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第二話 「秒針の鼓動」 一
世界と繋がれていた
細い糸が
たった今
ぷつりと切れてしまった。
手首に巻かれた
アンティークな機械式時計
「チク タク」という
微かな響きだけが
世界に存在し
前へと進んでいる
唯一の錨だった。
耳を押し当てる。
振ってみる
リューズを巻く
秒針は
凍りついたまま
ぞっとするような冷気が
這い上がってきた。
時計が死んだ
僕の命は?
指を手首に押し当てる
指先は
自分の脈拍すら
とらえられない
鼓動も
息も
生きてるしるしを
つかめない
「直さなければ」




