1. 臆病者と爆破犯
今まで小説を完結させることができないためもう好きなまま徒然と書いていきます。
ハクション!
今日はここ数カ月でも稀に見る寒さだ。鉄格子から外を眺めれば吹き荒れる吹雪の向こうに、一面の雪原が広がっていた。
この極北の収容所に入れられてもう半年経ったのか?毎日同じ作業の繰り返しに心が折れそうだった。いや、とうの昔に折れてしまい、今は無敵状態かもしれない。
「起床!!!」
怒声と共に灯りが灯り朝の点呼が始まる。
「1階東異常なし!」
「2階北異常なし!」
着々と続く異常なしの報告。まああったら問題だ。
「今日の予定だが発掘班はいつも通り、戦闘班は朝食後、新入りを迎え入れてから出発だ」
「新入りだって?」
「さて何日保つかな?俺は二日で逝くに50クオラ賭ける!」
そういえば少し前に看守どもが補充が来るとか雑談していたのを思い出す。ちょうど俺と組んでいたやつが失踪して1ヶ月。新入りの相手は俺か?
そんなことを考えながら朝食を食べ終えるとフロアに俺たちは集められた。前方には、初めて目にする青年が立っていた。
「こいつがさっき話した新入りだ。パール……あいさつをしろ」
「帝都から来た魔術師のパールです。よろしく!」
簡易な挨拶で終わった。当然俺たちと同じ服装。だが……異質だ。ここにいるやつのようにガラの悪さも見当たらない。政治犯か?
「トレス!パールと組むのはお前だ」
「やっぱそうなるのか……」
「トレスさん?よろしく」
戦闘班に来るってことは最低限戦える。魔術師で戦闘経験あり、思いつく仕事はいくつかある……だがどのみちここには来ないだろう普通。
「さてトレス。こいつの罪状は聞いて驚くなよ……なんと半年前帝都で起きた爆発事故の主犯だ」
「大爆発……そういえば話は聞いたことがあるな」
「刑務所が吹き飛んだやつだろ?髪切ったときに床に敷かれてた新聞に書いてあったぞ」
「ランダ……本当に細かいところまで見ているな」
「一度文字を覚えてからは、どうしても目に入っちまうんだよ。文字ってのは厄介でな」
ランダはそう言って、懐からくしゃくしゃになった紙片を取り出す。それは散髪のときに床に敷かれていた新聞の一部。奴はこっそり拾ってポケットにしまっていたらしい。
「“帝都・刑務所爆発”って見出し。そして日付と誰かの名前がかろうじて読めた」
「そんなもんでよく覚えてるな……」
ガヤガヤと盛り上がる中、看守が手を一発叩いた。
「雑談はそこまで。いつも通り狩りの時間だ。ノルマは一組四体!」
「今日何人生き残るかな?」
「新入りのやつが消えるに3クオラ」
結局いつものノリに皆戻った。
「なるほど。賭け事で気分を紛らわしてるんですね」
「まともじゃないやつほど生き残るからな」
「なら私はそんなに長くないか……」
「爆発事故を起こしたやつがまともか?」
一通り準備を終えると皆正門に集まった。能力を活かしやすい剣や槍を使う者がほとんどだ。
「倒したのがデカブツなら考慮してやるがそうでなければノルマ未達での帰還は許さない。さあ行った行った!」
極寒の地での魔獣狩り。これが俺たち戦闘班に課せられたノルマ。新入りと組んだ初日に4体か……今回で俺の命運も尽きるのか?
「あれ?皆バラバラで動くんですか?」
「ここに集団行動なんてない。いるのは他人を蹴落としてでも生き残ろうとする社会不適合者だけだ」
「では2人で生き残る術を考えないとですね」
「聞こえなかったか?他人を蹴落とすやつばかりだぞ」
「小銃一丁で私を見捨てる余裕がおありですか?」
パールはあざ笑うように返した。
……思ったより気が強いな。まあ実際一人で生き延びられるはずもないが。
「本当に小銃だけで生き残ったんですか?」
「ああ。臆病さと幸運だけでここまで来た」
「ある意味化け物ですよ」
「でもろくに戦えないから隠れて弱点を撃つ以外何も……他の奴らは戦闘に使える能力があるんだが」
実際便利な能力を持つ奴らがうらやましい。俺が息を殺し心臓をバクバクさせながら一か八の賭けに出ることを、奴らは難なくこなすのだから。
「それなら私も学べることがたくさんありそうです」
「こんな無能力者から学べることはないよ。元宮廷魔術師さん?」
「……ばれてましたか」
「帝都で爆発事故を起こした魔術師なら……宮廷魔術師以外に何がある?」
隠す気もなかっただろうに。帝都で戦闘能力がある魔術師といったら……軍属の魔術師という可能性もあったがここは賭けに勝ったな。
「その経歴ならこの極北の地、フロストノードで出る魔獣も知ってるな?」
「合成獣に小鬼に鉄巨人辺り?」
どれも討伐難易度の高いやつらだ。鉄巨人に至ってはどんなに理想的な状況に追い込めても倒せる気がしない。
「大体そうだ。たまに得体のしれないやつもいるって噂だが基本は小鬼をノルマの数倒して持って帰る。それ以外は出会っても無視だ無視」
「その考えが生き延びることができた要因なんでしょうね」
それ以外の選択肢が俺には与えられていなかっただけだ。
1話の最初と最後で既に脳内の構想変わってるけど大丈夫かな?




