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序章 嫌悪の始まり
「…これ、誰。」
好きな作品だった。好きなキャラクターだった。
実写化と聞いて、不安よりも楽しみが勝った。
その期待は、予告を見て砕け散った。
変えられた髪型、変えられたキメ台詞、名前から全て変えられたキャラクター。
好きだから、大好きだったから、ショックだった。
実写化だからそういうものなんだ、そう無理やり納得して、この気持ちに蓋をした。
その数年後、別の実写化情報を見て、ただの落胆は、絶望に変わった。
髪型も、キャラクターも、世界観も、全て再現された別作品の実写映画。
テレビでも高い再現度、と話題になっていた。
予算や映像技術、色々な所が違うのは解っている。
それでも、どうして思ってしまうのだ。
どうしてあの作品で、こんな風に再現してくれなかったの。
そんな事言えなくて、ただこの気持ちだけが棘のように食い込んでいく。
気が付けば。
私は実写映画も、舞台も、苦手になっていた。