表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひとりの夜は、読んではいけないポエム  作者: 水翔
物語 詩集「ひとりの夜は、読んではいけないポエム」にまつわるストーリー
12/21

第三話 雨の代役 -やさしい雨- 一

 泣くのを

 忘れてしまったのは

 いつからだ。


 喉の奥が

 焼け付くように痛い

 胸の底に

 冷たい泥水が

 ひたひたに溜まっている

 けれど

 それが

 目の奥まで上がってこない


 あふれる手前で

 見えない膜に遮られてしまう


 明日も仕事がある

 電車に乗らなければならない

 誰かに心配をかけてはならない。

 そんな「大人としての分別」

 という名の乾いたタオルが

 すべて根こそぎぬぐい去ってしまう


 ポケットの中

 スマートフォンは

 凍り付いていた

 三日前のまま


 ――ごめん、もう無理だと思う。


 既読はついている。

 けれど

 何も返ってこない


 画面を消しても

 一行だけは消えずに残る

 喉の奥に引っかかて

 下にも上にも動かない


 深夜零時を回った頃

 予報にはなかった雨が降り出した。


 大粒の冷たい雨

 深夜の数少ない人々は

 舌打ちをして

 小走りで散っていく


 その中を

 ゆっくりと歩く


 冷たい雨粒が頬を打ち

 コートの肩を濡らしていく


 濡れることに

 理由はいらない夜だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ