71 その頃のヒーロー達 6
「あれは……」
空から下りてくる巨大なエネルギー。
その存在は藤原ヒロトモも感じ取っていた。
隣にいる夷隅ミオも。
「ねえ、あれって」
「ああ」
不安げな顔をするミオにヒロトモが頷く。
異質なエネルギーだった。
何が起こったのかは分からないが、何かがやってきたのは感じ取る事が出来た。
それが彼等のいる大地と相容れないものだという事も。
不安がこみ上げていく。
それはヒロトモとミオだけではない。
周りにいる者達も、地脈や霊脈の中にいきる怪物も同じだった。
周りに居る者と人間だった存在も。
誰もが一様に不安をおぼえていた。
彼等が拠り所としている大地もだ。
エネルギーの供給を受けていきてるヒロトモやミオだ。
彼等の霊魂は大地そのものと結びついている。
だから彼等の考えや気持ちは大地に伝わり。
大地の思いや意思もヒロトモやミオに伝わる。
今も大地から伝わってくる。
恐怖というか、嫌悪感というか。
憎悪や怒りといった感情が。
敵対というべきだろうか、空からおりてきたエネルギーにはそんな思いを抱いている。
そんな意思や意識を受け止めるヒロトモとミオも同調していく。
大地の気持ちに心が、感情が同調していく。
「どうにかしないと」
「うん」
大地の声に応えるようにヒロトモが決意を固めていく。
隣に立つミオも同様に。
大地によって生かされ、未来を手に入れた二人である。
そんな大地を損なう何かがやってきている。
放ってはおけなかった。
「みんなに声をかけてくれ」
ミオに仲間を呼びにいかせる。
その間にヒロトモは考えていく。
空から来る侵略者を倒す方法を。
大地にもお伺いを立てて。
「────あれをどうにかする方法はありますか?」
後日、ヒロトモは仲間と共に出向いていく。
空より降るエネルギーが落ちる場所へ。
しかし、そうも言ってられなくなっていく。
空からエネルギーが落ちる場所は次々に出現していったからだ。
そこかしこで、あらゆる所で。
その対応の為に様々な所に足を向ける事になる。
「急がないと」
焦りが生まれた。
天空のエネルギーは大地を遮断する。
地脈や霊脈が彼方此方で分断される。
これらは大地の中で繋がってるので、完全に遮断されるわけではないが。
しかし、地上に生きる様々な生命への障害となる。
エネルギーが遮断されれば、大地の中にいた者達が生きられなくなる。
これらは怪物と呼ばれるものなのだが、ヒロトモはそんな事気にしない。
全て等しく生命を持つ存在だから。
どれほど凶悪であっても、無闇に命を損なわれるわけにはいかない、こう考えてる。
そんな怪物は地脈や霊脈によって生かされている。
これらが地上に溢れる事で、怪物も自由に動けるようになっている。
それを遮られ用としてるのだ。
大地の中は大丈夫とはいえ、それで良いというわけにはいかない。
「せっかく外に出られたのに」
同情がヒロトモを突き動かす。
ヒロトモとて例外ではない。
既に大地のエネルギーによって生きてる身だ。
地脈や霊脈が途切れたら、活動できる場所が限られてしまう。
怪物と違って、ヒロトモは大地のエネルギーの外でも生きてはいける。
しかし、エネルギーを受けられる場所が減れば、その分活動する時間の長さが短くなる。
生死に直結しなくても、自由自在に動ける範囲が狭まる。
何より、エネルギーという新たな食料との接点が途切れてしまう。
食事が必要なくなったとはいえ、生きていくのにエネルギーは必要だ。
そもそもとして食事とはエネルギーを体に取り込む事だ。
食べるのが野菜や肉からエネルギーに代わっただけだ。
このエネルギーが存在しない場所で生きていくのは難しい。
腹が減ったらエネルギーのある場所に戻れば良いだけだが、それも手間がかかる。
今やヒロトモとて生きるために大地のエネルギーが必要なのだ。
これを分断されるわけにはいかない。
「誰がやってんだ」
焦りながら空から降りてくるエネルギーを見つめる。
しかし、止めようと思っても止まらない。
天空のエネルギーを断ち切りたくても、そんな事出来るわけもない。
そのエネルギーは大地のエネルギーを弾くのだ。
どんな攻撃をしても簡単には壊れない。
大地からエネルギーを誘導してぶつけても、無くす事は出来ない。
大きく減退はするが、消滅まではいかない。
それがヒロトモを焦らせる。
一つのエネルギーを打ち消すだけでも手間がかかる。
しかも、その間に空からのエネルギーはどんどん増えていく。
柱のように地面に立つそれらは、ヒロトモ達の居場所をどんどん縮めていった。
それを止める事も出来ず、ヒロトモ達は居場所を失っていった。
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