35 人間は恩を仇で返すもの
周囲の状況は当然ながらイツキの目にも飛び込んでくる。
どこにどれくらいの人間がいるとか。
それらが何処と争ってるとか。
集団がぶつかり合う気配を見て、そしてどちらがどれだけ生き残ったのかを把握していく。
それが終わってからイツキは動きだす。
争いが終わり、勝利者も疲弊している所へと。
簡単に倒す事が出来るからだ。
イツキの能力では戦闘に勝つのは難しい。
特に怪物になってる存在に対しては不利になる。
身体能力そのものは普通の人間と大差ないのだから。
多少有利に動く事が出来ても、それだけでは勝利はおぼつかない。
相手が人間であってもだ。
能力が同じくらいであっても、人数が多ければ勝つのは難しくなる。
相手の動きを見通す目をもってしてもだ。
勝ち筋が見えない時には、手に入れた能力も何の役にもたたない。
あくまでイツキの能力は、現状で最もよい道を示すもの。
不可能を可能にするわけではない。
だからこそ、有利な状況になるのを待って行動する。
敵対する者が少しでも減った状況で。
生き残りも無事とはいえない状態で。
そんな連中を相手に処分をしていく。
たとえ生き残りが何人もいても、まともに動けないくらいに疲れていれば。
体のあちこちに傷を受けてるならば。
勝機は確実に訪れる。
処分する者達の中に、怪物になってる者がいてもだ。
怪物と一口にいっても、全てが人間に襲いかかるわけではない。
中には人間のような理性などを保ったまま人外になる者もいる。
そうした者は、各勢力の貴重な戦力として行動してる事が多い。
あるいは、その能力でもって他の者達を支配してる事もある。
どちらにせよ、イツキからすれば危険な敵だ。
そんな怪物であっても、負傷や疲労で本来の力が発揮できないなら倒す事も出来る。
身体能力が人間と同等まで落ち込んでるならば。
戦闘直後ならそういう治療も回復もしてない怪物が転がってる可能性が高い。
そういう連中を狙ってイツキは戦闘が終わった後の戦場へと向かう。
自分の脅威になりそうな存在を消すために。
躊躇ったりはしない。
生かしておけば今後の脅威になるのだから。
だいたい、情けや恩は仇で返ってくるものだ。
人は温情を踏みにじって生きているもの。
地球が活性化する前からそうだった。
そんな人間を信じるほどイツキはバカではない。
生き残る。
その為に手段を選んでる場合ではない。
だからこそ、出向いた場所にいた者は容赦なく殺していった。
自分が生き残るために。
他の誰かに殺されないために。
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