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第三章 リフレイン
『境界線』
水平線があるから
海は空になれない
地平線があるから
大地は空になれない
どんなに焦がれようと
けれど
月も
星も
ない夜は
境界が
ほどかれる
毎夜
毎夜
僕も
待っている
夜が
終わらない
その瞬間を
『マグカップ』
真夜中
お気に入りのマグカップに
コーヒーをそそぐ
おきまりの時
そして
おきまりのことば
「あなたは、だあれ」
白い湯気が
かすかにゆれる
今夜もまた
おきまりのやりとりが
はじまる。
『こころのかたち』
尖った角を
すり減らし
丸くなっていく
ことばが
うわべを
すべっていく
「アイシテル」
君は今
何を言ったの
尖った角を
すり減らし
こころは
静かに
ひび割れていく
『砂時計』
「砂浜で
時を
取り出したとき
人は
そのおそろしさに
気がつかなかったのかな?」
「でも、だから
きみは
生きている」
さらさらとした答えに
ぼくは
何も
返せない
『リフレイン』
そっとにぎりしめる
手
無慈悲にはらいのける
手
かけよる
足
かけ去っていく
足
「あいしてる」
告げる唇
「さよなら」
ふるえる唇
そして
また・・・
『影』
赤
青
黃
光は
変わってしまうのに
影の
変わらぬ
黒だけが
僕を
裏切らない
それだけが
ぼくの
灯り




