76 その頃のヒーロー達 7
「くそ!」
悪態をつきながら進んでいく。
天空の領域の負荷に耐えながら。
藤原ヒロトモの全身には、常に堪えがたい重圧がかかってる。
それに何とか耐えながら進まねばならない。
空から降りてくる膨大なエネルギー。
これらは大地から湧き上がるエネルギーを遮っていく。
大地の上をはしる地脈や霊脈を切断する。
これをどうにかしようとヒロトモは、天空の領域に飛び込んでいた。
大地のエネルギーを引き摺りながら。
空から降ってくるエネルギー。
これを遮るためには、一度大地のエネルギーで途切れさせなければならない。
大地のエネルギーで空から降ってくるエネルギーをせき止めれば、いずれ天空の力は消えさる。
その為に、まずは穴を開ける必要がある。
空から降ってくるエネルギーの中に。
その為にヒロトモはエネルギーを放ちながら天空の領域に突進する。
自ら放つ気力で天空のエネルギーを遮りながら。
当然、四方八方から天空のエネルギーが押さえ込んでくる。
上から下に、重力に従うように落ちてくるエネルギーの流れは、さながら滝のよう。
しかも、密度の高いエネルギーの中だ。
上からだけでなく、横からも前からも下からも圧力がかかる。
そんな中を進めば、当然消耗する。
一歩前に進む事すらつらい。
しかも、常に天空のエネルギーが体を蝕む。
今のヒロトモは大地のエネルギーによって生かされている。
姿形は人のままであるが、実態は怪物に近い。
天空のエネルギーは猛毒や劇薬にも等しいほど生命をおびやかす。
そんなヒロトモにとって、天空の領域に入り込むのは命がけとなる。
しかし、それだけの価値はある。
ヒロトモが進む毎に、天空の領域は削減されていく。
ヒロトモに続いて流れ込む大地のエネルギーが、天空の領域を削り取っていく。
一点を崩すと、そこから天空の領域が崩壊していく。
放射状に拡がっていく大地のエネルギーが、天空の領域を消し去っていく。
「頑張って!」
後ろから回復魔法を使うミオの応援がとどく。
彼女はヒロトモの後ろで、天空の力で削られていくヒロトモの体を回復していく。
ヒロトモの背後から常に回復を施している。
この支援がなければ、ヒロトモはとっくに体を粉砕されて死んでいただろう。
ありがたい、そう思いながらヒロトモは前に進む。 大地の領域を回復するために。
仲間が生きていける場所を保つために。
大地の中で、誰もが共に生きていけるように。
ヒロトモと仲間達は、大地から溢れるエネルギーの中で生きている。
そこでは様々な姿となった者達が生きている。
姿形こそ人間ではなくなっても、仲良くしていた者達がそこにいる。
そんな彼等の居場所を保つためにも、無理や無茶をしなくてはならかった。
苦痛くらいでへこたれるわけにはいかなかった。
大地の領域を回復していく。
誰もが生きていける場所を守る。
その為にも、空から降りてくるエネルギーを排除せねばならない。
それだけではない。
「彼等も……救わないと……」
空のエネルギーの中には多くの者達がいる。
空のエネルギーに捕らわれてる(とヒロトモが考えてる)者達が。
それらを救い出さねばならない。
空のエネルギーの中で多くの者達が死滅してるのも分かってる。
そんな難を逃れた者達が残ってることも。
ヒロトモはこの生き残り達を救うためにも大地の場所を拡げようとしていた。
生きとし生けるもの全てが生きていける場所を。
生き残りも共に生きていける場所を。
死んでしまった者はもうどうにもならない。
だけど、まだ生きている者達だけでも、せめて救いたい。
そんな思いからヒロトモは突き進む。
人々を、怪物でも。
生きてるものは救いたい。
様々な問題を無視して、ヒロトモは誰もが生きていける場所を守ろうとした。
怪物に人々が虐げられてる事も無視して。
そんなヒロトモの正義感はただただ迷惑でしかない。
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