10 貧弱な少年も、能力補正で敵を凌駕する
怪物は手強い。
それに対して使える武器はあまりにも貧弱。
せいぜい、包丁くらいしかない。
鈍器に使える工具もあるが、それらでは怪物は倒せない。
イツキの力では効果的な打撃を繰り出せないからだ。
残念ながらイツキは活溌な方では無い。
漫画やアニメを見て、ゲームをするのが好きなインドア系。
オタクと言う方が近いだろう。
体格もそこまで良くはない。
背丈は160センチを超えた程度。
おまけに、肉も付いてない。
14歳の中学二年生ならそれほど小柄というわけではないだろうが。
それでも、立派な体格というわけではない。
こんな少年が打撃を加えてもさほど大きな痛手にはならない。
相手が人間なら幾らか効果はあるだろうが。
人間を凌駕する身体能力を持つ怪物には分が悪い。
切り裂ける刃物の方がまだマシというもの。
それでも、致命傷になるように急所を狙わなくてはならない。
その為には最適の動きをしていかねばならない。
登下校くらいしか運動をしてないイツキには厳しい条件だ。
もし、最善を見通す能力がなければ、とっくに死んでいただろう。
だが、目覚めた能力はイツキの弱点を十分に補ってくれる。
どこに移動すれば良いのか、どんな位置に立てば良いのか。
どういう動きで攻撃をすれば良いのか。
これらが瞬時に分かる。
おかげで怪物と遭遇しても先手をとる事が出来る。
そもそもとして、相手がどこから来るのか分かるので奇襲を受ける事がない。
それでいて、相手が反応出来ない・しにくい位置をとる事が出来る。
たいていの場合、イツキは奇襲を仕掛ける事が出来た。
攻撃も常に最適の動きで行える。
確実に急所を貫き、一撃で怪物を絶命出来る。
先制攻撃からのクリティカルヒットを量産していく。
体格・体力で勝り、嗅覚や聴覚などにも優れる怪物が、次々に葬られていく。
人間である事を捨てた怪物は、残らず葬り去られていく。
家の中で暴れ、町にはびこってきた怪物はたった一人の非力な少年によって殲滅されていった。
夜になるまでの数時間で。
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