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第二章 ダイアローグ
『優しい雨』
雨降る夜
傘もささず
歩道にひとり
そらを見上げ
つぶやく
「ありがとう」
雨は
少し強くなる
「お礼はいらないわ
雨は おちるものよ」
なみだのように
『かみあわない声』
ごきげんな僕が
ドアを
開ける
「あんた、だれ?」
言ったのは
机
いす
冷蔵庫
それとも
部屋そのものか
「これもぼくだ」
いつもの返し
「あんた、だれ?」
「これもぼくだ」
かみあわない
声だけが
残る
『AI執事』
青いチェックマークが
僕を
見ている
けれど
「メッセージ、連絡はありません」
AI執事は
事も無げに言う
「そう」
それしか
返せない
『存在』
「イラッシャイマセ」
「アリガトウゴザイマシタ」
コンビニの店員が言う
「イラッシャイマセ」
「アリガトウゴザイマシタ」
ファーストフードの店員が言う
そこに
僕は
いない
「アイシテル」
「アイシテルワ」
そこにいるのは
彼と彼女
君と僕は
どこにもいない
『マリオネットとピエロのダイアローグ』
「ねえ、あなたの好きな私になれている?」
首を傾けて、きみが問う
背中に伸びる見えない糸は
僕が指先に巻きつけているのに
「ああ、そうだね」
僕は唇の紅を
少し
重ねる
笑った顔のままでいるために
僕が望む君
君が望む僕
拍手のない
舞台の上で
『シーソー』
きみはぼくより
上
ぼくはきみより
上
決して
平らにならない
見せつけられる
シーソーの
残酷な
やさしさ




