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ひとりの夜は、読んではいけないポエム  作者: 水翔
物語 詩集「ひとりの夜は、読んではいけないポエム」にまつわるストーリー
8/21

第一話 ひとりの夜は、読んではいけない 三

 私は両手で耳を覆った。

 けれど、インクの羽を震わせて歌うその声は、

 指の隙間をすり抜けて、

 歪んでしまった私のこころのかたちを正確に撫でていく。


 それは、私の中にあったものだった。

 それらがすべて空中に溶け出し、

 一羽の鳥となって、泣いているように聞こえた。


 最後のさえずりが、夜のしじまに溶けていく。

 小鳥の真っ黒な瞳が、私をじっと見つめている。

 どこにも行けないままの私を。


 やがて、小鳥は詩集の開かれたページに降り立ち

 その中に入り込むように消えた


 私は、濡れた手で、本に触った

 ページは、指の湿りのあとを残していた

 それ以外は

 何もなかった


 窓の外

 夜の境界線が

 消えようとしていた。

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