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41、クリスマス


 体育祭と文化祭が終わってとうとうクリスマスが近付いてきた。

俺も愛理も受験生ということもあり、クリスマスのイブはリフレッシュがてら近くのカフェで昼ごはんを食べることになっている。

風邪を引くわけにはいかないからそのあとにイルミネーションを見に行ったりはする予定はないけど久しぶりのデートだからやっぱり少し楽しみだ。

一応、付き合って2年目の記念日でもあるから普段のお礼も込めて何か形に残るものをプレゼントしようと思って叔母である優乃(ゆの)に選ぶのを手伝ってもらうことにした。


『唯ちゃん?どしたん?』

「あのさ、彼女のクリスマスプレゼント選ぶの手伝ってくれない?」

『いいよ~』

「今週の土曜でもいい?」

『うん。じゃあ、車で迎えに行くね』

「ありがとう」


通話を切ってベッドに寝転がった。

愛理(あいり)にサプライズで渡すつもりだけど、喜んでもらえるやつ選ばねえとな。


その日の夕方、愛理からメッセージが着ていた。


『今週の土曜日、一緒に勉強しない?』

『悪い。土曜は予定ある。日曜でもいいか?』

『いいよ』




そして土曜日、午前中に少し勉強して昼ごはんを食べてからアウトレットモールに行く事になった。


優乃が車で迎えに来てくれてアウトレットまで送ってもらった。


「唯ちゃんの彼女って同い年?」

「うん」

「同じ学校の子?」

「いや、違う高校」

「可愛い?」

「………可愛い」


優乃はニヤニヤ笑いながらへ~と頷いていた。

とりあえず、いくつかある雑貨屋をまわることにした。


一番始めに行った雑貨屋は思ったものがなくて、別の雑貨屋に行くことにした。


その雑貨屋で色んな柄のブランケットがあって受験生で風邪予防のためにもそれを愛理へのクリスマスプレゼントにすることにした。


「唯ちゃん、これは?この色可愛いし、愛理ちゃんの写真で着てた服の色とかと似てない?」


優乃は淡いピンクの色のブランケットを俺に見せた。


「似てるけど、多分、本当は緑の方が好きだと思う」

「どうして?」

「いや、なんか、服とかはピンクとか水色とかが多いけど部屋に置いてあった小物が緑のものが多かったから」

「じゃあ、緑のにする?」

「うん」


深緑に白のラインが入ったブランケットを選んでクリスマス用にラッピングをしてもらった。


「プレゼントのラッピングにはメッセージカードがセットになっているのですが3種類デザインがあるので好きな柄を選んでください」

「じゃあ、そのクリスマスツリーのやつください」

「はい」


メッセージカードをもらってラッピングされて紙袋に入ったブランケットを受け取って優乃に車で家まで送ってもらった。



部屋に帰ってすぐにメッセージカードを机に置いて書こうとしたけど何を書いたらいいか分からなくて今日は書くのを断念した。


翌日、愛理の家に行ってそれぞれ分からないとこを教え合ったり愛理の双子の兄の海里(かいり)に聞いたりしながら勉強して昼ごはんを頂いてから少し休憩した。


休憩中は愛理の部屋で漫画を読んでいた。


「唯」

「ん?」

「あ、いや、なんでもない」


愛理は少し気まずそうに俺から顔を背けた。

俺は首を傾げて愛理の顔を見ると愛理は少し言いにくそうな顔をしたけど話してくれた。


「昨日、何してたの?って訊きたかっただけだよ。でも、重いかなって思ってやめたの」

「重くない」

「それなら、いいんだけどさ」

「昨日は………」


サプライズだからな。


「買い物してた」

「何買ったの?」

「雑貨とか、色々」


嘘ではない。

優乃が雑貨を買ってたし、俺も新しくマグカップ買ったし。

とりあえず、サプライズはまだ継続できそうだな。



夕方になるまで愛理の家で勉強をして家に帰った。





 * * *





昨日、唯に土曜日に何してたか訊いたら変な間を空けてた。

なんか隠し事でもしてるのかな?


自分の席についてため息を吐いていると(きし)羽奈(はな)ちゃんが私の机の前に来た。


「ねえ、愛理。土曜日に蒼井(あおい)といた?」

「ううん。土曜日は用事あるって唯が言ってたから」

「私、土曜日に蒼井と女の人が一緒にアウトレット行ってるの見たんだけどなんか訊いてる?」

「いや、」


女の人といたの?唯が?

困惑していると、宮崎(みやざき)さんがこっちにやって来た。

羽奈ちゃんは自称恋愛マスター来たと小さく呟いた。


天宮(あまみや)さん、恋人に浮気されてるんじゃない?」

「唯はそんなことしないよ」

「でも、天宮さんに隠れて女の人と会ってたんでしょ?」

「それは、そうだけど」

「そんなの浮気じゃない。」

「何か理由があったんだよ。唯は絶対に浮気なんかしない!」


思わず声が大きくなってしまって、慌てて謝った。

唯が浮気なんてありえない。

もしかしたら、ヒナちゃんとか(れん)ちゃんかもしれないし。

うん。きっとそうだよ。


自分に言い聞かせるようにして心の中で頷いた。


帰り、ホームで電車を待っていると違うクラスの男子が数人こっちにやって来た。


「天宮の彼氏、最低だな」

「天宮いんのに浮気とか調子乗ってるな」


いつの間にか噂が学校中に広がっていた。


「唯のこと何も知らないのに勝手に最低とか調子乗ってるとか言わないで」

「けど、岸が見たんだろ?」

「じゃあ、見間違えとかじゃないんじゃねえの?」


1人の男子生徒がそう言ったのと同時ぐらいにホームのアナウンスが流れた。

すると、唯からメッセージが着た。

今日は3車両目にいるらしい。


電車が着いて乗ると、すぐ近くにさっきの男子たちも来た。

まあ、同じ電車だから仕方ないけど。


「あ、愛理と同じ学校の人だな。もしかして知り合い?」

「うん。1年のときに同じクラスだった人たち」

「なんか、めちゃくちゃ見られてる気がするんだけど」

「気にしなくていいよ。噂を………」


噂を勝手に信じてるだけってこぼれそうになったのを慌てて口を塞いで止めた。

唯に聴こえてないことを祈りつつ唯の顔を見ると首を傾げてこっちを見ていた。


「噂って?」

「唯は知らなくていいよ」


つい、きつく言ってしまった。

唯も気付いたようで少し驚いた顔で私の顔を見た。


「愛理、なんか怒ってる?」

「ごめん。ちょっと嫌なことあって」

「そっか」


そこからはなんだか気まずくて沈黙が続いた。


最寄り駅に着いて降りて改札を通った。

それからいつも通り家まで送ってもらった。


「送ってくれてありがとう」

「ああ。」

「バイバイ」


唯に手を振って家に入った。



翌日、学校に行くと私と唯が電車で喧嘩していたという噂が流れていた。

どこからどう流れてるんだろう。


ため息をついて教室の自分の席に座ると、クラスの子達がチラチラこっちを見ているのが分かった。

高2の文化祭で私と唯がベストカップルコンテストに出てそれでグランプリを取ったのが気に食わなかったらしい子達は私に聴こえるように噂話をしていた。


「愛理、ごめん。元はと言えば私のせいだよね」

「そんなことないよ。羽奈ちゃんは心配して確認してくれたんでしょ?何も悪くないよ」

「ありがとう。そういえば噂のこと、蒼井に相談しないの?」

「しないよ。唯のこと悪く言ってる噂なんて唯に訊かせたくないし」



その日の夜、パパが家に帰ってきてすぐに私の部屋にやって来た。

きっと、皆が噂をしているから教師(パパたち)の耳にも入っているんだろう。

それで心配しているのかもしれない。


「唯くんと喧嘩したりしたわけではないんだよね?」

「うん」

「そっか。なら良かったよ」


パパは私の頭を撫でて部屋から出ていった。

パパの心配は私と唯の仲だけだったみたい。



数日後の放課後、唯と一緒に帰っているとこそこそと私と唯を見て話している女子生徒たちがいた。


『あの人でしょ?天宮さんの彼氏』

『浮気してるらしいね』

『天宮さん可哀想』


唯にも聞こえる声で言っているようだ。

私がその子達に話しに行こうとすると、唯が私の手を握って窓の外を見た。


最寄り駅に着いて降りると、唯がため息をついて私の顔を見た。


「愛理が最近悩んでたのってあれ?」

「………うん」

「言ってくれれば、って、愛理は言わないか。てか、そもそもなんであんな噂流れてんの?見に覚えがないんだけど」

「この前の土曜日に唯と女の人がアウトレットにいたって羽奈ちゃんが言っててそれを聞いたクラスの子が浮気だって言ってだんだん噂が広まった感じ」


唯はあ~、と言って髪をかきあげて私にスマホを見せた。

そこには優乃という名前の人とのトーク履歴があって、私のクリスマスプレゼントをサプライズで用意したいから選ぶのを手伝ってほしいという内容が書いてあった。


「優乃って母さんの妹で俺の叔母なんだよ」

「………唯ちゃん」

「なんだよ」


そう言って唯は少し照れたような拗ねたような顔をした。

誰と行ってたとかよりも、唯ちゃんって呼ばれてるのが可愛すぎて私もいっぱい呼びたくなった。


「唯ちゃん」

「………もう早く帰るぞ」

「うん!」



 ~~~~~



「え!叔母さんだったの!?20代くらいだと思ってた!」

「噂にちょっとだけ感謝かも。唯の可愛いあだ名知れたし」

「どんなあだ名?」

「秘密」




 * * *




まさか、愛理たちの学校で俺が浮気してるとかいう噂が流れてるとは思わなかった。

まあ、愛理は全く信じてなさそうだったからいいけどさ。

てか、愛理以外に全く興味持てないレベルで愛理のこと好きだから浮気以前に他に好きな人ができることもない気がする。

なんて言ったら引かれるよな。


今日は愛理が学校の図書館に寄ってから岸と帰るらしく俺は先に帰ることになった。


「あ、唯兄。一緒に帰ろ」

春雪(はゆき)!友達は?」

「用事あるらしくて先に帰っちゃった」

「じゃあ一緒に帰るか」

「うん」


春雪と帰るのも久しぶりだな。

部活引退してからは春雪と帰る時間合わないしな。

駅に行ってちょうどきていた電車に乗った。


「もうすぐクリスマスだね」

「そうだな」

「唯兄って愛理ちゃんと何回ぐらいキスしたことある?」

「………は?」


話の流れおかしくね?

なんでクリスマスからキスの回数になるんだよ。

俺の妹の思考回路はどうなってんだよ。

春雪の顔を見ると勉強してるときよりも真剣な眼差しを向けていた。


「なんで急にそんなこと訊くんだ?」

「いや、私と莉央(りお)くん付き合ってからキスしたの1回だけっていうか1日だけで他はキスしたことないから」


なんでだと思う?とか訊かれても分かるわけねえだろ。

俺は莉央じゃねえし。


「唯兄、莉央くんに訊いて」

「はあ?」

「可愛い妹のお願いじゃん。私と莉央くんのこと応援してくれてるんじゃないの?」

「分かったよ」


春雪は満足そうに頷いていた。


家に帰ってバイトが終わった莉央が俺の部屋に勉強を教えにきてくれた。

いつも通り勉強をして休憩しているときに春雪に頼まれたことを訊いた。


「春雪にさ、なんでキスしないのか聞けって頼まれたんだけど」

「………やっぱりキスはダメかなって思っただけだよ。春雪が成人するまでは我慢しようって決めたから」


莉央らしい理由だなと思っていると部屋のドアが開いて春雪が入ってきた。


「そういうことなら先に言ってよ!嫌われたのかと思ったじゃん!」

「ごめん」

「いいよ。その代わり、クリスマスはパンケーキ屋さん連れてってね」

「うん」

「やった!」


春雪はガッツポーズをして邪魔してごめんねとドアを閉めて部屋から出ていった。

まあ、問題?が解決したなら良かったわ。

てか、自分で可愛い妹とか言う辺り見た目はちょっと変わったけど中身は昔と全然変わらねえな。

そして春雪の頼みを断れない俺も変わってないな。



それからあっという間に終業式がやって来て明後日はクリスマスイブだ。

プレゼントはサプライズじゃなくなったけど、メッセージカードはサプライズになるはず。

てか、今さらだけど内容がラブレターみたいじゃね?

まあ、いいか。

愛理なら笑って告白みたいって言ってくれるだろうし。



 ~~~~~



とうとう、クリスマスイブ当日がやってきた。

昼からご飯に行くから朝は受験勉強をして着替えて姉貴に教えてもらった簡単なヘアセットをしてプレゼントを持った。


愛理とは駅集合だしそろそろ行こうかな。


「お、唯。今からデート?」

「ああ。夕方には帰ってくる」

「ちゃんと愛理のこと送って行きなよ」

「分かってる。んじゃ、行ってきます」


母さんに手を振って家を出て駅に向かった。

駅に着いて少し経つと愛理が手を振って走ってきた。


今日は愛理がずっと行きたがっていた魚介ラーメン専門店で昼ごはんを食べる。

俺らの最寄りの駅から2駅のところにある家系ラーメンの店だけど少し前からめちゃくちゃ美味しいと話題になっていた。


俺もずっと気になってたから楽しみだ。


電車に乗って駅から少し歩いてラーメン屋に行った。

昼飯にしては微妙な時間だったからかそこまで並ばずに入れた。

カウンター席に座ってメニュー表を見た。


「鯖ラーメンにしようかな。愛理は?」

「私は鰹にする。一番人気らしいし」

「じゃあ、鯖と鰹1つずつください」


ラーメンが出来上がって食べてみると、思ってた以上に美味かった。

愛理のも1口もらったけどマジで美味すぎ。


「美味しかった~!」

「そうだな」


会計を済ませて店を出た。

予定では帰るつもりだったけど、ぶっちゃけラーメン一杯で満腹にはならない。


「愛理、デザート食べに行くか?」

「うん!」


近くのケーキ屋に行って俺も愛理もフルーツタルトを食べて電車で帰った。


愛理を家まで送るとクリスマスプレゼントを部屋に置いたからと部屋まであげてくれた。

愛理は俺を1人部屋に残してどこかに行ってしまった。

少しすると、両手にマグカップを持った愛理が戻ってきた。


「プレゼントを渡すだけじゃなかったのか?」

「もうちょっと一緒にいたい。ダメ?」

「………マジでずるい」

「何が?」

「全部」


1日ぐらいリフレッシュする日があってもいいよな。

最近はストレスでか集中力下がってきてるし。

愛理の用意してくれた紅茶を飲んで準備していたプレゼントを渡した。


「開けていい?」

「いいよ」

「………このブランケット、なんで緑?」

「なんでって、愛理は緑が好きなんじゃないのか?」

「なんでそう思ったの?」


愛理が少し焦ったように訊いた。

珍しいな。愛理がこんな反応するなんて。


「部屋にある小物とか緑のが多いし、雑貨とか見てるときも緑のを見てから他のを見てるときが多いから好きなのかなって。悪い、違ったか?」


首を傾げると愛理は慌てて首を横に振った。


なんで焦ったような反応をしたのか訊くと少し顔をしかめた。

やっぱり答えなくていいと言おうとすると愛理はポツリポツリと話し始めた。



 ~~~~~



昔は緑が好きで身に付けるものは緑の色の物が多かった。

だけど、小学5年生のときに新しく買った緑のヘアクリップをクラスの子に見せると不評だった。


『愛理ちゃん、そのヘアピン新しいの?』

『うん!どうかな?』


みんなは顔を見合わせて首を横に振った。


『愛理ちゃんらしくな~い』

『やっぱり愛理はピンクだよね』

『緑はあんまり似合わない』


女の子たちは笑ってねー!と顔を見合わせていた。

そのときは緑のヘアクリップが似合わないって言ってると思ってキーホルダーなら大丈夫だと思ってランドセルに緑の可愛い車のキーホルダーをつけて行くとクラスの男の子たちが集まってきて女の子の友達と話せなかった。


お昼休みに女の子たちが話してる声が聞こえてきた。


『愛理ちゃんが緑の物ばっか持ってるのって男子と仲良くしたいからだよね』

『分かる。私、男子とも気が合うよ~ってことでしょ?』


それ以降、ピンクとか薄紫とか水色とかその子たちが私に似合うと思う色の物ばかりを身に付けるようになった。


『愛理ちゃん、その筆箱可愛いね』

『ピンクって言ったら愛理ちゃんだよね』

『ありがとう』


きっとその子たちは私に悪口を言ったことも覚えてないだろうけど、私はまた笑われるのが怖くて自分の好きな色さえ嘘をついてしまう。



 ~~~~~



「なんで気付くかな」

「悪い」

「そうじゃなくて、」


愛理は俺の座ってるすぐ横に来て俺に抱きついた。


「もっと好きになっちゃうじゃん」


それはこっちの台詞なんですけど!

俺は愛理にプレゼントしたばかりのブランケットをかけてその上から思いきり抱きしめた。


「やっぱり愛理は緑が似合うな」

「へ、」

「愛理らしいよ。可愛い」

「可愛い?じゃあ、これも?」


愛理は缶から緑色のクローバーのヘアクリップを自分の前髪につけた。


「………可愛いよ」

「え、じゃあ、これは? こっちは?」


愛理は自分の持っていた緑色の物をそれぞれ俺に見せた。

なんか子供みたいで無邪気で可愛いな。

笑ってもう一度愛理を抱きしめると愛理も笑って俺のことを抱き返した。


「唯、ありがとう。このブランケット、もうお気に入りだよ」

「風邪引かないようにな」

「唯もね。」

「ああ」


それから愛理もプレゼントを渡してくれた。

充電式カイロで愛理が持っているのと色違いらしい。


「ありがとう」

「どういたしまして」


愛理を抱きしめるだけで受験勉強を頑張れる。

早く大学生になりたいな。

大学が決まったら1泊2日くらいの旅行したいな。


「15時には帰るわ」

「うん、」

「だから15時までのあと10分、こうさせて」

「うん!」


愛理は俺を抱き返して俺の胸に耳を当てた。

ドキドキしてんのが聞こえてるらしく満足そうに笑っている。

10分間はあっという間なような長いような時間で15時になって上着を着て帰ることにした。


愛理が玄関の前まで送ってくれると言うので一緒に靴を履き替えて愛理ん家を出た。

俺は周りを確認して愛理にキスをした。


「メリークリスマス、愛理。またな」

「う、うん。バイバイ」


受験勉強は結構しんどいけど愛理と一緒なら頑張れる。

絶対一緒に合格する。



 * * *



唯が帰った後、部屋に戻ってブランケットの袋を片付けようとすると中にメッセージカードが入っていた。


『愛理へ


もう2年も俺と付き合ってくれてたんだな。

ダサいところもいっぱい見せたけど、受け入れてくれてありがとう。

愛理、俺の彼女になってくれてありがとう。

愛理が良ければ3年記念日も俺と一緒に過ごしてほしい。


これからもよろしく


唯より』


読み終えてすぐスマホで写真を撮ってメッセージカードは汚したくなかったからラミネートして部屋に飾った。


薄く“好き”と書いた跡が見える。

慌てて消したんだろうな。

唯らしくてその姿を容易に想像できてしまう。


受験勉強、頑張れそうだな。

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