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死神の終末  作者: 白唯奏
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トランプが落ちる時

プロローグが短かったので第一話と合体しています


プロローグ


 「____、会いにきたよ」

 石が積まれただけの簡素な墓の前に少女が腰を下ろし、黒いローブのフードを取った。少女の金髪の髪が風で持ち上がる。

 少女は暫く墓を見つめていた。

 すると、徐ろにローブから一輪の花を取りだした。

 青い彼岸花だった。

 少女は青い彼岸花を墓の前に置き、呟いた。

「愛してるよ」

 あの日、あの時、あの瞬間から、もう数百年が経っていた。


 第一話 トランプが落ちる時

__死神なんて居ないと思ってた。

「た、助けてくれ!俺はまだ死にたくねぇんだよ!」

 死神は二人。男と少女。

 男の方は身長よりもデカい大鎌を持ち、少女の方は青い宝石を埋め込んだ回転式の銃を持っている。

「やーだよ。………じゃあ、次はあんたの番♪」

 主に殺すのは少女の方。とどめを刺すのは男。

 そして、

「必ず殺される」


 所々にヒビの入ったコンクリートの地面に、二人分の足音が響いた。

「モラール、次は学校ね♪」

 一人は十歳程の少女−ユイラ。金髪に、吸い込まれそうな青い瞳が特徴的だ。そして、その瞳を模したであろう宝石が胸元で輝いていた。

「かしこまりました、お嬢様」

 もう一人は二十代と思われる男−モラール。男は、黒髪に黒い瞳。特に特徴的なものはない。

二人は人気のない、山に続く一本道を黙々と歩いた。十分程経ったところで、ユイラが立ち止まった。それに続くようにモラールも立ち止まる。

「着いた」

 ユイラたちの目の前には山を背にした学校があった。校門の前には、名前は消えかっていたが『中学校』と記された看板が立て掛けてあった。

「随分と人気がないところですね」

「じゃあ、思う存分殺れるってことだね♪」

 ユイラの笑顔にモラールは苦笑した。だが、否定はしなかった。

「では、行きましょうか」

「うん。虐殺パーティーの始まりだね」

 ユイラが校門をくぐりながら言った。

「トランプとかどう?トランプでシュバババーって殺したりとか」

 ユイラが手を擦って投げるフリをする。

「それは、………死神ではないのでは?」

「でも、わたしが大鎌使ってない時点で死神って思われないでしょ?トランプでシュバババーでもいいじゃん」

「正直に申し上げますと、少々ダサいのではないかと」

「え〜。それより、モラールって『ダサい』とかって言うんだ」

「それは、変ということでしょうか」

 モラールが不思議そうに尋ねた。だが、ユイラは返事をすることなく歩き続けた。

校門から広がる桜並木を過ぎ、校舎らしきものが見えた。ざっと見るに建物の造りは古く、二階建ての校舎が一つと小さい体育館が向かい合わせで建てられている。どうやら少人数の学校らしい。

「お嬢様」

「なに?」

ユイラが膝丈のワンピースドレスを翻して振り向いた。

そしてモラールは苦笑、よりも嘲笑した感じでユイラに言った。

「トランプで手裏剣ごっこは流石に『変』だと思いますよ」

「…………べ、別に良いじゃん。そ、それとモラールがダサいって言うのも良いんじゃない…」

「左様ですか。ところで、お嬢様。この学校にはどうやって入るんです?」

「え………」

ユイラはやっと気付いた様子で校舎を見た。校舎の入口は一つしかなかった。だが、問題はそれではない。入口に入ってすぐに職員室があるのだ。外からでも職員室の中は確認できる。つまり、中からでも外が分かるということだ。

「まだ気づかれてはいないようですが、このまま行くとバレてしまうかと。もしバレても殺すことはできますが、楽しくないと思いますよ」

「じゃあ、殺しに来たって言えばいいんじゃない?そしたらきっと大人しくしてくれるでしょ?」

「お嬢様」

モラールが、短銃を手にしたユイラを呼び止めて囁いた。

「もう伝書鳩で助けを求める時代ではないのですよ。今は電話。もしかしたらテレパシーに」

「そ、そんな。じゃ、じゃあ煙で知らせるとかもないの?」

「まったく、いつの時代ですか。電話なんてかけられたら捕まってしまうかもしれませんよ。死神だとしても」

「うーん。じゃあいっそ、もう始めちゃお」

困り果てたユイラが指を鳴らすと、掌ほどの四角い立体が浮き上がった。

「まさか、トランプで手裏剣ごっこですか?」

モラールが嫌そうに目を細める。

「まさか。もっと面白いことだよ♪」

ユイラが浮き上がった物体を掴む。

「開け」

瞬間、光が飛び散った。物体はユイラの手から抜け出し、大きさを変えていく。

「閉じ込めるのですか」

モラールが呟く。

その間にも物体は変化し、学校を全て閉じ込める程の大きさへとなった。それがゆっくりと学校に覆いかぶさった。

「じゃーん。モラールの能力の応用版。これで逃げられないし、中からも誰も入れない♪完璧でしょ?」

「流石です、お嬢様」

「フフン♪じゃあ次はトランプを用意して、放送室にゴー!」

ユイラは「楽しいゲームの始まりだ♪」と言いながら短銃を回し始めた。


  死神。その言葉を聞いて初めに何を想像したのだろうか。大鎌?黒いローブ?はたまた骸骨のような見た目?それともあだ名?

正解はないだろう。

だが、ユイラたちには『正解』がある。

ユイラは死を司る神、つまり死神であるが大鎌は使わない。使うのは回転式の銃だ。真っ黒いローブのフードは顔が隠れるくらい使ったりしないし、そもそも被ったりせず、羽織っている。見た目は普通の人間だ。もちろんあだ名でもない。

モラールもユイラと同じくあだ名ではない死神であり、見た目は人間。大鎌を使い、黒いローブは着用していない。

ただ二人共、絶対的な『目的』がある。

このタイトル見たことあるって方いらっしゃいますよね……

実は脱文やいらない文が混じってたりなどしたため、再投稿となったものなんです

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