11 夜、一息をつきながら
空き家を確保し、周囲の開物を倒し。
安全圏を手に入れる。
もちろん、これで終わりではない。
近くの怪物がいずれ流れこんでくる。
それに怪物に変化する人間は今後も発生する。
安全を手に入れるには、これから発生する怪物を残らず処分するしかない。
いずれはそうするにしても、今のイツキには手に余る。
だが、今夜一晩だけならどうにかなる。
様々な事を見通す能力も、危機を伝えてこない。
念のために明日までの安全を尋ねても、危険を示すような兆候が浮かんでくる事はない。
永遠にとはいわないが、当分は危険を気にしなくて済む。
とはいえ、不安はある。
これからどうすれば良いのか?
道を示す、よりよい方向は示してくれる。
身につけた能力は最適の答えを与えてくれる。
これに従ってれば問題は無い。
だとしても、やはり不安はつきまとう。
よりよい道が分かっても、その通りに動けるとは限らない。
下手をうって最悪の結果に陥る事もありえる。
また、能力でも見通せない何かが起こるかもしれない。
そうなったらお手上げだ。
せめて見るだけでなく、様々な能力を引き上げる事が出来れば良いのだが。
イツキの能力はそうではないようだ
あくまで見通すだけで、身体能力が上昇したり、五感が研ぎ澄まされたりはしない。
空を飛んだり、炎を発生させて敵にぶつけたりという事も。
それでもありがたい能力ではある。
しかし、限界も当然ある。
それをわきまえていかねばならない。
過信は禁物だ。
こういった事に加えて。
学校の事も気になる。
残った者達の安否が気になるわけではない。
自分が知らなかった事実にため息が漏れるのだ。
「まさかなあ」
見えるようになって分かった事。
その場にいる者達の本心や本性。
瞬時に読みとった本音。
それらはなかなかにおぞましいものだった。
人間、綺麗事なぞほざいていられない。
己が大事、己が一番というの当然ある。
当たり前だ、生きていくのだから。
己を削ってまで他人に譲るべきものなどあるわけがない。
だが、それがそうもいかず、折り合いや我慢を強いられて生きている。
そんな人間が抱える本音など、どこまでも自分勝手で自分本位。
そうであって当たり前だ。
いつもは隠してるだけで。
それをはっきりと目にして、頭に飛び込んできた。
その中に付き合っていたはずの女の本音もあった。
恋人であるイツキへの嫌悪感をあらわにした。
知る事で納得出来た。
なるほど、だから付き合っていたのかと。
残念ではあるが、認める事も出来た。
そりゃそうだろうなと。
とはいえ、残念には思う。
好意は何しても、嫌悪感まで抱かれてるとはと。
あったとしても、もう少し穏便なものであればとも思う。
だが、それも仕方ないのだろうとは思った。
ブックマークをつけて今後も付き合ってくれるとありがたい。
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参考になる。
評価点は最終回を迎えてから考慮してくれ。