01
幼い頃の事を思い出した。
そこには、今までに見たことも無い物が、存在していた。
俗に言う百鬼夜行や、幽霊等がそこにはいた。
人間達は奴らに為す術なく、蹂躙されていった。
道を行けば死体の山が築かれ、辺りを見れば、親を亡くしたであろう、孤児達が泣いている姿があったり、死んだ様な目をして、この世の絶望を物語っている姿も、あった。
日本全国に、出没した百鬼夜行は、日本を血で染めていった。
しかし、そんな百鬼夜行でも、一つだけ、できない所があった。
そこは、京都だった。
突如として現れた、四神と呼ばれる東西南北の守護神達によって、京都は平和を手に入れた。
そして、四神達は、自分の力を与え、京都の守護を約束させた。
また、四神に力を与えられた者だけが京都を守護するのでは、なかった。
霊が開放される際に、黄泉の国から、特殊な力が世界中に、降り注いだ。
その効果があったのは、その時の二十歳未満の一部の少年少女達だった。
ある者は火を自由に操れる者。またある者は銃で射たれても傷一つ無い体を持つ者。
彼らの様な特異な力を持つ者達は、ベンジャーと呼ばれるようになった。
また、世界でも日本と同じように黄泉の国より特殊な力が降り注いだため、世界でのベンジャーの割合は二パーセントと、数が多い。
更に、ベンジャーにも種類がある。
四神の様に、人間に害を為さず、守ってくれる聖獣の宿主を、パトローナーと呼ばれ、ただ、特殊な力を持っている者をシュイヴァントと、呼ばれたが、他にも種類がある。
百鬼夜行が暴れている際に重体となった少年少女が多く、余命残り僅かと言われる者もいたが、それでも外聞とした者もいた。
彼らは四神のような、聖獣せず、百鬼夜行の様な要な、化け物と契約して生きていく者がいた。
彼らはレンジェットと呼ばれて、世間から冷たい扱いを受けた。
俺は十歳頃に鬼に襲われ、意識不明の重体となり、生死の境をさ迷った。
その時、意識の世界で、
「お前はここで惨めに死にたいか」と、問われた。
そんなの嫌だ。俺はまだ、親に今までありがとうの一言も言えていない。こんなところで……死にたくない!!
「ならば、誓え。少年よ、我と共に生きると」
誓う。だから俺を……
目覚めた時、俺は眩しい光の射す病室にいた。
部屋には両親と医者がいた。
両親は俺を泣いて抱きしめてくれた。しかし、医者は深刻そうな顔をして、両親に
「残念ながら、息子さんの回復スピードは異常です。あれだけの事があったのに、目覚めが早すぎます。レンジェットの可能性があり、……出て行ってもらわなければいけません。」
俺はそうして病院を追い出された。
自分の家に帰ると近所の奴らが俺に石を投げつけて来た。
両親はいつも泣いていた。
そんな日々が一年続いた後、両親は死んだ。殺された。俺がレンジェットだという理由でだ。
近所の奴らは犯人を素晴らしいだの、よくやった。と、次々に褒め称えた。
そして、俺を殴ったり、蹴り続けた。
俺は意識が途絶えた。
俺は意識の世界にいた。
「ふっ、久しいな」
俺をレンジェットとした奴の声だった。どんな奴なのか気になり、見てみた。
目の前にいたのは、狐だった。
しかし、尾が9つあり、九尾だと分かった。
結局、助けてもらっても、惨めな一生だった。両親に今までありがとうとも言えず死なれたんだから。
「まだ、お前が惨めとは限らんぞ」
終わったんだよ。もう…何もかも……
「いや、まだだ。お前はどうしたい」
俺は、奴らを…いや、この世界を、壊したい!
「ならば、この力を存分に使え」
そこで意識が途絶えた。
目覚めると、リーダー格の男が俺を殴ろうとしていた。
刹那、俺から出てきた尾が、リーダー格の男の腕を貫いた。
断末魔が聞こえ、十人いたグループの奴らが散り散りに逃げようとした所を、4本出てきた尾を使い、一ヶ所に集めた。
俺は悪くない、リーダーに嫌々やらされたという言い訳をきいたあと、一人ずつ手足をもいで目を潰した状態にし、両親に一人ずつ送り届け、目の前で両親共々殺した。
その後、自分の家に帰り、母さんの狐面と父さんの黒コートを羽織り、街を全て燃やした。
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「リーダー、起きてください。出撃まであと10分です。」
「分かった。」
辺りを見回すと五人の男女がいた。
俺は狐面をつけ、黒コートを羽織る。
「さぁ、復讐の時間だ!」