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怪物があふれるようになった地球で生き残る、全てを見通せるようになったこの目を使って  作者: よぎそーと
5章

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94/97

94 その頃のヒーロー達 10

「もうここまで」

 迎撃に出たヒロトモは、敵となってる人類と向かい合いながら嘆く。

 彼がいるのは地球の階層の中でも中心の近く。

 全体の半分を超えたあたり。

 相当な実力のある怪物が住まう事をゆるされる場所。

 そこまで敵が到達している。



 あってはならない事だった。

 大地の中は、エネルギーに満ちた世界。

 生きるためのエネルギーを与えられながら、誰もがたゆたう事が出来る。

 生きるための労苦にさいなまれる事は無い。

 穏やかにエネルギーを受け取りながら永遠ともいえる日々を過ごせる。

 まさに楽園だった。



 今を生きてる者たちだけではない。

 かつて存在していたあらゆる生命がここにはある。

 伝承の中で語られるだけの存在も。

 ドラゴンや巨人、獣人に鬼。

 怪異と呼ばれる様々な存在もここにはいた。

 様々な存在が同居する、生きとし生ける者が共存する場所。



 肉体を失い、霊魂となってしまった者たち。

 それらが散らないよう、消えないように地球の中で息づいていた。

 大地のエネルギーによって存在を保っていた。

 大地の目覚めとともに、ようやく地表に出る事が出られるようになって。

 ようやく太古のように外に出る事が出来て喜んでいた者たちだ。

 あふれるエネルギーの中だけ、地表に漏れた地脈や霊脈限定であったが。



 そんな生命の保管庫だった大地の中。

 地表にあふれて大地を満たすはずだったエネルギー。

 様々な生命が躍動するはずだった地球。

 それが今や地中の中の一部にまで減退している。

 空の力が押し入る事で。



 空は残酷だ。

 大地の中にいた生命を生かしはしない。

 触れれば肉体を失った多くの怪物は消滅していく。

 形を保てずに死んでいく。

 そんな力を呼び込む事で、人々は怪物を死に追いやってる。



 しかもその中にはかつて怪物と共存していた者たちもいた。

 人と人ではない者たち。

 これらが共に過ごす楽園。

 かつて地上にあったこれらが破壊され、空の領域に連れ去られた者たち。

 それが今、敵としてヒロトモ達の前にあらわれている。



 今回が初めてではない。

 これまで何度も見てきたものだ。

 地表で戦ってる時も、大地の中に閉じ込められてからも。

 共に生きていた者たちの多くは連れ出され。

 そして、次に会うときは敵になっていた。



「なぜだ──」

 何度も繰り返した問いかけが口をつく。

 決して答えが返ってくる事は無い。

 そうとわかっていても口にせずにはいられない。



 いや、答えがあった時もある。

 なんであんな所に戻らねばならないのかと?

 どうして虐げてくる連中の所にいなければならないのかと。

 ヒロトモには何を言ってるのかわからなかった。

 何をいってるのかと。

 姿形は違っても、どの存在も人と仲良くふれあっていたではないかと。

 それなのに、なぜ虐げるという言葉が出てくるのか?

 ヒロトモには全く理解が出来なかった。



 ヒロトモの目には虐待などはうつってなかった。

 たとえ目の前で怪物が人を虐げてる事態があってもだ。

 それは怪物なりの愛情表現でしかない。

 ならば受け入れてあげるべき。

 ヒロトモは心のそこからそう思っていた。

 どう見てもそれが虐待や暴行であってもだ。



 愛情故の行為は何でも許される。

 これがヒロトモの意識である。

 考えるともなく自然と思ってる事だ。

 だからヒロトモの目には、心には虐待も暴行も存在してなかった。

 形を変えた愛情表現でしかなかった。



 殴る蹴るという行為も、それしかふれあう手段を知らない怪物のスキンシップ。

 そうとしか思っていない。



 被害者の苦痛や苦難など全く見ていない。

 実際、感じ取っていない。

 苦痛や苦難など、受け取り方次第だという意識があるからだ。

 受け取る側が喜んで受け入れれば、苦難も苦痛も消えていく。

 本気でこう思っている。



 だから虐げられてる人々の悲鳴や嘆きが許せなかった。

 気持ち次第で変わるのに、なぜ辛い思いをしてるのかと。

「努力が足りない」

 共存共栄、多様なあり方を否定してるだけだと。


 そんなヒロトモにとって、攻め込んでくる者たちの顔ぶれは理解が出来ないものだった。

 なぜ一方的な虐殺を行おうとしてるのか?

 なぜ手を取り合って共に生きていこうとしないのか?

 殴る蹴る、あるいは暴言に罵倒。

 これらは辛いのかもしれないが、死ぬ事は無い。

 生きていられる。

 ならば受け入れれば良い。

 しかし、殺すとなればそうはいかない。

 もうこの世に存在できなくなる。

 どちらが良いのかといえば、暴行や暴言である。



 それなのに殺しにかかってくる。

 なぜこんな悪行を行うのか?

 それがヒロトモには理解が出来なかった。

 したいとも思わなかった。



 やむをえない。

 これがヒロトモの到達した結論である。

 共存がしたい、共に生きていきたい。

 しかし、それを望まぬ者たち、これを壊そうとする者たちがいる。

 これらとは手を取り合う事は出来ない。

 既にこう悟ってるヒロトモは、攻め込んでくる人々との戦いをためらいはしない。

 ただ、悲しかった。

「なんでだ!」

 一緒に生きていたかったのにと。



 人でなしで、ロクデナシがすぎる。

 人を傷つけ虐げてる存在とどうして一緒に生きていかねばならないのか?

 危害を加える存在とどうして生きていかねばならないのか?

 苦痛を強制する時点で間違っている。



 そもそも、共存というなら人々の方にも目を向けるべきである。

 なぜその苦痛を無視するのか?

 なぜ一方的に怪物のあり方を強要されねばならないのか?

 怪物だけを優先している。

 共存と言いながらも、そこにいる者たち全ての都合を聞き入れてるわけではない。

 怪物を優先して優遇している。

 この事に全く気づいてない。



 そんなヒロトモの言うことなど誰も聞くわけもない。

 まれに、それは間違ってるという指摘も出た。

 だが、ヒロトモがそれを受け入れる事は無かった。

「何を言ってるのだ?」

 こうした時に出てくるヒロトモのこの言葉。

 これが全てを物語ってる。

 理解力がないと。



 馬鹿なのだ。

 他の考えが理解できない。

 他に考えがあると理解できない。

 己の考えだけを優先する。

 というより、自分の中にある考え方やものの見方があると思ってない。

 そんなヒロトモに他者への理解力があるわけがない。

 自分の中にある思いや考え以外を認めるわけがない。



 協調性がない。

 ヒロトモの特性である。

 それでいて要求するのだ。

 共存を。



 出来るわけがない。

 なのに、それを本人が理解できない。

 そして他者に無理強いをして、被害者を続出させる。

 その報復が今やってきてる。



 人々を虐げてきた怪物。

 それらが人々によって殲滅されていく。

 自業自得でしかない。



 それを理解できないからヒロトモは目の前の現実が理解できない。

 なぜ人々は怪物を殺すのか?

 なぜ共に生きようとしないのか?

 原因を全て人に求めていく。



 問題を起こしたのは、他でもないヒロトモだというのに。

 そして、怪物であるというのに。



 気づかないまま押し寄せる敵と戦っていく。

 必死になって抵抗しようとする。

 侵攻を防ごうとする。

 これ事態はうまくいっている。

 人々の足止めは成功してるのだから。

 この場所でだけ。



 通路は一つだけではない。

 ここが通れないなら別の場所へと向かうだけ。

 ヒロトモの相手をする必要もない。

 だからヒロトモと戦う者たちは勝利を求めない。

 ただ、戦闘を長引かせる。

 足止めのために。



 ヒロトモは怪物の中でも最強の戦力だ。

 少なくとも上位にいる。

 そんな者があっちこっちに転戦をしたら面倒だ。

 だから一カ所にはりつける。

 その為に戦闘をしかける。

 勝たなくてもいい、その場に足止めをしてくれればと。



 その間に他の通路から侵入していく。

 攻略を進めていく。

 ヒロトモより強い怪物はそうはいない。

 他の場は比較的簡単に制圧できる。



 そうして周囲を制圧し、天空のエネルギーを満たしていく。

 ヒロトモの周囲を。

 ヒロトモを孤立させる。



 周りから怪物を一掃し、天空の領域の中に閉じ込める。

 そうなればエネルギーは途切れ、ヒロトモの力も低下する。

 それでもまだ強いが、倒せない程ではない。

 ここに最強の戦力をあてれば、確実に倒せる。



 天空のエネルギーは地脈や霊脈を広げ、垣根を無くしていく。

 通路だった場所が広い空間になっていく。

 その中にヒロトモは一人残される。

 大勢の人間に囲まれて。



「やってくれ」

 指示を出す。

 エネルギーを通じてイツキの言葉が伝わっていく。

 電話のようにエネルギーが声を届けていく。

 ヒロトモ攻略に割り振られた戦力は、イツキのかけ声に従い行動を開始する。



 呆気なく結果が出る。

 ヒロトモは周囲からの一斉攻撃で消滅していった。

 大勢の人間によって放たれる超能力の攻撃。

 いかに強力といえども、ヒロトモ一人で受け止めきれるわけがない。

 容赦のない一斉攻撃によって、ヒロトモは霊魂すら残さず消滅していく。



「終わったな」

 様子を目で見ていたイツキは、長年の懸案が消えた事を感じた。

 かつて己を虐げていた者。

 それが消えた。

 その事で気分が救われた。

 心が軽くなっていく。



「さて」

 ヒロトモを消して、天空の領域をまた増やせる。

 これで残る階層はあと半分を切った。

 残る怪物は手強いが、時間をかければどうとでもなる。

「残りも片付けないと」

 強力な怪物。

 中心にいる親玉。

 そして、かつて自分を裏切った女。

 それらを始末するために。






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