10話 ひいおじいちゃんと対決(1)
最近暑くなりましたねー。
と思っていたらやたら涼しい時もありますし
わけわかんないです。
喉痛めました
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朝、目を覚まし素振りを終えて一人あの事件の被害者の殺され方を思い出す。縁側に吹く風は少し暖かく心地の良いものだがひとり軍刀を握り縁側に座って目をつぶる。思い出したくもない過去の痛みの記憶
同じ仲間と思っていたあるものが下士官を拷問にかけ、殺した。閉鎖的空間の中にいるなら精神に異常をきたしてしまい、そう言った行為をするものが現れるとは聞くがその男は冷静だった。あらかじめ準備をしていたかのように、もちろんその者の聴取という名の拷問を源一郎はした。家族のように思っていた下官、しかも少年兵で未来あるものを殺したことに許せなかった。
その時の言い分が
「あなたを見る時の目が許せなかった、田中准尉は私だけを見ていてほしい」
と言った自分勝手なことだったから。
そのものを憲兵に引き渡し、営倉(軍隊の中の刑務所のようなもの)に入れたとは聞いたがそのものがすぐに復帰したとも聞いた。不敵な笑みを浮かべて源一郎のそばを我が物顔のように歩く。
女性的な顔を持つそのものは軍閥の家の子、親のコネ、体を上官に売ったなどの汚い手を使い源一郎のいた部隊に帰って来たとも聞いていた。そして一番のサディスト、源一郎には見せない悪魔の顔がそこにはあると
「源一:思い出しただけでも反吐がでる。あいつ・・・・この手で抹殺しておけば。いやそう言っても無駄か・・」
源一郎自体、そのものに被害を受けたことがる。
と言っても未遂で終わったが消灯後眠りについたはいいが、ふと自分のいる部屋の戸の方から視線を感じて仕方がなく体を起こして見ても動かない。
最初は金縛りかと思ったが違うかった。無理やり体を起こしてみれば男が裸になって夜這いをしようとしていた。ちょうどその時に、巡回していた憲兵に取り押さえられことなきを得たが侵入した動機が気持ちが悪かった
「心労の溜まった心を癒してあげたく入った」
反省の色がない言動、自分の身の危険を感じ距離を撮って見ても今でいうストーカーのような行動に対して気が病む一歩手前まで来たことがあった。
そのものの手口も被害者の殺害方法も全て一緒。まさかと思うほど一緒だった
「源一:できればもう二度と会いたくないな」
「浩:こんなに朝早くどうしたんですか。浮かない顔をされていますが」
この時間まだ眠っているはずの浩一が珍しく起きて来て、浮かない顔をする源一郎の横にすっと座る。仕事で忙しい身であるはずだが一家の長としてなのかそれとも孫心に存廃していたのかただ表情から源一郎の曇った心を察してくれたらしい。素振りの音で目を覚ましたというわけではないらしいが、やはり朝早くから風を切る音には前から興味を持っていたようだ。
「源一:儂の術を盗みに来たか。いいだろう、最近何かと鈍っているんでな近所迷惑にならない程度に少し遊ぼうか?」
「浩:お願いします。一戦交えましょう!」
家族が起きてくるまでの間、二人は頭の中にある悩みを消し去るかのように剣術に励んだ。源一郎の頭に浮かんだ最低な人間のことも浩一の頭に浮かんでいる大量の書類のことも打ち消すかのように頭の中が空になるように打ち込んで見せる。楽しんでいるのは二人だけ一徹していた創真はこの音がうるさくてたまらない。
元気なのはいいことだが卒業論文を書いていき詰まっている時に大きな音を立てられると無性に腹が立って仕方がない。近所迷惑にならないようにとっていたが朝方ジョギングをしていたご近所さんからは驚かれたのは後々涼子からのお説教で判明する。
しかし、源一郎の心の中にある不安要素は決して浩一との練習だけでは取りきれていない。どこか感じる嫌な予感はずっと昔から当たってばかりいる、対策を練らなくては
「白石富治少尉」。
かつて少年兵を手にかけ、源一郎を異常なまでに崇拝していた人物。
朝7時
朝食を終わらせ、花世を会社まで送り届けると次なる任務が源一郎を待っていた。晶子と涼子が営んでいるクリーニング店の宅配サービス、と言っても近所のお年寄りにクリーニングに届けるという簡単なことだ。元々は創真が行なっていたが見ての通り一徹にストレスが加わって死亡という名の昼夜逆転生活を送っているため、疲れが溜っているとのこと、その代行という名目での即戦力として投入されたということだ。
「源一:任されよ。これとこれとこれだな」
「涼:落とされないように気おつけてくださいね。」
「源一:気をつける。自転車で行っても良いか?」
「涼:使ってください、それと寄り道は厳禁ですよ。決して」
エロ本なんて買ってこないでくださいね
この前、源一郎と創真は買ってベットの隙間に隠してちょこちょこ夜中にこっそり見ていたのがなぜか涼子にバレてしまい、書いたてホヤホヤなのに次の日には創真の勉強机の上に堂々と置かれてたらしい
そのままお説教モードに移行し以後そう行った本を購入することは禁止となってしまった。守りは完璧なのにどうしてバレたと二人考えてみたらベットの微妙な隙間から表紙が見えていることに気がついて、何も知らない涼子が部屋を掃除しに来た時に偶然が重なって見つかったとのこと。
この時、源一郎の辞書には「涼子さんの索敵、発見能力は異常」というのが追加された。しかし気合が入れば源一郎はどんなことでもやってのける人、言われたこと以上に頑張ったためかその日に配達する品物を一時間で終わらせて他の品物も全部配達したという。
「涼:すごいわ、配達したかったものが全部なくなった。これで少し仕事に余裕ができたわ」
「源一:まぁ儂の力はこれだけではないがな。」
鼻の下を伸ばしきっている源一郎。この人すごいなーなんて言いながらお茶をしようと二人がリビングに戻った時とんでもないことに気がついてしまった。
涼子の携帯に花世からのメールが届いていて
「弁当の白ご飯がない。箸もない」との一報、
涼:やらかした。
涼子凡ミスシリーズのトップにくる内容。箸を入れ忘れた、ご飯も炊きたてのがあったがそのままの状態で置いているなど、その2分後浩一からも同じ内容の連絡が入り途端に涼子は焦り出す。どうしようと焦っていた時源一郎は、何も言われないでただ丸く大きな握り飯を握り始める。
「源一:これは浩一の分、大きい方がいいだろう。こっちは花世の分聞くところによれば今の女子は昔に比べてあまりたべぬと聞く。時代は変わったな。無理して食べぬことも必要ぞ」
きちんと形が整った握り飯だが普通のサイズよりも浩一の握り飯は大きく感じた。しかし源一郎は満足とばかりに完成したおにぎりとをラップ箸を箸ケースに入れてそれぞれ包み温かみのある薄いピンク色の風呂敷とモダンな紫色の風呂敷に入れて食器棚から皿を取り出し再びおにぎりを三つほど作り梅干しを入れてラップをかけて二階に持って行った。
どうやら一徹して、大学が休みでそのまま寝ている創真のために握ったらしく、それを勉強の邪魔にならないように机に置いて来たらしい。
「涼:すいません、気にかけてくれてありがとうごさいます」
「源一:気にしないでくれ好きでやったことだ。それに大切な家族を気にかけなくてどうする?儂は長い間家族に迷惑しかかけてこなかった。その贖罪を今させてほしい」
「涼:そんな贖罪だなんて・・・それにしてもおにぎりが丸くて大きいのはなんででしょう?おかまのご飯の減りが早いような」
おかまにはまだご飯は残っているが、いつもお弁当に入れる分を残して普段より減りが早い。答えは握り飯の方に存在していた。握り飯に使った米の量は一合、だいたいお茶碗一杯ぶん。花世は少し少なめだが
それでも大きい。聞けば軍にいた頃、いわゆる腹が減った時のために持ち合わせていたがその時のサイズが大体ご飯一合を使った大きさだったらしい。創真は疲れているだろうから元気を出してもらうために浩一の分より少し大きく作ったという。
早速作りたての握り飯を届けるべく着流しに着替えステッキを取り出し風呂敷を持って老父の姿に化けると電車賃に浩一の勤めている品川区役所の行き方が書かれているメモを受け取り家を出て行く。
涼子があらかじめ二人に連絡を取っているため外にいると伝えると源一郎爺さんは弁当を届けに行った。
気がつけば午前10過ぎた頃
弁当に箸とご飯が入っていないことに気がついた花世は源一郎が来ることに少しそわそわしている反面少し嬉しかったらしく、大きな握り飯に淡い期待を寄せていた。
というのも梅子の作るおにぎりはとても美味しいもののサイズが少し小さかったり具がなかったりするためちょっと寂しかったりもする。それに曽祖父が作るおにぎりを一度食べてみたかったと夢見ていたことが少し叶いそうなためそういう意味で嬉しいらしい。
早く来ないかと待っていた時、ミリタリー部門の神田が花世のいるデスクを訪れて話がしたいと言いだし神妙な面持ちで二人はミリタリー部門の方に移動する
そして神田のデスクに置かれていたのはワードで打ち出された文章と神田が書いたあろう雑誌、そして古めかしい文
字が書かれた何かの設計図のようなもののコピーだ
「神:田中さん、驚かないでというか俺のことを変に思わないでほしい。思っていたら別にいいんだけど」
「花:はい?なんですか?」
「神:君は秘密兵器というものを信じるかな?秘密兵器は存在するんだが例えばそうだな、科学では想定できない非科学的なものとか」
「花:・・・・わからないです」
「神:そういうと思ったよ」
神田は花世がそう判断するであろうために机に置かれていた、設計図のようなものを手渡す。印刷はボケていてあまりはっきり見えないが人の姿らしきものと武器が書かれているページ
人のところには事細かく専門用語か暗号が書かれている拡大図。最後に人の形をした巨大な何かが書かれていてその設計図の左上には左から右に書かれている普段よくみる書き方ではなく右から左に旧字体のようなものが書かれている。よくそれを見れば「極秘、本土決戦用最終兵器。建御雷兵。建御名方兵。設計図」と小さく書かれている
「花:ケンゴかみなり兵?ケンゴメイホウ兵?なんですかこれは?」
「神:・・タケミカヅチ兵とタケミナカタ兵。どちらも日本神話に出て来る神様の名前から来ている。ここで少しこの二つについて教えておこう」
二つとも神様の名前、片方は建御雷神、もう片方は建御名方神。二人の神は天孫降臨の時に戦った神様。そして建御名方神は建御雷神に負けて長野の諏訪に逃げてその後見つかり封印された神様
「神:ここで俺なりの想像できるのは、この神様の名前を借りて人間を強固な兵にした。いわゆる人造人間を作って兵士にした。この頃敗戦色が濃厚でいつアメリカに上陸されかねないかわからなかった。
そこで旧日本軍は本土決戦に備えて最強の兵士を作り上げた。日本の戦の神の名を借りて、だがこれも想像なんだけどどちらか片方が暴走した時にストッパーもとい共倒れするように作り込んでいた」
理由は大きく上げて三つ
1 暴走して日本が味方の手で終わらないため
2 どちらかがなくなってももう一つの方が必ず敵の基地に飛行機にくっついてその基地を破壊するため
3 軍の極秘事項を漏らさないため
花世、ここで絶句。
神田が言っていることに頭が追いつかない。人造人間兵士ってなによ。
そしてそんな危ないものが存在するのかというわけのわからなさ。しかし源一郎の存在があるならばそう言ったことが過去にあったと否定はできない。確かに神田が言っていることはわからないが仮にそうだったとしても源一郎の家族に対する感情は人と同じ、妖術じみたことをやっていても人間がベースならば人の心がある。
そして花世が気になったのはその存在が二つあるということ、つまり源一郎の他にもう一人、人造人間兵士がもう一人いるということ。花世が迎えに来た時、そして源一郎がある日の夕食時に誰か異様な存在につけられたと言っていた事をまとめるとその片割れの方は確実に現代に生きている。そして少なからずそばにいると言えるのだ
「神:今からいうことはまた想像なんだけどこの兵士のどちらかが君を、田中くんを助けた兵士で片割れの方は今もどこかで生きている。君を助けた片割れの方を探しているのかもしれない。
二人で一つの存在かもしれないし、どちらかが強さを証明しようとしているのかもしれない。邪魔なものは殺すかもしれないほど冷徹なのかもしれないし。
「花:もし片方が私を助けたその人造兵士でもう片方がその兵士を探して彷徨っているってことですか?」
「神:そうと言えるけど。仮にその兵士が現代に蘇ったか目覚めたのかにしろ君の言っていた部隊章についても説明
がつくんだよ。公式な文章として残っていないから気がつかなかったんだ。とするならば」
二つの兵士は戦争が終わったと本気で信じていないことになる。広島、長崎の原爆投下やあの有名な玉音放送すら聞いていないんだ。そして日本が負けたことも
神田が言うことはなんとなくわかっている、血に飢えた兵士なのかもしれないと言うこと。だが源一郎はそう言った風には見えない。戦争が終わったことはわかっているだろう、敗戦したかどうかそれはさておきとして、熱い血の通う人であること花世自身が探していた、命を助けてくれた優しいおじちゃんであること。何よりも家族の一員、ひいおじいちゃんであることそれは変わらない、変えさせない。
そして花世はあることも同時に想像したのだ。花世を幼い日にそして最近になって襲った、傀儡その親玉がもう片方の兵士の可能性が高いと言うこと
「神:どちらかの兵士は君のひいおじいさんに似た人が適任だったのだろうね。どう言った経緯があったのかわからないけど適合者だったのかもね。」
神田がもう一つのコピーした設計図のところには被験者と書かれていて最後の方に二人ほど「優」と書かれていてそれ以外は全て「死・廃棄」と書かれていたのだ
「花:・・・・なんとも言えないですね。人間から兵器に変えらえてまた戦いに身を置かないといけないと言うのは」
「神:・・・そうだね。優しいんだよ花世ちゃん。・・・どうしたの泣いているけど?」
「花:・・・!その事に考えていたんできっと感情が入ったんだと思います。神田さんありがとうございます。少し参考になりました。」
「神:またわかったことがあったら教えてあげるよ。見返りはいらない、それに俺自身こう言ったことに少し興味があったからね。何かわかったことがあったらまた教えて欲しい」
神田にお辞儀をして自分のいたデスクに戻ろうとした時、受付の女性が花世を呼びついていくと。老父がベンチに座り花世を見つけて近づくと風呂敷をそっと手渡す
「源一:ほらご飯だよ。たくさん食べてお仕事頑張ってね」
「花:ありがとう!楽しみにしてたんだ。お茶していく?」
「源一:すまないね。でも浩一にも渡さないといけんから浩一のところに行くよ。遅くなったらまた涼子さんに連絡を入れなさい。迎えに来てくれるそうだ。」
「花:じゃぁまた連絡入れるね。いただきます」
源一郎はにこやかに微笑みながらその場を後にする、花世の父である浩一のところに手作り握り飯を届けるためだ。
デスクに戻って包みを開けると、涼子が作るおにぎりよりも少し丸くて大きいおにぎりが二つにお箸と、綺麗な字で「お仕事頑張れ」的なメッセージカードが入っている。
おにぎりを手に取ると少し暖かく、握りたてが食べたい花世だが我慢して包みを元に戻しカバンの中に戻す。だが気になっているのは神田が花世に対して見せて来た資料のこと人造兵士が二人いたこと。
一人は源一郎で間違いないがもう一人は一体何者なのか、今に何をしようとしているのかそもそももう片方は生きているのか。謎だらけだ。
その頃、源一郎は浩一に握り飯を渡し、お礼として若い区役所員から梅昆布茶を頂いたそうです。鼻の下伸ばしながら
午前11時
浩一の元に源一郎特製のおにぎりが届けられた頃、雛城高校2年2組の生徒たちは授業の休み時間教師がいない事を確認した上であるものを使って遊び出していた。
そのクラスの真ん中にいたのは源一郎の千人針を盗んだマサ。本名・坂本真斗と西川真司が教壇に登りクラスの全員に重大発表と言ってふざけ出している
クラスの片隅で嫌そうな顔を顔を浮かべながら相川雪乃はぼうっと窓の外を見つめている。それ以外のクラスの人間は興味ありげに二人を見ていた。西川のグループで一番のギャルで雪乃とは幼馴染の小川さきも二人の馬鹿げた行動をはやし立てながら、同じクラスのギャルで友人の高田千佳と二人で雪乃を心配している。
この二人がふざけ出したのは今ちまたで噂になっている、「妖怪兵士」や「日本軍の幽霊」に関連したものだと言いふらしたからだ。それをクラスの全員に話したらしく、内心雪乃はそれについて怒っている。
持ち主に返してあげたいから。と言う事
「まさ:はーい!みんなに発表でーす!。この前ちょー面白いもの見つけたからみんなに見せたいと思いまーす。しかもこれイワクツキらしいでーす!」
「しん:でもそんなの関係ないから見せてやるよ!」
ごそごそと机の下から取り出された白い布、周りの人間はそれが何かわからず二人に早く見せろと急かし始めた。白い布を取り出すとまさはその布を広げ、全員に見えるように高々と掲げる。
「まさ:これなんだと思う?知ってる人!?」
その布と赤い刺繍を見て今時の高校生は、それが何かわからず。ただボロいだの汚いだの挙句にはふざけて携帯で写真を撮る始末。それをSNSで拡散するとまで言い出したらしく、雪乃の堪忍袋の緒は完全にプツンと切れてしまった。
だがもうひとりその千人針を見て興奮している人間がいる。少し小太りでミリタリーオタクで有名な神田輝樹、しかも第二次世界大戦中の事ならとっても詳しいらしい。
そのためか周りから浮いた存在になりがちだ。この男、花世が務める出版社の神田隆の年の離れた弟だ
「神:これ。千人針じゃないか。俺初めて見たよ。あれ?小さく名前が刺繍されてる「田中源一郎サマヘ」だってさ。ねぇこれ俺にくれよ!お金は払うからさ!」
「まさ:だってさどうする?」
「しん:どうする?って言うかさお前そう言うの詳しいんだろ。この前変なカイキ現象って言うのに出くわしたの。そしてら歌が聞こえて来て。携帯がちょうど録音モードだったから。知り合いに頼んでノイズ消してもらったのそしたら、歌がクリアに聞こえるかけ。聞いてもらえる?」
西川は制服のポケットから携帯を取り出し、画面を操作すると音を大きめに流してその音楽を再生させた。最初は行進のような規則正しい一定のリズムと共に本題の歌が流れ始める
独特のリズム、現代日本にはかけ離れた音、そして古い日本語で歌われた歌詞。教室の中はざわめいているが神田はただ静かにその歌を聞き、わかったかのように首を縦にウンウンと言うように頷く。
変な歌だなんて言っていたギャルの小川と高田は互いに言い合うが雪乃を見てまずいっと言い出した。ただぼーっとしているのかと思えば違う、顔面が青白くなり震えていたのだ
そんなことも知らずに神田はその歌を聴いてわかったかのように誇らしげに胸を張った。西川もそれを察して携帯の画面を操作し再びポケットの中にしまう
「神:これは有名な歌だよ。『海行かば』って言う歌さ。軍歌と言うよりも昔の国歌だよ。にして変だね。こんなに機械音ちっくな歌じゃないんだけど。なんか気持ちが悪いと言うか」
「まさ:だよな。聞こえて来たときはマジでビビったって言うか。」
「しん:やっぱり噂は本当なのかもな。あいつがマジで妖怪なのか確かめてみようぜ!面白そうだし!」
いい加減にしてよ。
「まさ:え?ゆきりん何か言った?」
「雪:いい加減にしてって言ったの。聞こえなかった?」
ゆっくりと立ち上がりまさが広げていた千人針を強引に取り上げその刺繍をじっと見つめて顔をあげたとき大粒の涙がボロボロとこぼれ始める。めんどくさそうに坂本を見る西川、呆れた顔をする坂本
雪乃が泣いたことに驚きを隠せない神田にやりすぎだよねっと開き直るギャルの二人。このせいで教室の空気がずっしりと重たくなってしまった
「雪:これ本当にどうするつもりだったの?神田くんに売るつもりだったの?言っとくけどこれあんたたち二人のものでもなければ神田くんのものでもないよ。もちろん私のものでもないし。持ち主に返してあげなきゃダメじゃん」
「まさ:あのさー雪乃?これの何がいいってわけ?こんなのすぐ捨てるに決まってんだろ?こんなのに何か勝ちどもあんのかよ」
「雪:じゃあ言うけど。あんたが大切に持ってるもの取られたらどうする?嫌に決まってるでしょ?西川くんも?どう?」
「しん:なんだよ。言いたいことがあるならはっきり言えってウゼェ」
「雪:これね。言っとくけどお守りのなんだよ。その人がちゃんと帰ってくるように願って作られたお守り。昔戦争があったのは社会の授業とかテレビで時々見るでしょ?」
「しん:だったらなんだよ。それと何が関係あんの?」
「雪:もしあんたたちがこれを持つ立場にだったら?戦場に行くことになったら?あんたたちの彼女やお母さんたちがどんな思いで送らないといけないかわかる?」
「まさ:いい加減にしろって!?何が言いたいんだよ」
「雪:私のひいおじいちゃんがこれと同じものを持って戦争に行ったの。そして帰って来たのはボロボロに血がついて半分ほど焼けた千人針だけだった。これをずっとひいばあちゃんは大切に持ってたんだよ。
愛する人が大好きな人が帰ってこないなんて気持ちわかる?大切な人が突然いなくなるなんてわかる?これを持った人や作った人はこれが形見なんだよ!」
だからちゃんと返してあげないとその人はずっと悲しむんだよ。ふざけてないで返してあげて!
千人針を持ったまま雪乃は教室を飛び出し、そのまま残りの授業を受けることなく教室に帰ってくることはなかった。西川も坂本も雪乃に謝ることはなく何のアクションを起こすこともなく、心配した小川と高田は雪乃がいそうなところにこっそりとやって来た
学校の屋上、普段施錠されているが立て付けがあまりきっちりとしていないためかドアノブを少し動かしながら回せば簡単に侵入することなどここにいる生徒の全員が知っている。
そこによく雪乃は昼休みになれば一人弁当を食べることがあるらしい。
「小:ユーキノ!やっぱりここにいたんだ。心配したよ。もう困難だし一緒に帰ろ?それにまさもしんも先に帰ったみたいだし。気晴らしに、駅前のドーナツ食べに行こうよ」
「高:それにしてもちょっとびっくりしたよ。本気で怒ったとこ見たことないから。それにしてもどうしてあんなに二人に切れたの?」
訳を話せば長くなった。
雪乃の話していた、曽祖父にあたる人物。名前が相川幸之助、旧姓速水幸之助。階級は少尉で雪乃の曽祖母の、相川時子に婿入りしたらしく、とても優しい人で同僚の田中や木下と呼ばれる仲間と日々語り合い時に殴り合い、喧嘩しと行っても遊びでやっているとのこと。時々帰って来ては家族とゆっくり過ごしたり一緒にご飯作ったり、今でいう優男というかイクメンと言われるようなレディーファーストを重んじる紳士だった。ハンサムな人。だが3人の喧嘩の行為に上層部がブチギレて降格させて結局、准尉になったそうだ
しかし、そういう楽しい時間は長くは続かずある日、小規模な戦闘が激化しその時仲間を庇って戦死。曽祖母には軍から
「吉報、見事に戦死した」
と告げられるが遺品として帰って来たのは血がこべり付き焼け焦げただ名前がわかるように刺繍された相川幸之助という文字がギリギリ見える程度。
そして雪乃がもの心つかぬ時にもともと霊感が強かったというか神官の子供というのもあってそう行ったものが強くそんなある日、焼け焦げた匂いがして曽祖母の部屋兼仏間をのぞいた時、うたた寝をしていた曽祖母に近づいて見た時に遺影によく似た人物が寄り添うようにいたのだ。
「小:こわ!何それ?」
「高:でも何もしてこないんでしょ?どうしたのそれで」
「雪:そこから覚えていないけど、お父さんから聞いたらその人とずっと遊んだり話していたらしいんだ。お父さんをそう行った口だから。それにお父さんもその人のこと子供の頃から知っていて守ってもらってるから邪険にしたらダメって言われてるの。」
二人は雪乃のことを知っているからこそ霊感について怖いとは思わなかった。しかしこの話は簡単に行ってすごいとしか言えなかった。だが決して疑うことはなく、そっと話の続きを聴いて行く。実は、西川たちがお祓いを受けたひこの千人針を包んでいた時に偶然現れて驚いていた。それは同僚の田中のものだと知ったからだという。そしてちゃんと返してあげてね、と言われたそうだ
「小:そんなことがあったんだ。なんか悪いことしちゃったね。ごめん雪乃」
「高:最近あいつらちょっとおかしいんだよね。変っていうか、やたらこだわっているっていうか」
「雪:・・・・そうだね。でもありがとうちょっとスッキリしたし。帰ろっか」
暖かい時間は過ぎて行く、悪魔の計画が一つ進んだとも知らず。異常な事件が起ころうとしていた
「あの小娘。源一郎様の隣で親友とか行ってほざいていたハエの子供か。ちょうどいいついでにこいつも消すか。源一郎様と再び巡り会うためにも、私たちの理想郷を作りましょう。愛しています。誰よりも」
悪魔の計画は動き出す。
今回の内容、特に後半部分はみなさんの想像にお任せします。
雪乃ちゃんは源一郎のことをどう思っているかわかりませんが雪乃ちゃんのひいおばあちゃんが愛し幽霊になって出てくるひいおじいちゃんとどこか重ねていたのかもしれないですね。
幽霊見えてるって怖いですよね。よく神社仏閣で住んでるそういった仕事が身近な子供や人は見えている人がいるって聞くんですけど怖いよねー
次回予告
源一郎は夜家族全員にボルシチをご馳走し、なぜかその時涼子が再び暴れ出す
そんなことも知らずに浩一の弟である人物、源一郎のもう一人の孫と曾孫が自宅にやってきた。
嬉しいなぁとか言ってる源一郎。何かの気配を感じ外を伺うとジト目の三馬鹿刑事がのぞいていた
その頃、黒幕であるシライシと呼ばれる人物が計画を実行に移す。
まず狙われたのは・・・・・・
次回
ひいおじいちゃんと対決(2)
源一「・・・・ボルシチ食うか?」
三馬鹿「ボルシチ・・オイテ・・・カエレ」
花・創「猩々(しょうじょう)たち!」
浩・涼「そんなことしてたら通報されるぞ」
次回も宜しくお願いします。お昼時に済ません




