66 敵対勢力 市役所 2
「どうにかならんのか」
眼下でおこる騒動に市長は苛立っていく。
世界が変わってから問題は常に発生しているが。
今、市役所の周辺で起こってる事件の数は、これまでで最大規模になっている。
乏しい食料の奪い合い。
待てどもやってこない救援。
こんな状況では騒動が起こるのもやむをえない。 だが、下手に強硬的な態度をとれば、反発も生まれる。
そう考えて市長は穏便策をとっていた。
しかし、それで問題が解決するわけではない。
注意をされただけで騒動を止めるような者がいるわけもない。
なにせ命がかかってる。
隣にいる奴から奪わなければ、食料が無くなるのだ。
こんな状況で黙って耐え忍ぶ者がいるわけがない。
しかも、中には好き好んで暴れてる者もいる。
人を痛め付けるのが大好きという者だ。
そういう性質を持ってる者は、黙って落ち着いてなどいない。
理由などあろうが無かろうが誰かを虐げる。
まして、こういった性質の人間ほど怪物になるのだ。
たいていは理性を失って暴れだすのだが。
中には理性を保ったまま行動する者も居る。
さすがに理性を失った怪物は警察も処分をする。
しかし、そうでない者達はそうではない。
姿が変わろうと、理性があるなら人間。
そういって市長や生きのこってる議員は厳罰を拒んだ。
市役所の官僚なども。
「人道的に許されない」
これが彼等の根拠である。
姿形で人を差別してはならないと。
おかげで怪物化しても理性が残ってるなら特に処分をされる事もない。
そして、理性を残した怪物は、理性を使って計画的に悪事を起こしていく。
理性とは凶悪性をおさえるものではない。
どうすれば上手くやれるかを考えるものだ。
たとえそれが悪事であろうとも。
むしろ、好んで悪事を行う。
性質が悪ならば。
そうした者達によって市役所周辺は怪物が暴れるようになった。
どうにか止めようとするも、怪物を止められる人間がいるわけもない。
警察を動かしているが、その警察が反撃によって死んでいく。
そんな仲間を見て、逃げ出す警察官だって出てくる。
無理や無茶を聞いて命を捨てようなどという者などそうはいない。
せめて怪物の射殺などが認められていたら、もう少し状況は変わったかもしれない。
だが、殺傷を禁止され、生きて制圧するよう命じられてるのが警察だ。
生身の人間が多い警察に出来る事ではない。
何人かいる怪物化した者達なら対処は出来るが。
問題を起こしてる怪物には、警察側より強い者達もいる。
それらを生けどりになど出来るわけもない。
まして無茶な命令に嫌気がさしてるものがほとんどだ。
そういった者達は、命令を無視して安全な場所に隠れている。
食料などを強奪して、市役所周辺から逃げ出す者もいる。
こうして警察は機能や能力を大幅に低下させていった。
それを知らず、市長や議員、官僚達は不穏な状況に怯えていく。
出した命令が遂行されない事に憤りを感じていく。
なぜ思った通りにならないのかと。
命令したのに結果がともなわないのかと。
まずもって、物事が命令通りに動くという考えが間違っている。
なのだが、その事に気付きもしない。
また、自分達の足下で何が起こってるのかも分かってない。
末端から少しずつ人が消えてる事を。
危険な市役所を捨てて生き延びるために脱出を図ってる役人がいる。
この事に全く気付いてない。
報告が入らないからだ。
バカな指示や命令を出す連中に付き合う者はいない。
それよりも自分の命が大事。
だから役人も端っこの方から逃げ出している。
周りを見れば、この場が危険なのはすぐに分かる。
そんな所に残っても、良い事など無い。
このような常識的な判断が出来た者からどんどん逃げ出していっている。
そして、抜けだす場所の事など気遣う者などいない。
自分達がひどい目にあってるならなおさらだ。
イツキの手引きもある。
見込みのある者にはイツキが声をかけていっている。
そういった者達はまだ安全なうちに退去していっている。
おかげで騒動が起こり始めた段階でそれなりの人数が外に逃げ出している。
こうして役所の中から人は消えていき。
残った者達だけではまともな作業は出来なくなっていた。
このため、市長や議員、官僚達への報告などもだんだんとなされなくなっている。
市長達の指示が伝達される事も、当然なくなっている。
その事に気付く事もなく。
市長達は市役所の最上階で事態の悪化に苛立っていた。
何の対策もとらないまま。
いや、対策と思ってる愚行をくり返しながら。
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