終幕 夢
怒涛の現地イベントを終えて、澪の生活は劇的に変化…することは無かった。
相変わらず俳優さんのSNSの写真を見て、ほわぁ、と見惚れて、仕事の活力にする。それだけだ。
変わった事といえば、パニック障害の治療…カウンセリングを受けるようになったこと。
2.5次元は今回の件で好きになったが、実写化については未だに苦手だ。
その為、未だに映画館や舞台ホールといった所は相変わらず苦手で、恐怖の対象となっている。
そのまま特に困らない、と思っていた澪だが、今回実際に俳優さん本人とお話して、現地で観劇したいという気持ちが強くなったのだ。
その為に、澪は通院をしている。
そしてもう一つは。
「…よし。できた」
ゲームシナリオだけでなく、小説を書く時間が増えたことだ。
演じる作品に、キャラに、真摯に向き合う2.5次元俳優さん。
新たな知見を得る機会をくれた、舞台という世界。
そんな皆さんに、舞台を見るキッカケをくれた俳優さんに、いつか自分の作品を、演じてほしいと思うようになった。
「…いつか、叶えたいなぁ」
そう思いながら、澪はまた今日もパソコンと向きあう。
目指すはコンテストの入賞。
その為に、澪は今日も文字を打ち込む。
この話の結末は解らない。
だって…
まだ挑戦は始まったばかりなのだ。