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0.終わりの唄
この世に生まれ落ちた何者にも理由が存在するのなら、私は何故生まれてきたのだろう。
父は分からず、母は殺された。
私の訪れを祝福している世界など此処には在らず、魔力の代償に背負わされた性という重石によって蔑まれるばかり。
それでも私を歓迎するならば、それはきっと心臓に咲く真っ赤な花を歓迎してのことであろう。あとの全ては器に過ぎない。心も体もすべて。
私の名前はアマリリス。
勇者となるべく生まれたのか、神々の計算違いで勇者に仕立て上げられたのか。その答えはきっと最期まで分からないままだろう。