25 自由、手に入れたのは怪物のおかげでもある
誤字報告ありがとう
自分で動く。
自分の思いのままに。
そんな自由をイツキは満喫していた。
社会は崩壊し、怪物はあふれ、危険が闊歩している。
食料をはじめとした、生きていくのに必要なものも枯渇しようとしてる。
しかし、それでもイツキは幸せをかみしめていた。
どこかの誰かが都合を押しつけてくる事は無い。
したくもない事を強いられる事がない。
自分のしたいように生きていけるのだから。
「怪物様々か」
呆れたように呟く。
怪物があらわれたから、人が怪物になるような世の中になったから。
おかげでイツキは幸せになれた。
こう考えると全ては怪物のおかげとなる。
より正確に言えば、地球の活性化。
これによって増大した地球の気力、エネルギーがひろまったからだ。
人が怪物になっていくのはその結果に過ぎない。
イツキのように超能力に目覚めるのもだ。
ここまで考えるとうんざりするような事実にいきあたる。
怪物も超能力も、結局は地球によって引き起こされている。
地球が原因で人間が変化するのは同じだ。
獣のように、凶悪な存在になってないだけ。
理性や意識は保っていても、ある意味怪物と同等と言える。
「俺も怪物か」
それはそれで嫌なものだ。
だが、おかげで上手く生きている。
知りようもなかった学校の裏事情も把握出来た。
幼なじみの裏切りも。
辛い気持ちになるが、知れて良かったと思う。
おかげで見切りをつけて進む事が出来るのだから。
学校に留まっていたら、今ごろ悲惨な事になっていた。
他の連中に言い様に使われていた事だろう。
奴隷として。
そうならずに、今自分の思いのままに行動出来る。
これ程ありがたい事は無い。
何より周りに人間がいないのが良い。
無理矢理に誰かと協調させられる。
この鬱陶しさが無い。
他の誰かと一緒などただただ苦痛でしかない。
「なんでああなのかな」
周りの人間はやたらと一緒に行動したがる。
それを友情だとか仲良しだとか言ってるが。
傍から見れば、独自の行動が出来ない強制以外の何者でもない。
実際イツキは自分一人でいるのを咎められたものだ。
だかこそ思う、仲良しこよしとは、独裁政治のようなものだと。
そこから解放された。
自由というものを味わう事が出来ている。
そんな今にイツキは感動をおぼえている。
このままずっとこうであるようにと願いつつ。
この幸せを再びかみしめるために家に戻る。
そろそろ戻ってくる父を処分するために。
外回りでするべき行動のほとんども終わった。
物資の回収に怪物の処分。
滞りなくすすめる事が出来た。
あとは、父を処分するだけ。
その為に家に戻り、帰りを待つ。
能力の示す通りなら、程なく父が帰宅する。
そこで自由を阻害する邪魔な存在を殺す。
家族という身近に存在する縛り、独裁。
これを完全に消去する。
どのみち、放っておけば怪物になる。
そうなる前に先んじて処分しておく。
ブックマークをつけて今後も付き合ってくれるとありがたい。
面白いと思った部分は、いいねを押して教えてくれ。
参考になる。
評価点は最終回を迎えてから考慮してくれ。