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第15話

「自殺した人の魂ってどこに行くと思う?」


「どこに行くって・・・天国とか地獄とかそういう話?」


「そう・・・人は死ぬとね、魂がもとあった場所に帰っていくの。なんだろ・・・

宇宙みたいな空間・・・すごく高い場所にあるんだけど、何年もかけて

そこに帰ってゆくの。でもね、自殺した人の魂はそこには登ってゆけないの。

私たちが生活いる場所と同じ所に何百年もの間留まってる。それはとても苦しい

ことなの。彷徨い続けるんですもの・・・一人ぼっちで。

だから思い出してくれたりする人の所へ現れるの。優しくして欲しいのよね。

でもそれは生きてる人にとってとても厄介なこと。

取り憑かれるって聞いたことあるでしょ? ああいう状態なの。

病気になったり事故に巻き込まれたり、事件を起こしたり・・・

この白人の男性の場合はそれだった。

店に来ていた酔っ払いの客と喧嘩になって、撃ち殺しちゃったの。

自分でもどうしていいか分らず逃げ出したんだけど、追いかけてきた警官に発砲して

射殺されたわ。5発も弾を浴びて・・・彼の家にあった物は殺された酔っ払いの客の

家族に渡す賠償金の為に換金された。また一人きりになった黒人の魂は

ギターと供に新しい持ち主に取り憑いたの・・・

このギターを持った人は必ず事件に巻き込まれている。

自分がなんでも無い時は周りの人が死んでる・・・」


「呪われたギターっていうことなのか?」


「最初の男の子が悪さをしたのは数回・・・あとは巻き込まれて自殺した人たちが

次々と違う人に取り憑いていって・・・」


「じゃあ正也やケンは・・・ひょっとして芳樹の霊が?」


「そう・・・芳樹君っていう人、今はケン君のところに居る」


「何だって! どうすればいいんだよ・・・このままじゃ・・・」


「わたしが言う通りにすれば大丈夫だから。忘れるといけないからメモして。

まずケン君のところへ行くの。このギターを持って。そしてケン君を連れ出して

高見神社に行って。地図は後から渡すから。そこでこのギターを燃やして欲しいの

宮司さんには私から話しておくから、持って行くだけであとはお任せすればいい。

そして帰ってきたら1週間、毎日塩で家や自分を清めて。ケン君は勿論だけど

正也君も出来ればしたほうがいいわ。 どう?出来るでしょ?」


「ああ・・・それぐらいなら・・・」

そう言いながらもギターを燃やしてしまうことに少し躊躇いがあった。

もうこのギターを弾けなくなってしまうのが辛かった。

でも早くしなければケンが自殺してしまうかもしれない・・・

1秒でも無駄には出来ない。


「じゃあこれからケンの所へ行くよ・・・」


「わたしが着いて行ければいいんだけど・・・芳樹君の霊に気づかれると

どこかへ逃げていってしまうから・・・宮司さんにはすぐに電話をしておく。

それとこれが地図ね。がんばって。きっと上手くいく・・・

ケン君には電話しないで突然行ったほうがいいわ」


俺はギターをケースにしまうとタクシーを呼びケンの家に向かった。



.挿絵(By みてみん)


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