7 脱出、安全を求めて
静かになった職員室で、イツキは必要なものを手にしていく。
特に欲しいのは車の鍵だ。
これで移動手段を手に入れることが出来る。
もちろんイツキに自動車運転の知識は無い。
だが、それは能力が教えてくれる。
動かすために必要な情報が頭に浮かんでくる。
それを見ながら、イツキは次の行動に移っていく。
「さてと」
一言呟いて目的地へと向かう。
教員の車が置いてある駐車場ではなく。
様々な器具が置いてある特殊教室へ。
とりあえずは、手で持てる分だけ、ポケットに入るだけ持ってきていたが。
それだけで足りるわけがない。
今のうちに回収出来るものを手に入れるべく、もう一度道を戻っていく。
幸い、途中で怪物に出会う事もなく。
家庭科室や技術室などには簡単に出向く事が出来た。
周囲を見渡すとその理由が分かる。
各教室で発生した怪物は、いまだに本校舎に集まっている。
そこで生き残りの人間を襲ってる。
おかげでイツキの方に向かってくる者はいない。
生き残りの中で能力に目覚めた者達が応戦してるのも大きい。
おかげで怪物の一方的な殲滅にならずに済んでいる。
戦闘が起こってる分だけ時間を稼いでくれる。
その間にイツキは、持てるものを出来るだけ回収して自動車に運び込んでいく。
収容能力の大きなワゴン車に荷物を積み込み。
それが終わったら校門を開いて車を動かす。
エンジンが動きだしたら迷わずアクセルを踏む。
何でも見とおす能力はここでも効果を発揮し、自動車の動かし方をイツキに教えてくれた。
ただ、動かし方が知識として分かるだけだ。
実際に動かす際のコツや経験までは教えてくれない。
滑らかに動かすには、乗車経験が必要になる。
しかし、それでも学校から逃げ出すくらいなら問題なくやれる。
運転席に座り、車を走らせていく。
足がアクセルに届くのがありがたい。
決して高くはないが、必要なだけの背丈があるのが幸いした。
「じゃあな」
後にする学校に向けて、心にもない言葉を口にする。
学校に愛着はないし、仲の良い者もいない。
一応、付き合っていた女はいたが。
そいつがどんなつもりだったのかも今は分かる。
それを知った時点で、愛想は尽きていた。
むしろ憎しみがこみ上げてくる。
そんな連中との縁を断ち切るためにも、イツキはその場をあとにした。
今も目にうつる進むべき道への導きに従って。
ブックマークをつけて今後も付き合ってくれるとありがたい。
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