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AMARYLLIS(旧版)  作者: ねこじゃ・じぇねこ
一章 カリス
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0.漆黒の唄


 漆黒。彼を見た印象はまさにその一言だった。

 罪人という重たい十字架を背負うにはあまりにも美し過ぎる。人間等糧でしかないはずなのに、私は真っ先にそう思った。

 彼が立ち向かうのは大いなる神々の定めたのり

 己の身を滅ぼす事になろうとも、それが少しでも希望の光を醸し出すという限り、彼はこの蛮行を止めたりしないだろう。

 私は彼を止めたかった。だが止められる者は私ではない。

 その者の名はアマリリス。

 人狼である私が、一人の女である私が、心の底から憎み続けるべきはずの赤い魔女、ただ一人だった。


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