ以前にこやつらをなんとかしなんとな」



その瞬間冷たくも暖かい一陣の風が吹き抜け花世たちを包み込むとその風は突然勢いをまし黒い靄そのものを吹き飛ばし、その正体を見ることができた。

その靄の中にいたのは軍服を着て小銃を構えるミイラのようなものだった

とっさに花世は相川の目線をそらすように手をかけその姿を見せないようにする。

隊長、隊長。どうしてどうしてと仕切りにミイラが取り乱すが軍服を着た男が敵であると判断した瞬間再び小銃を横一列の隊列を組み直し発砲しようとしている


「異な事をするものじゃのう?こんなにめんけぇ子達が怯えておるというのに気がつかないのか。致し方あるまいな」


そう言うと軍人は腰につけていたものを構え片方の手で花世たちに見せるようにあるものを抜き出した。


「これは何かわかるか?わからんだろうなもう時代はこいつは使わん。もっといいものが出ているはず。だが儂はこれが使い易い」




今の時代見ない鉄で、できたそれはキラリと光輝き放つ。一体それが何か花世にはピンとこなかったものの浩一はそれを見た途端、驚きの色を隠せなかった。


「浩:それは確か南部十四年式拳銃!!なんでそんなもの持ってるんだ!!」


「それは儂が誇り高き大日本帝国陸軍兵だからさ!!」


そのまま疾風の如くミイラに切り込むと凄まじい大立ち回りを見せつけた。


大勢の敵に対してたった一人で相手してもどこか余裕を持ち放たれた銃弾を綺麗に避け相手の間合いに入るやいなや刀で切りつけ背後からくる的をも的確に膝を狙い撃ち体制を崩す。

その一つ一つの攻撃が美しく演舞を踊っているかのような、現像的な芸術をどこか舞台で見ているような感覚だった。


薬莢が一つ落ちた時、戦いは終わっていて、それと同時に演目もすべて終わりを迎え軍人は拳銃を直し刀を収めると帽子を取り深々と礼をする


「相:全然怖くなかったです。不思議と。本当に不思議と」


優しい笑顔で近づいてくる軍人。はいこれが一気に変わりまーす


「軍:この大馬鹿ものが!!儂がせっかく警告したのになーぜここに着たのだ。ばかたれ!!ここは危険な区域と知っていただろう。それにああやって傀儡が襲ってきてもおかしくないのだ!儂がおらんかったらお前さんたち死んどったぞ!」


「花:傀儡って?」


「軍:さっきのしかばねもどきだよ。あやつら、何者なのかわからんが操られているのだろう。それよりも・・ここにいる方が危ないと言うのに」


ブツブツ説教を続ける軍人だったが振り返って見るとミイラはいなくなった代わりに砂塵の塊のようなものが現れその塊は風に乗ってどこか彼方のように消えていく。

それを見届けた後軍人は気が抜けたのかその場にへたり込んだ。


「もうジジイだからな。気がはりつめる場所にいると疲れる。そうだろう?あれ?」


花世はいつのまにか気を失っておりなんども相川が体を揺らしたりするが気がつかず、どこかに連絡を取ろうと光一が携帯を使用するも届かないため涙目になっている。それを見て軍人は自身が来ていた外套を外し花世に包むようにかけるとそのままお姫様抱っこをし歩き始めていく。



「浩:あんたちょっと待てよ。どこに行く気だ」


「軍:どこってこの通りから出て行くのだ。じじいは速さが重視だからな。決めたことにはとっととやらんといけんからのう」


3人は元来た道を歩いて行く寂しそうにカラスが鳴いている。それを聞くように歩いてく。おばけ工場から抜けると気を失っていた花世も目を覚まし虚ろな目をするが意識がはっきりと覚醒し出す。


「軍:目が覚めたか。花世」


「花:ありがとう。おじちゃん、いつのまにか気を失ってしまったみたい・・・・でもどうして私の名前を知っているの?」


「軍:そうだな・・お前さんのお父上が花世、花世と叫んでいたからなそれで覚えたのだよ」


遠くからオルゴールのような音が聞こえてくる子供達が家に帰るように催促するようにどこか懐かしい音が流れ始める。時より吹く冷たい風が花世の弱った体を包み込むがこの人といると決して寒くはなかった。

路地を抜けて一本大通りにでると浩一の電話が繋がり気がつけば同じ区役所員から電話が入っていた。相川も日が落ち込み夜の匂いがあたりを包みはじめどこか気持ちも家路を急がなきゃと感じ始めた


「軍:さてとここで儂とはお別れだ。気をつけて帰りなさい」


「浩:ここで言うのもなんなのですがあなたにお礼がしたい。今日、うちで宴会があるのです。一緒に一杯どうですか?」


「軍:しかし、儂は赤の他人なのだぞ。構わんのか?」



いいです、言おうとしたが花世からの冷たい目線が浩一の心にひどく突き刺さる。

痛いくらいに冷ややかな目線が浩一の心にチクチクと突き刺さり始めた。飲みたいと言うことに関して判断がつかなくなるのが浩一の欠点


「軍:ではお邪魔しようかのう?花世良いか?」


「花:もちろんです。それじゃあどこで待ち合わせましょうか?」


「軍:儂は花世の家を知っているのだぞ。この前玄関に置いた花は儂が届けたのだ。あまりにはやく去ってしまうのは寂しいのでな」



やはり花を手向けたのは軍人本人だった。そしてあの時、花世を助けたのも、もちろん。



「花:19時にお待ちしています。」


「軍:あいわかった。このじじいは時間は守る方だからな」


その後訪れる、軍人と花世の関係について封じられた過去が明かされる。

そして軍人の目に映るものは





ウワーーーー!9000字越えやがった。学校のレポートでも書いたことないのに書いたぞ俺!!

今度からサブタイトルは「ひいおじいちゃんと○○」と言うふうに変えていきます

読みづらかったり誤字脱字がありましたらお願いします。

最近ダイエット始めたので飯テロとか見ていると精神的にダメージがきついです

スキーがしたい

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