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怪物があふれるようになった地球で生き残る、全てを見通せるようになったこの目を使って  作者: よぎそーと
5章

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84 その頃のヒーロー達 9

「いくぞ!」

 語気を強めて叫ぶ。

 率いる仲間を勇気づけるため。

 自分自身を奮い立たせるため。

 無理をしている。

 そうしなければくじけそうだった。



 最悪が重なっている。

 地表の多くが天空の領域となっている。

 地脈・霊脈の噴出場所も抑えられた。

 ヒロトモ達の居場所はだんだんと減っている。

 まだ残った拠点もある。

 強力な仲間もいる。

 それでも劣勢を覆せないでいる。



 そんな中、ヒロトモは仲間を率いて天空の領域へと攻め込んだ。

 制圧された場所を奪還するために。

 その為の戦力もつれてきている。

 いずれも強力な能力を持った頼れる存在。



 巨人に獣人、様々な能力を持った怪物達。

 様々な動物の要素を併せ持つ混合獣キメラ

 神話や伝承では神と並ぶとされるほど強力な存在が揃っている。

 これらを率いてヒロトモは敵地へと向かう。



 そんなヒロトモ達を後方から支援する者達も。

 こちらは樹木や草花、昆虫の要素をもった人間達。

 樹霊や妖精と呼ばれる存在だ。

 魔力や霊気を操るのに長けたこれらが、大地のエネルギーを呼び込んでくれる。

 ヒロトモ達の役割は、天空の領域の中に切り込むこと。

 道を通して大地のエネルギーを注ぎ込みやすくする事だ。



 空にのまれた場所に、大地のエネルギーを注ぎ込む。

 場所を取り戻すにはこうするしかない。



 そして、地脈の噴出点まで向かう。

 ふさがれた噴出場所を取り戻し、大地からエネルギーを吹き上げさせる。

 そして、まだ大地のエネルギーが満ちてる場所とつなぐ。

 エネルギー同士が結びついて強大な力を発揮する。

 こうなれば、大地の領域は強固になる。

 天空に侵されずに済む。



 その為にもまずはこの場所を奪還せねばならない。

 次の一手の為にも。

 ヒロトモはその為に精鋭を連れて敵地へと突入していく。

 エネルギーを翼のように拡げて。



 他の多くの者達と同様、ヒロトモも進化をしていた。

 気力、霊力、オーラ、様々な呼び名を持つエネルギーを炎のように放つ存在。

 天使へと。



 理想と理念に燃えるヒロトモにふさわしい姿である。

 そんな彼は仲間の前に立って先へと進む。

 仲間の中でもっとも強いエネルギーをもつ故の義務感から。

 その姿は他の多くの者達の畏敬を集めている。

 いつしかヒロトモはこう呼ばれるようになった。

 勇者と。



 その雄姿に怪物達は畏敬の念を抱いた。

 危険に立ち向かっていく度胸に賞賛を送った。

 あらゆる戦いにおいて、逃げずに進む姿に誰もがつられていった。

 成果を全くあげてないという事実を無視して。



 ヒロトモがいる戦場は、確かに勝つ。

 これは紛れもない事実だ。

 実際、ヒロトモの戦歴に敗北はない。

 あるとすれば、仲間の撤退を助ける時。

 それすらも仲間の損失をおさえて、多くの命を生きながらえさせている。

 そんなヒロトモは勝利の象徴だった。



 だが、それ以外の戦場では敗退を繰り返している。

 ヒロトモがいる場所だけでは確かに勝てる。

 しかし、他の幾つもの場所では敗北を強いられていた。

 1つの勝利の陰に、10の敗戦がある。

 おおむねこんな調子だ。



 そんな空虚は勝利を手に入れるために、怪物達は突進していく。

 多くの犠牲を出しながら。



 その甲斐あってか、ヒロトモ達は勝利を手に入れた。

 大地のエネルギーの噴出点を取り返した。

 あふれ出たエネルギーに他の噴出点からのエネルギーを結合させた。

 パイプラインのように繋がったエネルギーが、天空のエネルギーを押し返していく。

 地脈・霊脈の繋がりが強固な空間を作り出した。

 地表の一角が大地の手に戻って来た。



 怪物達が沸き立つ。

 犠牲は大きかったが、それでも大地を取り戻した。

「死んだ奴もこれで報われる」

 そう言って泣く怪物もいる。



 そして、結びついた噴出点の中から大地の中に潜んでいた者達が出て来る。

 ヒロトモ達の勝利を待っていた者達が。

 その中には、ヒロトモの大切な者達もいた。

「あなた!」

 生まれたばかりの赤子を抱いた女が、エネルギーの中に浮かんで近づいてくる。

 空を飛ぶように。

 そんな彼女を、同じくエネルギーの中に浮かんでいたヒロトモが抱き留める。



「あぶないぞ、戦いが終わったばかりなんだから。

 それに、慌てて転んだらどうすんだ?」

「このエネルギーの中で転んだりしないわよ。

 それに、敵は倒したんでしょう?」

「まあな。

 何とか撃退したよ」

「なら安心じゃない」

 そう言って笑うミオは、腕に抱いた赤子に目を落とし。

「それに、この子も早くお父さんに会いたいって」

 そう言われるとヒロトモは何も言えなくなる。

 せいぜい、

「ずるいぞ」

 ささやかな抵抗をするだけだ。



 そんな微笑ましい姿を周りの者達は温かく見つめ。

 この場における勝利を喜んでいった。



 同時に他の様々な場所が制圧され。

 噴出点もいくつか抑えられて。

 怪物達の居場所が減っていってる事を忘れて。



 また、死んだ怪物も多い。

 戦力はこれで更に減っていく。

 今後の戦いは更に厳しいものになっていく。

 かろうじて手にしてる勝利も、いずれ覚束なくなるだろう。



 新しく誕生してる者もいるが、これらが戦力になるのは先の事。

 今はほとんどが赤子だ。



 地脈や霊脈が覚醒し、地磁気が強く働き出して何年も経つ。

 この間に新たに生まれた怪物も多い。

 しかし、死んでいく者達の数は誕生を上回る。

 怪物は緩慢な滅びの道を歩んでいる。



 それでも生まれたわが子達の為。

 自分達が生きていける場所を保つため。

 怪物達は戦い続けるしかなかった。

 しなければ滅びるのだから。



 正直なところ、先は見えている。

 このまま行けば、いずれ必ず敗北する。

 今日の勝利は、他の多くの場での敗北に塗りつぶされる。

 重要拠点を確保したとて、それ以上に多くの地点を奪われている。

 その中には地脈の噴出点もある。

 今日、取り戻したものと引き替えるように重要な場所を失った。

 地脈・霊脈の一つがこれで消えた。



 大局的に見れば、喪失の方が大きい。

 怪物の居場所は、今日また小さくなった。

 それでも怪物達は目の前の勝利を喜んだ。

 先の事など考える事なく、ただ目の前の事態だけを見ていく。



 そんな彼等は幸せだった。

 つかの間だとしても、今この時だけは。

 これまでの出来事も、これからの予測もせず。

 ただ、目の前の事だけ見つめていた。



 ヒロトモも今は己の赤子を見ている。

 ミオとの間に生まれた、大事な存在を。

 つらい状況ではあるが、その姿を見てるだけで励みなる。

 この命を守っていこうと。



 それが出来るかどうかは別として。

 気持ちだけは強く保っていた。





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