第18話
「それではお二人とも頭を下げてください」
宮司が大麻を左右に振りながら言った。
儀式のようなものは10分ほど続き、隆一にギターを取り出すよう指示した。
「ホントにいいのか?」
ケンがすまなさそうな顔をして隆一に言った。
「さあ、終わらせよう・・・」
宮司は、隆一のギターを先ほど掘った穴に組まれた薪の上に丁寧に置いた。
「さあもう一度深く頭をお下げください・・・」
そういうと薪の下に敷かれた半紙に火を点け、再び大麻を振った。
パチパチという音と共に徐々に炎が大きくなり、その先が黒いストラトキャスターの
ボディを炙りはじめている。
暫くすると黒い塗装部に一気に火が回りあっという間にギターは炎に包まれた。
最初に細い1弦が悲鳴のような音をあげて切れ、次々と何かを断ち切るように
弦が悲鳴をあげていた。
メイプルのネックの付け根が嫌な音をたてて折れた瞬間、ギターは組まれた薪の中に
落ち、さらに大きな炎に包まれた。
30分ほどの時間だったろうか、もっと長かったのだろうか・・・
金属部がそこにギターがあったことを示さなければ、何を燃やしたのか分らないほど
綺麗な灰の山が出来ていた。
宮司は再び二人の前に立ち大麻を振った。
「これで全て終わりました・・・」
「ありがとうございました。こんな遅い時間に・・・なんとお礼をいっていいのか」
「隆一さん・・・でしたよね、わたしが出来る事はここまでです。あとは君たちが
しっかりとした気持ちを持って生きていってください。生活の乱れやちょっとした
心の隙間を彼らは見逃しません・・・規則正しい生活を心がけてください」
俺たちは宮司に心から感謝の気持ちを伝え神社を後にした。
既に東の空が少しだけ明るくなり始めている。
俺は新しい人生が今始ったかのような気持ちがしていた。




