36 戦闘が終わった所を襲われて
「ひい──── !」
イツキを見て悲鳴をあげる。
戦闘が終わり、敵も味方も大勢が死んで。
それでもどうにか生き残ったのだが。
そこにやってきたイツキによってトドメを刺されていく。
まだ人間だった者も。
既に怪物になった者も。
一人の例外もなく死んでいく。
殺さねば殺される。
そんな状況になった事はその場にいる誰もが理解していた。
だからこそ、近隣の集団に攻めこんで、あるいは迎撃のために戦った。
相手を殺すつもりで。
実際、敵は容赦なく殺した。
それが終わって、気分が滅入っていたところだった。
乱入してきたイツキによって、生き残りは残らず殺されていった。
万全なものは一人もいない。
一番まともな状態のものでも、疲労して傷を受けていた。
普段通りに体が動くわけもない。
そこに、かすり傷一つなく息もととのった者がやってきたのだ。
生き残りが抗えるわけがなかった。
おまけに動きがやたらと滑らかだった。
確実に懐に入って急所を狙っていく。
その攻撃が恐ろしいほど当たる。
そのくせ、イツキへの攻撃は当たらない。
それでも、生き残りは何とかしようとした。
怪物になった者は、その身体能力でイツキに飛びかかり、一撃で仕留めようとした。
だが、その動きをどのように見切ったのか。
イツキは難なく避けると、すれ違いざまに怪物を切り捨てていく。
「くそ!」
別の怪物は遠距離から攻撃を繰り出す。
仲間内で魔術師と呼ばれている者だ。
その呼び名の通り、火炎を発生させて撃ち出す事が出来る。
姿形は人間のままだが、その能力は人間を超えている。
これもまた地球の目覚めによって発生した人間の怪物化の一つだ。
だが、撃ち出された火炎は当たる事もなく。
次々に避けられてしまう。
そうしてる間にもイツキは魔術師に近付き、懐に入っていく。
火炎を飛ばす以外は人間と変わらない魔術師は、一撃で仕留められていった。
それを最後に残った者は愕然としながら見届け。
近付いてくるイツキに恐怖をおぼえた。
足を粉砕され、逃げる事もままならなかった。
腕も傷ついており、武器をまともに使えない。
だから脅威にはなりえず、最後まで後まわしにされる事になった。
だが、見逃されたわけではない。
すぐに処分する必要がなかったから最後になっただけだ。
それを生き残りも察して身をすくめる。
死にたくは無い、生き残りたい、それを妨げる目の前の存在が怖いと。
そんな男はイツキの前に火炎があらわれるのを見る。
先ほどまで仲間の魔術師が使っていたのと同じものだ。
何もないところに突然あらわれた。
(そんな……)
絶望が更に積み上がっていく。
そんな男に向けて、イツキは火炎を放った。
動けない男は良い的だ。
手に入れたばかりの能力を試すには丁度良い。
発生した火炎は、そんなイツキの思い通りに生き残りに向かって飛んでいき。
逃げる事も出来なかった男を炎で包んでいった。
悲鳴すら炎にのまれた男は、消し炭になって死んでいった。
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