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0.罪人の唄
罪人と呼ばれる事すら心地いい。
全人類、全生物の恨みを一人で受け止める事となっても、私には後悔なんて生まれないだろう。
何故ならもはや私には人間としての感覚など残されていなかったのだから。
そのくらい、この世界は残酷すぎた。
愛するには冷た過ぎた。
家族を失ってただ生きることだけが私に定められた運命なのだと断言するのならば、私もまた全てを恨み続けよう。
そうして私は罪人となった。神の裁きを掻い潜り、あり得ない可能性だけを信じて、私はただ己の剣を血肉で穢した。
裁きの名はアマリリス。
忌々しい魔女の一人。